絶大な力を持っていた竜王様が下等な猪魔族に捕まって力を奪われ豚化させられる話
Added 2020-10-29 14:09:04 +0000 UTCその竜人には、力があった。 産まれ落ちた日から身に宿す無尽蔵の魔力は彼に尽きぬ寿命を与え、生きるために他者を食らう必要もなく、他者に喰らわれる心配もなく、気ままに自由を謳歌していた。 その力がやがて信仰を集め竜王と言う称号を与えられてもなお、人も魔も善も悪も、下らない区分と歯牙にもかけずただ無垢に世界を楽しみ、やがてその無垢さ故に罠へと堕ち、虜囚となった。 「……っ、ぅ……!」 ぱん、ぱん、と濡れた布を叩きつけるような、湿り気を伴った音が石造りの部屋の中に響く。 部屋の中央、両手を頭上で交差させる形で拘束され、黒色の鎖によって天井から吊り下げられた竜人は、背後から腰を射抜く衝撃に体を揺らしじゃらりと鎖を鳴らしながら、それでも声を漏らすまいと耐え続けていた。 紅い表皮に包まれた強靭な四肢は枷によって戒められ、喉から下腹部にかけての白い表皮に包まれた部位には、身に宿す魔力を阻害するための邪悪な入れ墨と、そして無数の縫合痕が痛々しく残り、背後から伸びる茶色い剛毛に包まれた太い腕でその体を抱きすくめられる。 もうまる二日も経つというのに消えない、腹部や胸部の傷跡を指先でなぞられ、竜人は傷口へと触れられるむず痒さに眉間へシワを寄せる。太い手はそのまま彼の首筋を撫で、固く閉じられた顎へと達すると、じっくりとほぐすように、そこへと差し込まれていく。 「鳴かねぇと気分出ねぇつってんだろ」 「あっ、ぐ、あぁ……っ」 こじ開けられた口腔の内側を、壁にかけられた松明の灯りが艶かしく照らす。竜人の屈強な体つきには到底そぐわぬ、幼児のそれの如き小さな牙が腫れ上がった歯茎から一本だけ覗くのみの口内を。 硬い獣毛に包まれた指先が、竜人の舌を弄ぶ。背後から貫かれ泡立つ腸液を内股に伝わせながらぐちゅぐちゅと水音を立てる肛門と同様の、卑猥な音がその口から響いていた。 「お゛ォっ、じゅっ、れ、えぇ――ッ」 「きったねぇ喘ぎ声出すようになったなぁ? ……おいッ!」 「お゛ごゥッ、う゛ぅ~~~ッ!?」 大きく開かされ、舌までも太い指でつまみ上げられた口の中からは、背後からの衝撃のたび言葉にもならぬ悶え声が漏れていた。 背後の男が大きく腰を振るい、傷だらけの腹筋が盛り上がるほど深くその剛直を深く突き挿れながら、震える肩へと顎を乗せるような形で竜人へと顔を寄せる。下卑た笑みを浮かべる猪の面が灯りに照らされていた。 猪は竜人の下顎から滴る唾液を舐め上げ、熱の籠もった生温かい吐息を吹きかけながら、興奮に掠れた声で囁く。 「そろそろ出すぞ……ッ。種壺をザーメンでいっぱいにしてやるから感謝しろやっ!」 「――ッ、お゛ッ、お゛ォッ、ごォ゛ッ!」 竜人の首へと太い腕がまわされた。猪の肉厚な舌を口腔へとねじ込まれ生臭い唾液を流し込まれながら、腰を密着させたまま体を揺すられる。 じゃらり、じゃらり、と鎖の揺れる音がひどく耳障りで、密着した体から伝わってくる猪の鼓動に寒気を覚えるほどの不快感を覚えて、それなのに鎖を引き千切ってこの猪を殴り倒す事もできない。 邪魔だからと切り落とされた尻尾の付け根へと猪の体を覆う剛毛を擦り付けられる疼痛が絶えず伝わってくる。股間から垂れ下がる肉棒を付け根の方から押されるような、不思議な感覚に腰の震えが止まらなくて、溢れ出した先走りの液体が床へと滴っている。 猪の肉棒の形に盛り上がった腹筋を斜めに横切る縫合痕から血が滲んで、まる二日も前につけられた傷が未だに癒えぬという初めての経験から来る不安が、たまらなく焦燥を掻き立てた。 そして何より心を乱すのは、この牢獄へと囚われてから幾度となく与えられた屈辱。腹の内側で快感に震え、今まさに絶頂へ達しようとしている異物の存在。 「ん゛ッ、んんんん゛~~~ッ!」 がっぷりと口腔を貪られ舌を吸い上げられながら、竜人は声を上げる。やめろ、やめろと、頭に浮かぶ唯一の単語を言葉にもできぬまま、ただくぐもった叫びを漏らす。 「――ッ」 まるでその叫びこそを求めていたかのように、猪がひときわ大きなピストンを行った。内臓を圧迫され、今まさにその体を征服せしめた雄の形を臓腑へと刻みつけられる屈辱に目尻へと涙が浮かぶ。 そして竜人、その肉棒がどくんと脈打つのを胎で感じた。 ――どびゅううううううううううっ! 「ふっ、う゛うぅぅぅ……ッ!」 どろりと熱い液体が腸内へと流れ込む。下種な獣人の遺伝子が胎へと流れ込み、そこを蹂躙し尽くした証を残してゆく。 屈辱と怒りに脳髄が痺れるような感覚に伴って湧いてくる、行為がついに一区切りを迎えたことへの安堵。それが日に日に大きくなっていく事が、何よりも彼を焦燥させた。 「ふぅー……、だいぶ具合良くなって来たな。そんなに俺のザーメン欲しかったのか? 竜王様がよぉ」 「……ッ、ろ、す……、ころして、やる……ッ」 「今のテメェじゃ、腹上死狙ってケツ振るしかできねぇよ。ほら、望むとこだからやってくれよ」 「ン゛ッ、ひあ、あ……ッ」 虚勢と怒りから吐き出された言葉を、嘲られながら再び腰を揺すられる。 竜人は腹の中に溜まった精液を雄竿で掻き混ぜられる感覚に身悶えし、もはや隠すこともできぬ嬌声を漏らしていた。 猪が熱の籠もった吐息を漏らしつつ腰を引いてゆくと、射精を終えていくらか柔らかくなった肉棒へと尻の穴が吸い付いたまま隆起して、直腸が裏返る感覚に腰が抜けてしまう。 じゅぽん、と下品な音を立てて肉棒がついに引き抜かれると、酷使によって黒ずんだ肛門が半開きのままヒクついて、精液に彩られた腸壁を晒していた。 「こりゃもう言い逃れもできねぇ雌穴だな。下種な獣のちんぽは良かったか? あぁ?」 「やめっ、あ、あぁ、ひ……ッ」 どんなに閉じようと力を込めてもぱくぱくと物欲しげに収縮するのみで、猪の精液を垂れ流す淫門へと太い指がねじ込まれる。 ぐちゅぐちゅと音を立てながらそこを激しく掻き回されて、泡だった精液が飛び散っていた。 指を包む剛毛が敏感になった粘膜を掻き毟る。指先で前立腺をぐりぐりと圧迫され、快楽を貪るだけを目的にした先程までの性行為では感じられなかった奇妙な疼きに、腰の震えが止まらない。 「あっ、やめ、ろぉ……ッ、ぬ、け……ッ、抜け、えぇ……!」 「いきなり必死になってどうしちまったんだよ。なあ?」 猪が指の動きを早めつつ、下卑た笑みを浮かべて竜人の股ぐらへと視線を向けようとする。 竜人は必死で首を振りながら、それだけはやめろ、やめてくれと叫ぼうとするが、感じたこともない何かが尻の奥で燻っていて、思うように声も出せなくなっていた。 震えた吐息のような掠れ声を漏らしながら背筋を震わせ、前立腺への指圧によって固く勃起してしまった肉棒から先走りの液体を溢れさせる。 目を背けることもできないほどに、それはどうしようもなく快感で、丹田に膨れ上がってゆく熱の狂おしさに尻の穴がきゅうーっと締め付けを取り戻してゆく。 精液と腸液で湿った指が出入りを繰り返し、竜人は背筋を反らしながら目を見開き声を上げる。 口から漏れるのは上ずった嬌声ばかりで言葉を紡ぐこともできず、ただ首を左右に振って涙に鼻水に唾液にと体液を撒き散らしながら否定の意を示し続けるが、余裕の無さを浮き彫りにするような所作に、猪の手は一層激しさを増してゆく。 なまじ頑丈な体をしているばかりに乱暴な動きによってもたらされる苦痛を感じることもできず、今まではその片鱗を覗かせるだけだった熱が、無視できぬほどに広がり続けていた。 「……ッ、ひッ、イ゛っ、や、あ……ッ」 頭が真っ白になる。幼児のような拙い言葉をやっとの思いで漏らすも、しかしそれすらも無視されて、膨れ上がった快感はついに最高潮へと達しようとしていた。 ……イく。イかされてしまう。尻で? 俺が? 獣に尻の穴を弄ばれて? 脳裏に疑問の言葉が過ぎって、そのたびに脳髄の奥で火花が散るかのような感覚が走った。 嫌だ。嫌だ。それだけは嫌だ。嫌だ。頼むから。どんなに嬲られても、女のように犯されても、未だ守り続けていた矜持が揺らぐのを感じて、竜人は快感と恐怖に震える。そして――。 「イ゛――ッ」 ぞくり、と体に大きな震えが走るのと同時に肉棒の根本へと走る痛み。視界が真っ白になって背筋に電流が走るような快感に悶えながら、しかし極限まで溜まった熱を吐き出すことができない。 何が起こっている。俺の体はどうなっている。イってるのに、イかされてるのに、開放を得ることもできぬまま行為は止まらない。 「――ッ、あ゛ッ、お゛っごぉ……ッ、お゛ォお゛ぉぉぉ……っ!」 猪がニィっと口角を吊り上げていた。ペニスの根本を強く握られ、絶頂に達しながら射精することもできずに尻を嬲られ続ける。 太い指が前立腺をごりゅっと抉るたび、真っ白になった視界に火花が散って思考をズタズタに切り刻まれるほどの快楽の奔流が背筋を貫いて、何も考えられなくなりそうだ。 「イきてぇか? ま、もう少しの辛抱だ」 「ひっ、ひぎっ、あっ、あ゛ァッ! がっ、あっ、ぎぃいいいいいい……ッ!?」 竜人は何もかもを忘れ、ただ叫んでいた。開放を得られぬまま絶え間なくイき続ける感覚はもはや拷問そのもので、なのに尻に感じる圧迫感はさらに強まって、脳が焦げるかと思うほどの快楽情報に悶え続ける事しかできない。 泡立つ精液に塗れた肛門を掻き回す指の数は増え、ついに5本の全てを使うようになっていた。猪の剛直によって散々に使い倒され黒ずみ肉厚になったそこへと、今度はその手首までも収めようと力を込められてゆく。 今自分の尻がどんな有様なのか想像する余裕すらもないまま、竜人はその快楽に悶え狂い、声を上げ続ける。そして拡張に次ぐ拡張を繰り返された肛門は持ち前の頑丈さによって壊れることも許されぬまま、ついにはその異物を受け入れた。 ――ぬちゅり。 そんな音を上げながら腫れ上がった肛門が拡がって、赤児の頭部ほどもある拳をくわえ込む。直腸内で握られた拳が前立腺を押し潰し、気が狂いそうなほどの快楽に意識さえ途切れてしまいそうだった。 「あ――、――ッ」 ぷつり、ぷつりと、電源をつけては落とすように思考が寸断される。開いたままの口から舌を垂らし、涙と鼻水をとめどなく流し、竜王たる矜持など少しも残らない雌の顔を晒しながら、ついにその時が訪れた。 痛々しいほどに張り詰め血管を浮かばせる肉棒から、猪の手が離れる。 「――ッ」 ――びゅるぅううううううう! 竜人が白目を剥いて体を痙攣させる。今まで経験した雄としての性行為では到底及ばぬほどの強烈な絶頂感が全身を貫いて、それこそ体全体で射精をしているかのようにさえ感じられた。 尻の穴がぎゅううっと収縮して猪の手首を締め上げる。体が痙攣するたび握り拳で前立腺を押し潰され、射精が止まらない。 声すら上げることもできず、掠れた吐息を苦しげに漏らしながら、鎖を打ち鳴らして肢体を震わせ続けていた。 「初めてのメスイキはどうだ?」 「お゛ッ、んごおおおおっ!?」 猪がいやらしい笑みを浮かべて問いかけながら、拳を握ったまま腕を引き抜いてゆく。尻の穴が捲れ上がる感覚に竜人は獣そのものの悲鳴を上げながら肉棒を震わせていた。 ごつごつとした拳に絡みついた腸壁が捲れ上がった肛門から溢れ出して、赤い芋虫を思わせる無残な姿を晒す。 拡がりきった肛門は閉じることもできぬまま痙攣を続け、脱腸した粘膜からは先程中出しされた精液が滴り落ちている。 「あー、もう聞こえてねーか……」 頭の処理能力を上回る刺激に白目を向いたまま、ついに気を失った竜人を眺めながら、猪がひとりごちる。 虜囚としての日々の中で心と体に打ち込まれた楔が、ついにその効果を表そうとしている。 竜人の晒す痴態にそれを感じながら、猪は下卑た笑いを浮かべていた。 ☓☓☓ 「……っ」 胸部に、腹部に、脇腹に、新たにつけられた無数の縫合痕から血を滲ませながら、竜人は肘から先を失った両腕で飼い葉桶を抱え込みその中へと顔を突っ込みながら、細切れにされた畜肉を一心不乱に飲み込んでゆく。 基礎代謝を少しでも減らすべく四肢を切り落とされてもなお、生命を維持するために回せる魔力は不足し、それを補おうという本能に根ざした強烈な飢えと渇きは、理性すら忘れさせて彼を一匹の獣へと堕としていた。 なけなしの魔力はただ、その臓腑にのみ循環する。摘出された内蔵と入れ替えに埋め込まれた家畜の臓器を、竜王たる強靭な生命力と身に宿す魔力によって支配し竜種のそれへと作り変え、そして再び奪われる。 今や抵抗はおろか、体表の傷を治癒する余力すら失われ、竜人は高熱にうなされ膿んだ切り傷を晒し用意された餌を貪り、命そのものを際限なく搾取され続けるだけ。その有り様はもはや家畜ですらなく、竜種の臓腑という価値ある実りを収穫するための畑だった。 切り下とされた尻尾の下には、かつては排泄にも性行為にも使われたことのなかった肛門が、腫れ上がり、捲れ上がり、黒ずんだ内壁を晒し続ける。醜く変わり果てたそこからは、もうただの娯楽ではなく生命の維持のため不可欠な行為となった給餌によって発生する汚物を排泄するという役目を産まれて初めて負うようになり、牢獄には畜舎を思わせる臭気が充満していた。 (なぜ……) 紅い表皮に包まれた顔を獣血で濡らし、牙の残らない顎で咥えた肉片を丸呑みしながら、朦朧とした意識の中で竜人は自問する。 なぜ、こうなってしまった。ただそれのみによって彼を竜王の座に導いた魔力と生命力は、そのほとんどを搾取され今や空っぽも同然。切り落とされた四肢を再生する余力も無く、獣のごとく本能に支配されながら肉を貪り、辛うじて命を繋いでいる。 かつての己なら、こんな醜態を晒すならば死んだ方がマシだと考えるのだろうが、絶え間ない搾取と陵辱によって疲弊した精神は貪欲に生を求める本能に抗う力を失っていた。 生きたい。死にたくない。腹が減った。飢えが収まらない。ひどい渇きだ。もっと喰らいたい。追い詰められるほどに本能の声は力を増して、竜を支配する。 だが、その本能すらも屈さざる得ない限界のときが、竜に迫っていた。 「ごっ、かは……ッ」 薄汚れ、傷つき、不具となった肉体が大きく震え、竜は未消化の肉片を伴って吐血する。 もはや移植された臓器を完全に支配できるだけの魔力も残ってはおらず、不完全なまま体の一部となった家畜の臓器では、命を繋ぐことも困難となっていた。 どれほど餓えようとも肉体は暴食に耐えるだけの頑強さを失い、家畜のそれとも竜のそれともつかぬ半端な状態となった心臓が悲鳴を上げていた。 竜人は苦痛に震えながら血を吐き、のたうち回る。杜撰な縫合がぶちぶちと音を立てて千切れ傷口が開いていた。半端に変質した歪な臓器がその胸の内で脈動し、そのたび全身に走る苦痛に竜は悶え続ける。 本来ならば生きていることが不思議なほどの有様となりながら、その肉体は絶え間ない激痛の中で、緩慢に死へと向かっていた。 「あーあー、いよいよダメそうだな」 その惨めな終わりを見に来たとでも言いたげな半笑いの声が聞こえる。重たい足音を伴いながら近づいてくる、あの猪。いつから見られていたのか、竜にはもうそれを思い出すこともできなかった。 ただ、絶え間ない苦痛の中でついに目前へと迫る死をひしひしと感じながら、竜の胸に一つの感情が残っていた。 「……っ」 牙さえ残らぬ歯茎を剥きながら、竜は低く唸る。視線だけで相手を射殺してやろうかと言うほどの、黒々とした憎悪の宿った瞳で猪を睨む。 例え醜い死霊と成り果てて永劫の苦しみを背負う事になろうとも、自分からすべてを奪ったこの男だけは殺してやると、その憎しみだけが、避けられぬ死を前に最後に残ったものだった。 「そうこええ顔すんなって」 死に瀕した竜の憎悪など意にも介さぬ様子で、相変わらず下卑た笑みを浮かべた竜がその手に掴んでいるのは、人の頭ほどの大きさをした鉄製の容器だった。 まるで生き物でも閉じ込めているかのようにゴトゴトとひとりでに震えるそれを、猪は竜人へと見せつけるように床へと置き、蓋を開ける。 ――その瞬間、空気が大きく震えた。 「それ、は……ッ」 「……そ、テメェの心臓」 策略によって虜囚となった竜人の胸からいの一番に摘出された心臓。それは猪の手のひらの上で今も鼓動を続け、魔力を生産し続ける炉心としての機能を維持していた。 ついに体内で魔力を生産することすらできなくなった竜にとって、それはかつての力を取り戻すための唯一の手段であり、胸に満ちた憎悪を晴らすほどの希望だった。 ああ、頼む。それを返してくれ。そのためならなんだってする。どんな願いだって聞いてやろう。ぶちのめして欲しい相手がいるなら代わりにやってやる。欲しい物があるなら手に入れてやる。 かつては、出来ないことなんて無かった。望めばなんだってやれた。だから、だから……。 喉が掠れて、頭に浮かぶ言葉を口に出すことが出来ない。竜人はただぱくぱくと口を動かし、猪は勝ち誇った笑みでそれを眺め、そして――。 「――ッ」 手のひらの上で脈動を続ける心臓へと喰らいついた。溢れ出す鮮血を啜り、弾力ある体組織でありながらルビーを思わせる輝きを秘める肉を咀嚼し、嚥下する。 かつて、ただ力のみによって竜王の称号を手に入れた竜人の、その力の源とすら言える器官。それが余すところ無く猪の腹へと収まっていた。 「手足とか尻尾もだったけど、やっぱ美味ぇなぁ、お前」 体が張り裂けかねないほどの魔力を胃に収めながら、猪は口元に滴る竜血を舌なめずりしつつ満足気に言ってのける。 圧倒的な全能感を伴って体を巡る魔力の奔流を全身で感じながら、そして目の前で唯一の希望を断たれた衝撃に呆然とする竜人を眺めながら、猪は高揚に任せて口を動かす。 「こんなもんいきなり食ったら耐えられるか分かったもんじゃねぇけど、その辺りよく出来てるよなお前の体。ハツもマメもレバーも新しく引っ剥がすたび程よく質が落ちてくもんだから、軽いのから体馴らせたし、何より普通に美味ぇし、おめーこうやって喰われるために産まれてきたんじゃねぇの? そうとしか思えな、お、おぉ……っ?」 猪が不意に言葉を止める。唖然とした様子で首を傾げる間にも体の内側で魔力が膨れ上がり、分厚い毛皮へと亀裂が入ったかと思うと、ぷしゅうと音を立てて血が吹き出る。 家畜のそれを元にして劣化した状態で復元された臓器を喰らい、魔としての格をいかに底上げしてきたと言えど、獣の身体では容量が足りない。 「は、おま、どんだけだよ……ッ!?」 猪が目を見開きながら困惑の声を上げ、体が内側から破裂するかと思うほどの痛みに身悶えをする。 体中に浮かび上がった裂け目から淡い光が漏れ、体に収まりきらぬ魔力が噴出してゆく。室内には暴風が吹き荒れ、猪の周りに魔力の奔流が渦を巻く。 その体を包む茶色の毛皮は力の本来の持ち主と同じ赤と白に染まり、ただでさえ大柄な体はさらに体積を増して二周りも膨れ上がる。顎から歯が抜け落ち、代わりに肉食獣のそれを思わせる鋭い牙へと生え変わって、細い尻尾はかつて竜人から生えていたものと同じ太く強靭なそれへと変じ、頭部は雄々しい角を生やし、体内の骨格はより強く、より固く、音を立てながら変形してゆく。 竜人の肉体から摘み取った臓器を喰らう事で体に馴染ませて来た魔力が、完全な状態の炉心を取り入れることでも一斉に励起し、猪の体に爆発的な変化を及ぼしてゆく。 蹄の代わりに鋭い鉤爪を有する爬虫類のそれへと変じた足が石造りの床を踏み砕き、その亀裂が部屋中へ広がる。 土煙の中から姿を表したそれは、獣でありながら竜の特徴を兼ね備えた新たな魔としての姿を見せつけ、その胸の中では猪の下卑た性根に染められた邪悪な魔力を生産し続ける心臓が、力強く鼓動を重ねていた。 取り入れた魔力の大半は本来の宿主へ還ることすらなく霧散し、猪が手に出来たのはかつての竜人の足元にも及ばない程度の力。それでも、新たな竜王と呼ぶに十分すぎるほどのものだった。 その邪な魔力の漲る体で、猪はまず大きく背伸びをし、深く息を吸う。 「あぁー、さいっっこう……っ」 その力の全てを奪われ、喰らい尽くされ、残り滓のような体で死を待つのみの竜人へと自慢するように、猪は言った。 「すっげぇー。頭は冴えるし力は湧いてくるし、今なら何だって出来ちまう気分だ。あー、マジ今までで最高の気分。全部お前のおかげだよ」 「……ッ」 全能感に浮かれ舞い上がるほどの高揚を隠しもせずに捲し立て、その力強い姿とは対照的に命の火さえ消え入る寸前の死に損ないとなった竜人を見つめる。 その縦に割れた瞳孔は、変わらず下卑た欲望に染まりながら、しかしさっきまでの猪には無かった深い思慮の色を備えている。その瞳に、なにか気圧されるようなものを感じ息を詰まらせる竜人へと、猪は一つの提案をした。 「……なぁ、助けて欲しいか?」 ニタりと口角を吊り上げギラついた牙を見せながら投げかけられた言葉は、この状況にあってすら肯定を躊躇してしまうほどの邪気を孕んでいた。 ……生命を維持するだけの魔力を分け与えて貰えば、内臓の修復は可能だ。そのためにどんな代償を支払うことになるのか想像もできないし、もうかつての力を取り戻すことも出来ない。四肢を切り落とされた不具の体を抱え、吹けば消えるほどの弱々しい魔力しか持たぬ衰え果てた姿で、しかし命を繋ぐことは出来る。 ただ苦痛に苛まれながら死を待つ以外の選択肢を示されてしまえば、胸にわだかまる絶望、憎悪、諦め、それらの感情に身を任せることなどできなかった。 生きたい。どんな姿でも、どんなに惨めでも、どんなに苦しくても、死にたくない。残された時間の少なさをひしひしと感じるほどに、その欲求は強まってゆく。 そしてついに首を縦に振ろうかというところで、猪が行動を起こした。 「な……っ」 剛毛に埋もれた股ぐらから、肛門が醜く変わり果てるまで竜人を犯し尽くした巨根よりも、さらに太く凶悪な形状をした肉棒が姿を表す。 前より二周り以上も大きくなった手が反しのような肉の棘を纏った歪なそれを掴み、先端をこちらへと向けた。 黄色い液体が放物線を描いて床へと降り注ぐ。何をどうしろだなどと、具体的な支持なんて無い。分かっているのは、その液体が死に瀕した体を癒やせるだけの魔力を帯び、そして体は狂おしいほどにそれを求めているという事実。 ……嫌だ。 黄色い水たまりが床に拡がり、ひび割れへと吸い込まれてゆく。 ……それだけは嫌だ。 考えている時間はない。生きたいならば這いつくばり、異臭を放つ黄色い液体を啜るしかない。 だが、それだけは……。 「――ッ、じゅっ、ずず、ん……ッ」 「……うっわ」 口の中に広がる白辛い味。鼻腔を抜けてゆくアンモニア臭。涙が溢れて止まらないのに舌の動きを止めることが出来ず、かつてない渇望に突き動かされて体がひとりでに動いてしまう。 猪に取り込まれその魂の色に染められた魔力は、本来の持ち主が有していた善も悪もない無垢な力とは全く違う邪悪な気配を伴って竜の体に行き渡りその体に変化を起こす。 「あ、なに、が……」 胸の傷口が塞がってゆく。渇望が満たされ、死が遠ざかってゆく。なのに、言いようのない恐怖ばかりが募っていた。 邪な魔力が全身に拡がってゆく。骨の髄にまで浸透してゆく。竜は命を繋ぐため、望んでそれを受け入れたのだ。それは、この猪の眷属と成り果てる事を意味している。 「あっ、あつ、ひ……ッ」 猪の体に起きたものと同じ変化が、竜人の体でも起きようとしていた。 腹に埋め込まれた獣の臓腑を支配し、竜のそれへと作り変えてゆくのではなく、それ以外の全てが家畜の臓腑に適応する姿へと引き寄せられてゆく。 体は丸みを帯び、鼻先は平たくなり、胸から腹にかけて家畜のそれと同じ配置で乳首が浮かび上がる。牙を失った歯茎からは新たに餌を食むための歯が映え揃い、垂れ下がった玉袋は肥大し萎縮しきった肉棒は細長く捻れた形状へと変ずる。 猪が竜の臓腑を喰らい変じたように、竜は家畜の臓腑によってその姿を豚と竜の混ざり合う異形へと変えられたのだ。 「なっ、……ッ? あ、あぁ……ッ」 分厚い舌をもつれさせながら口を開くと、そこから出てくるのは豚の嘶きのように醜く変じた声。 体が燃えるように熱く、骨格の変形に合わせて骨は軋み、呼吸のたびに潰れた鼻がフゴフゴと音を立てる。 ただ困惑だけに支配されながら周囲を見回し、体をよじり、そして堕ちた竜の姿を冷ややかに見下ろす猪と視線が重なった瞬間、全てを悟った。 「――ッ、ふご……ッ」 潰れた鼻を鳴らしながら息を呑む。ただそこだけが以前と変わらず黒々と腫れ上がったままの肛門がじんと熱くなって、腸壁から粘液が溢れ出していた。 頭の片隅に残るこれまでの記憶全てを使って反論しても覆らぬほどの説得力で、彼こそが自分の主であると、ただ喰われるために産まれ落ちた家畜たる己が仰ぎ見るべき、我らが眷属の王であるという実感があった。 文字通り、生まれ変わった気分だ。竜人、竜王、今まで着込んでいたその偽りの殻を脱ぎ捨て、あるべき姿になったと言う確信があった。 肥大した玉袋の奥で睾丸が震えている。細長い豚ちんぽからとめどなく先走りが溢れ出して止まらない。 あの鋭い牙で喰らいつかれ、肉を食いちぎられ嚥下される様を恐れ多くも想像するだけで、絶頂に達してしまいそうだった。 (……ああ、主が俺の心臓を平らげてくれた直後に言っていた通りだ) 胸を揺さぶるような感動を覚えながら、心までも豚へと堕ちた竜はあのときの光景を思い返す。 (――俺は、喰われるために産まれた) 「……あ、は、あぁ……っ」 竜は仰向けになると切り詰められた脚を広げ、期待に震える玉袋と潤滑に満ちた内壁を晒すケツマンコを見せつけるのと同時に、食らいついてくれとばかりに顔を上げて首筋を露わにする。 豚と竜の中間と言った容姿に変じた顔には笑みが浮かび、敬愛する主に喰らわれるその瞬間を思い浮かべる恍惚感に蕩けていた。 体とともに心までも支配され貶められた無残なおねだり姿は、目論見通り主の劣情を煽り、凶器じみた異形の獣根へと血液が流れ込む。 猪の巨体に視界を覆われていた。手足を切り詰められた体はすっぽりと影に飲み込まれ、真っ黒なグロマンへと腕ほどもある凶悪なちんぽをあてがわれる。 性欲と食欲の混ざり合う興奮に猪が牙を剥き、ねっとりとした唾液が顔へと垂れ落ちてくる。期待に鼓動の高鳴りが収まらず、まるで初夜を迎える生娘のように浮ついた気分だった。 いや、これが自分にとって初めての性行為なのだと堕ちた竜は自答する。 屈強な竜種の雄としての自分は偽りのものだった。猪の手でケツ穴を拡張してもらった日々は幸せであっても、今という本番のための前戯でしかない。 主の手によって拡張し尽くされ、赤黒く腫れ上がったびらびらの淫肉を晒すこのケツマンコで、形も大きさも規格外のこのちんぽを受け入れるこの瞬間こそが、己にとっての処女喪失だと思えた。 「あっ、はぁ……ッ」 ぐぷりと鈍い音を伴って、腸壁のヒダを肉棘で掻き毟りながら挿入される主の凶悪ちんぽ。その刺激がもたらす多幸感は、竜として過ごした日々の全てがゴミも同然の無為な日々だと理解させられるに十分だった。 分厚くなった舌を伸ばして垂れ落ちてくる唾液を受け止めながら、竜は尽きることのない幸せを噛みしめる。自ら雌になることを望んで股を開き、その求めに応じてちんぽを挿入してもらう。その正しい手順で執り行われる性行為は、これほどの感動と快感を与えてくれるものなのかと、驚愕するほどだった。 「金玉上がってんぞ雌豚」 「ヒッ、ひぃん……ッ」 メスブタ。それが自分のあるべき姿、本当の名前。それを主の声で呼んでもらえた嬉しさに涙が溢れる。 シワが刻まれるほどきゅうっと張り詰めた玉袋を指先で軽く引っ張られ、愛しい相手の手で触ってもらえたときのむず痒い心地よさに腰が浮いてしまう。 「お゛ッ、お゛ッ、ぶふっ、ふごッ!?」 生まれ変わった体へと改めて刻まれる、雄の形。腸壁を掻き分けられS字のくねりを正され、腹の中は主のちんぽを受け入れるという何より尊い役目を果たすための形へと作り変えられてゆく。 凶悪なちんぽを根本まで挿入される頃には、もう胎内で内臓がどんな配置になっているかなど想像もできなくなっていた。熱く脈打つ剛直に文字通り腹を満たされて、主の魔力で生存を許されている頼りない心臓へと亀頭を押し付けられているみたいだった。 「動くぞ」 「――ッッ!」 主が腰を引くと、ちんぽにびったり吸い付いた腸壁が捲れ上がったケツ穴から内蔵全部裏返ったかと思うほどに溢れ出して、そしてそれを一気に全部突き挿れられて、内蔵ぐちゃぐちゃに掻き混ぜられながら、ずどん、ずどんっと命の危険さえ感じるほどの衝撃に晒される。 「はっ、んんんっ、じゅっ、る……ッ」 いや、実際にピストンを受ける度に竜は絶命しかけていた。太くうねる舌を喉奥へと挿入されて魔力を含んだ唾液を流し込まれながら、凶悪な肉棒で掻き混ぜられた臓腑を修復され続ける。 ピストンを繰り返される度にその体内はより歪に、よりちんぽを受け入れやすい形へと変化してゆく。 腰を打ち付けられるそのたびに生まれ変わっているかのようだった。家畜みたいに緩くなった頭が真っ白になるほどの快楽を叩きつけられて、頭の中も体の中もぐちゃぐちゃに掻き混ぜられて、真っ白な視界に火花が散って、脳髄がばちばちとショートして、痺れて、幸せで、幸せで、幸せで――。 ――ごぽおおおおおおおっ、びゅる、どぷうううっ! 「~~~っ!?」 丸くなった腹がさらに臨月の妊婦のごとく膨らんでいく。指で掴めるほどの大きさを持った精虫が腸壁をうぞうぞ這い回る途方も無い刺激に、主のおかげで今も動いている心臓が止まってしまいそうだった。 鉄砲水のような勢いで注ぎ込まれる精液が腹を満たして、胸にまで上がってきて、吐き気にも似た変な感覚が込み上げて――。 「――ごッ、ぶげっ、えぇ……ッ!?」 ついに注ぎ込まれたザーメンが喉から逆流していた。顎の内側を、喉の奥を、元気な精子が這い回っている。 全身、上から下まで、何もかもを主によって支配されているという実感に表情が緩むのを止められない。 腰を掴まれて肉棒を一気に引き抜かれる。ザーメンに塗れ、引っかき傷だらけになって、精虫の這い回る直腸がずりゅりと体外へ引きずり出されていた。 霞んだ視界の中で、主が大きく口を開くのが見える。さあ早く。その鋭い牙をこの喉に突き立ててください。俺はそのために産まれてきました。教えてくれてありがとうございます。例え死んでもこの音は忘れません。 熱い吐息が首筋に吹きかけられる。目前に迫るのは、これ以上無く幸せな最後。早く、がっぷりと、牙を突き立てて、肉を引き千切って、俺を貴方の体の一部にしてください。はやく、はやく、はやく……。……? 「いや待てよ」 考えを改める主の声。その時は訪れなかった。主に選んでもらえなかったという切なさに胸が締め付けられる。 主は俺に何よりも強烈な幸せを与えてから、感じたこともないほど深い悲しみを突き付けた。 「ふっ、ご……?!」 だが、そんな俺を慰めるように、ゴワゴワの剛毛に包まれた手で鼻先に触れられる。 指先を鼻の穴にねじ込まれ、未開発のケツ穴を馴らすようにぐにぐにと拡張され、平たくなった鼻先へと似合う縦長の形へと、鼻の穴を変形させられてゆく。 また一つあるべき姿へと近づけてもらえたという喜びに慰めを感じたのも束の間、俺はご主人さまに中出ししてもらった大量のザーメンが体へと浸透してゆく感覚に悶えていた。 精虫が俺の体中を泳ぎ回っている。生まれ変わった体へと、さらなる祝福が与えられていた。 切り落とされた腕と脚の先に、豚らしい蹄が形成されてゆく。切り落とされた尻尾の付け根から、くるんと巻いた小さな尻尾が生える。捲れ上がったケツの中へと腸壁が腹の中に吸い上げられて、まんこみたいに縦に割れた肉厚のケツ穴だけが残る。 変形してゆく喉の奥からは豚の嘶きだけが溢れてきて、もう人語を話すことすらできなかった。 豚の形質が半端に入り混じる、四肢を切り落とされた異形の竜人でしかなかった俺はついに、ただ肉となるために産まれ落ち育てられる家畜としての豚の似姿を与えられ、赤と白の表皮に包まれた耳の無い無毛の豚にしてもらえたのだ。 そして仕上げとばかりに、主はその右手で俺の下腹部を優しく撫でる。その心地よさにうっとりと目を細めた直後芽生えたのは、狂おしいほどの熱だった。 丹田が熱い。熱くて、切なくて、飢えていた。 「食い終わって終いじゃもったいねぇ。腹ン中弄ってやったから、余った豚とヤってガキ孕んで来い。100匹産んだらお前も喰ってやるよ」 この熱は、疼きは、飢えは、子宮で感じていたのだ。美味しい仔を孕むために、豚の精子が欲しくてたまらなかったんだ。 ふごふごと嘶きながら、俺は必死で首を縦に振る。それが俺の新たな役割。主のために出来る唯一のこと。 任せてください。貴方のためなら何匹だって産んで見せます。 だからいつか。 きっといつか……。 ☓☓☓ 豚の嘶きばかりが響く畜舎の中で、俺は背に感じる重みと体温の心地よさに腰を震わせていた。 豚の細長いちんぽがケツの肉を掻き分けながら挿入され、ゼリーみたいに濃いザーメンでケツ穴に蓋をしてもらう悦びは、家畜として過ごす日々で味わう幸せの一つだった。 着床率10割の畜生腹に新たな命が宿る予感を感じながら、産み落とした我が子達が主の食卓へと並ぶのを想像する。 自分とその一族が主の役に立っているという実感は無上の幸せを与えてくれる。 いつか自分も、という希望は生きる活力となってくれる。 産み落とした仔たちはすでに同族間の繁殖を始め、最近は産み落とした息子が逞しく成長したちんぽを突き入れて孫を孕ませてくれるという、新たな喜びも教えられた。 自分は、喰われるために産まれた。主人によって教えられた気づきは、今や家畜の矜持としてその胸に根付いている。 主だけではない。魔も人もなく、全ての者に自分たちの味を知って欲しいと、そんな大それた願いさえ抱いてしまう。 ……ああ、ありがとう。干し草の上に体を横たえながら、家畜は主への感謝の言葉を胸の中で呟く。 瞼の裏に思い描くのは、いつか主の食卓へと登り、その味わいに舌鼓を打ってもらうという、色褪せる事のない壮大な夢。 産まれて、良かった。 終