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監禁凌辱調教◯十日目アジール

「……ッ」  アジールは柔らかな寝台に体を横たえながら目覚めるとともに、染み付いた反射に突き動かされて顔を伏せ、天井から吊り下がる大鏡より目を逸らした。  眠りに落ちる前後の記憶は曖昧で、寝起きの朦朧感とも違う、酩酊にも似た痺れが頭蓋の中にこびり付いていた。 (また、か……)  耐え難い倦怠感に体を弛緩させながら、アジールは胸の内で呟く。  浅く息を吸うと、羽毛に染み付いた甘い香りが黄金の兜の内へと流れ込む。作ったかのようにわざとらしく強烈な、何とも分からぬ果実の芳香。今やそれにも慣れてしまっていた。  寝台を取り囲む壁には窓の一つもなく、最低限のみ配置された家具はどれも不気味なほどに小綺麗で、無機質だった。  壁から突き出るように複数配置された『ヘクステック・ライト』とやらは、白くムラのない人工的な光を放ち、アジールの囚われるこの鳥籠を均一に照らしていた。  部屋の隅々までもが照らし出され、その四隅に設置されたレンズは休むこともなくこちらへと向けられ続けている。  アジールは汚れの一つもない真っ白な壁を無為に見つめ続けながら、力なく投げ出した体を小さく身じろぎさせる。黄金の兜の奥で猛禽の瞳を細め、やがてゆっくりと首を動かしてその視線を天井へと向けた。 「……おめおめと蘇り、再び民を導く機会を与えられながら、これがそちの末路か」  天井から吊るされた大鏡の中に映る男へと向けて、アジールは軽蔑を示すような口ぶりで呟いた。  黄金の兜と機械的な鉄製の首輪のみを身に着け、広い寝台に一人横たわるあられもない姿の男。  丹念に洗われ、虜囚と思えぬほどに柔らかく艶めく羽毛。痩せ細ることも肥え太ることもなく管理された肢体。  その股ぐらには繰り返し弄ばれ充血した割れ目が、本来そこを覆い隠していたはずの羽毛を丁寧に処理されて、光の下に晒されている。 「つくづく、見るに堪えぬな……」  鏡に写るそれを、まるで他者であるかのように見立てながら、吐き捨てる。避けることのできぬ辱めと、隔絶された鳥籠の中で無為に過ぎてゆく日々からの逃避行動だった。  超越者へと変じて形作られた猛禽の形質を持つ割れ目の周囲は、つい先刻整えられたばかりといった様子で形良く梳かれている。ほどなくすれば役目をあてがわれるのだろうと、それだけで理解できた。  これから降りかかる恥辱を思い、耐え難い嫌悪からくる吐き気とともに、繰り返し条件付けられ仕込まれた火照りが下腹部に込み上げた。  その全てを鏡の向こうの憐れな男へと押し付けながら、アジールは柔らかな寝台に身を預け、糸の切れた人形のように横たわり続けるばかりだった。  寝台の正面に位置する、取っ手すらない無機質な扉が、機械的な異音を伴って開いてゆく。それを聞きながら、アジールはより一層に深く意識を閉ざす。  扉の向こう側に広がる、豪奢な調度品の並ぶ廊下へと向けて走り出そうという試みも、今となってはその発想すら浮かばなくなっていた。  ひたひたと、素足で床を踏みしめる音が聞こえるのと同時に、部屋を照らす明かりがひとりでに調節され、閨らしい薄暗さへと変じてゆく。  黄金の兜の下で、アジールはただ瞼を閉じ、幽鬼じみた足音が近づいてくるのを聞きながら、横たえた体が僅かにこわばる。  股ぐらに浮かぶ卑猥な色味に変じた割れ目を隠すこともせず、投げ出した両脚を閉じることもせず、足音の主が身に纏うバスローブが床へと脱ぎ捨てられる音を聞き、その痩身が寝台へと乗り上げる揺れを感じる。 「……」  太ももを覆う柔らかな羽毛の内へと、細く節くれだった指が潜り込んでくる。人のそれよりも高いアジールの体温を味わうように、人ならざる肉体に秘める強靭な弾力を確かめるように、淡く力を込められながら腰へと向かってなぞり上げられる。  アジールは震えるような息遣いをくちばしの隙間からわずかに漏らすが、それ以上の反応を示すこともなく、その不敬な接触を受け入れざる得なかった。  ……怒声を上げ、超越者の膂力で棒切れのような細腕を振り払い、皇帝への狼藉に然るべき罰を与えようとしたことは幾度もあったが、それが完遂できたことはない。  振りかざした皇帝の威光を嘲りとともに踏み躙られる屈辱は耐え難く、しかし恭順を示し娼婦のようにその体を開く羞恥も受け入れられず、できるのは人形のごとく押し黙り心を殺すことだけだった。 「……さて、さて」  枝のように細く乾いた指先で、下腹部を円を描くようになぞられながら、しわがれた年老いた男の声が聞こえる。  感極まるように上ずり、湧き上がる劣情に火照り、しかししゃがれた喉の奥から絞り出すか細い声。 「今夜もお前の囀りを聞かせてもらおうか……」  生暖かい湿気を含んだ呼気が、腹部の羽毛をくすぐる。それだけで穢れが体へと流れ込んでくるような錯覚を伴って、しゃがれた猫撫で声がじとりと体に纏わりついてくるような心地だった。  萎縮し、冷たく閉ざされた意識とは裏腹に、耐え難い火照りの宿る下腹部を執拗に撫でられながら、何一つ反応を示すまいと努め続けることだけが、今のアジールにできる唯一の抵抗だった。  手入れの行き届いた柔らかな羽毛を指で梳かれながら、形良くくびれた腰を、引き締まりつつも艶めかしい弾力を秘めた尻を、張り詰めた内股を、両の手で撫で回されてゆく。  手に入れた希少品の隅々までをも確かめるように執拗な愛撫。それが己の所有物であるという実感を得るための、儀式じみた前座だった。 「……ッ」  飽きもせず続くそれに、しかしアジールは悩ましく身震いをして、嘴から切なげな吐息を漏らしてしまう。  股ぐらに忌まわしい熱が広がってゆくのを感じた。数えることさえ諦めるほど、幾度となく繰り返し条件付けられた刺激に、体はアジールの意思に反して昂りを見せる。  それは初めて自覚したときから、この恥辱に満ちた閨を重ねるたび顕著になっていた。次に与えられる刺激を予感して熱を帯びた割れ目が、ヒクヒクと震えながら蜜を溜めている。 「はは、まだそのメス穴に触れてもおらんというのに」  もはや、どれだけアジールが平静を装おうとしたところで、その変化を隠すこともできはしなかった。色づいた割れ目を避け、焦らすように続ける愛撫のみで切なく震えてしまう体へと、しゃがれた嘲笑を向けられる。  黄金の兜の奥で硬く閉じた瞼が震える。割れ目の奥、粘膜から滲み出すとろりとした液体がついにこぼれ落ち、羽毛を湿らせながら股を伝い、臀部へと滴ってゆく。 「……っ」  腹部へと押し当てられていた手のひらが、震えヒクつく粘膜を避けるように、弧を描く形で下降する。  尻穴もない臀部の割れ目を細指でなぞられ、ゆっくりと滴る生暖かな粘液を指の腹で受け止められる。  くちゅ、と耳を澄まさねば聞こえぬ程度の微かな水音を伴って、それが拭い上げられてゆく。同時に、弱々しい呼気が潤滑に満ちた割れ目へとかかるのを感じた。 「ぁ……?」  深く刻まれた記憶から来る予感に、アジールはついにか細い声を漏らす。怒りと憤りの中に隠れながら、しかし確かに膨らんでいたもどかしさ、決定的な刺激が与えられぬことへの、欲求不満。まるで、そうされることを自ら望んでいるかの如き心の動きへの、困惑の声だった。 「そんなに感じているのか? 次から次に溢れて、……なんと、芳しい……ッ」  匂い立つ淫らな液体の芳香を深く吸い上げながら、しわがれた声に情欲の熱がより一層に強く滲む。唾液に塗れた口が湿った音を鳴らすのが聞こえた。  硬く閉じた瞼の裏に、しゃれこうべを思わせる痩せた老人の顔が浮かんだ。窪んだ目を爛々と輝かせて、不自然に白く並びの良い歯の隙間から舌を伸ばす、老いさらばえた男の悍ましい顔が。 「いま、きれいにしてやろう……っ」 ――ぬるり。 「――ッ!」  生温かい特大のナメクジが、敏感な粘膜の上を這い回るような感覚。覚悟していながら、それでもアジールは息をつまらせて背筋を跳ね上げてしまうのを止められなかった。  じゅぞ、じゅるる。溢れ出す秘蜜を音を立てて啜られながら、震える『入り口』の淵を、円を描くように舐め回されてゆく。  そのねちっこい舌使いに応えるかのように、腰が震えた。奥に燻る熱が膨れ上がって、じんと痺れるような感覚が広がってゆく。啜り上げられたそばから淫らな体液が滲み出して止まらない。 「ぅ……ッ、く、……ッ」  どんなに声を押し殺そうとしても、嘴の隙間から艶めいた息遣いが漏れ出てしまう。気づけば、丸められた指先でシーツを握りしめている。  惨めさに、涙が溢れそうだった。これがただ、尊厳を踏みにじられ屈辱に震えるだけの被虐であれば、どんなに良かったか。  シュリーマの皇帝たる者が、時を超え復活を果たした超越者たる者が、虜囚となり下卑た老男にその身を蹂躙されながら、快楽を感じている。  植え付けられた忌まわしい火種が、日々膨れ上がってゆく。他者の手で、望むままの好色な籠の鳥へと作り変えられてゆく。  そしてそれに、抗う手立てすらもない。 「ん、はぁ……。まったく、しおらしくなったものだな?」  老人はわざとらしく喉を鳴らし、啜り上げた愛液を嚥下してみせると、抵抗すら見せぬアジールを嘲るような口ぶりで、満足気にそう言った。  アジールの腰へと回されていた手が、胸元へと向けて登ってゆく。柔らかな羽毛の下に人外の強靭な筋肉を宿したそこへと達すると、節くれだった指先がその中心へと触れる。 (ぬけぬけと……ッ)  羽毛に隠された古傷の隆起を弄ばれながら、アジールは嘴が軋むほどに歯噛みしながら、胸の内で怒りの言葉を叫んだ。  ……それこそが、なんの魔力すらも有さぬ、非力で年老いたちっぽけな男に抗えぬ理由だった。  ケミテック。かつてシュリーマが反映を誇った時代には、その名称すら存在していなかった技術。  超越者の肉体にすらも影響を与えるその技術によってアジールは意識を失い、縁もない異国の地に囚われ、目覚めたときにはその体に細工を受けていた。  外科的な手段で胸の内に埋め込まれた機械は、アジールが超越の身に宿す魔力を振るおうとすれば、すぐさまそれを検知する。  アジールを御するべく嵌められた虜囚の首輪からは、体内へと二本の管が伸び、血管へと接続されている。  超越の魔力と肉体によって抵抗を示したとき、首輪の中で調合され静脈へと直接流し込まれる『ケミ化合物』とやらは、あらゆる抵抗を奪ってアジールを無力化した。  あるときは身動きも取れぬほどの激痛に全身を苛まれ、気を失うまで狂ったように痙攣し続けた。あるときは、考える間もなく意識が断絶し、気づけば寝台に横たわっていた。  そしてあるときは、言い知れぬ多幸感の中、夢見心地のままわけも分からず股を開き、老人の魔羅を受け入れていた。 「無愛想は相変わらずだが、それすら愛らしいほどだ……っ」 「ぁ……ッ!?」  身を苛む狂おしい熱に耐え、唾液と愛液に塗れて震える花弁へと、老人の乾き節くれだった手のひらを被せられる。  舌先でねっとりと舐めほぐされた割れ目は淫らに充血し、かさついた手のひらで撫でられるのみで、アジールは腰を跳ね上げて喘ぎ声を漏らしていた。  未だ刺激を得られぬ内側へと、被せられた手指を欲しているかのごとく、総排泄孔はぱっくりと口を開いて、震える粘膜を露出させている。 「あ……ッ、ひ、あ……ッ、う……ッ」  くちゅくちゅと、わざとらしく音を立てながら色づく淫肉を弄ばれる。手のひらでこね回され、痛いほどに抓りあげられ、丸い爪で柔く掻き毟られ、そのどれもに容易く喘ぎ声を引き出されてしまう。  逃げることも、拒むこともできず、不格好なガニ股に開いた脚が震わせながら、浮かせた腰をガクガクと痙攣させる。  どれほど懸命に抗おうとしても、背筋を昇る甘い痺れに翻弄され、己の体を御することもできない。  もはや保つ威厳すらも存在しない無様な姿を晒しながら、股ぐらの内で膨れ上がる熱がどこまでも圧縮されて、その臨界点へと向かってゆくのが分かる。 「んッ、ん~~ッッ!」  軋むほど食いしばった嘴の隙間から、それでも抑えきれぬ掠れた悲鳴が漏れる。こうして忌まわしい老男の手で弄ばれ、なすすべもなく絶頂へと導かれる屈辱と快感は、今やこの浅ましいメス穴に深く刻まれていた。  アジールがどれだけ頭で拒もうと、反復と条件付けによって体に仕込まれたそれが、耐え難いほど滑らかに再現されてゆく。 「――ッ」  ――ぷしゃあ。  柔らかく細身な体を寝台の上で弓なりに跳ね上げながら、アジールは女が潮を噴くかの如く吐精していた。  湯気を上げる割れ目から白濁液が溢れ出し、被せられた細指の隙間から滴った。 「あ、ぁ……」  絶頂の余韻に酩酊し放心しながら、アジールは間の抜けた声を漏らす。浮かせた腰を緩慢に下降させながら、黄金の兜の奥で見開いた瞳は宙を向いていた。  ぼやけた像は、体を包む浮遊感が抜けていくのに合わせて、鮮明となってゆく。アジールは、ただ呆然とそれを見た。天井より吊るされた大鏡に写る、無様な籠の鳥の姿を。 「はは、今日はまた、随分と早いな。……そんなにも良かったか?」  肋の浮く小柄な老人が、白濁液の滴る右手を掲げながら満足げな口ぶりで囁く。例え自由の身であったとしても、何も言い返すことなどできなかった。  大鏡には、人としても平均を下回る痩せ細った矮躯に組み敷かれ、広げた股を淫らに濡らす己の姿が国名に映し出されている。  老人の股ぐらからは、その体躯には似つかわしくない黒々とした剛直が熱り立ち、その竿は皮下に埋め込まれた真珠による無数の隆起が浮かんでいるのが見えた。 「……聞くまでもないか」 「……っ」  情欲に浮かされた恍惚の声で、老男が低く呟く。寝台を軋ませながらその矮躯に覆いかぶさられ、べったりと精液の付着した右手が、黄金の兜へと向かって伸ばされた。  杖も、鎧も奪われながら、唯一アジールに残されたその兜。汚れの一つもなく丹念に磨き上げられた黄金の輝きへと、手のひらにへばりつく白濁液を無造作に塗りたくられる。  呆けていないか確認するかのように、そのままゆるく頭を揺すらながら、兜の内でアジールの疲れ切った目に浮かぶ涙がついにこぼれ落ちた。  かつてあらゆる反対を握り潰し、皇帝の権威を振りかざし、その力の限り手を伸ばしたもの、死をも越えて手にした神々しき超越者としての威容が、穢らわしく醜悪な男の劣情によって踏みにじられている。  決して侵されざる、神聖にして高貴なる権威。それを蔑ろにされる怒りと憤りは今や、信じ求めたものが崩れ去る恐怖へと変じつつあった。  ……己の身に降りかかる恥辱のみではない。今どこに囚われているかも分かりはせず、虜囚としてどれだけの時を過ごしたかも曖昧で、外界の情報は何一つとて知らされることもない。  象徴たる皇帝を失ったシュリーマは、今――。 (考えるな……ッ)  幼き日のごとき心細さと、明日も知れぬ不安。それを振り払おうとするように、アジールは胸の内で叫んだ。  日々萎縮してゆく怒りにしがみつき、いつ尽き果てるとも分からない憤りを奮い立たせ、耐える他なかった。 (そう、いつの日か……、余は……)  気を抜けば思考を埋め尽くそうとする最悪の想像を上書きするかのように、アジールはありもせぬ希望を思い浮かべる。  あの無機質なドアが蹴破られ、この鳥籠から救い出される日を。あの英雄であれば、忽然と姿を消した皇帝の居場所さえ見つけ出し、この冒涜者を処してくれよう。  少年の日、在りし日のシュリーマで初めて相見えたときより決して変わらぬその姿を、アジールは思い描いていた。 「さて、さて……」  目の前の光景を直視することさえも拒絶し、自らを慰めるべく妄想に耽るアジールを見下ろしながら、老人がしわがれた声で呟く。  白濁液に塗れて充血した粘膜を晒す淫靡な穴を覗き込むように身を屈めながら、後付の加工を繰り返した醜悪な男根をそこへあてがった。 「そのまま、しっかりと見ておれよ」 「あ、あ……ッ」  頭上の大鏡を見上げたまま呆け続けるアジールへとそう命じながら、老人がゆっくりと腰を引く。  雄竿の表面に浮かぶ無数の隆起がアジールの股ぐらへと擦り付けられ、その敏感に仕上がった淫肉へと伝わる甘い刺激に、アジールは声を上げながら身震いした。  ぼやけた視界に描いた英雄の姿は掻き消え、残るのは大鏡に写る現実のみ。淫らに花開いた花弁へと、老人の黒々とした男根をあてがわれる、哀れな情婦の姿だった。 「あッ、ひっ、い……ッ」  竿に浮かぶ隆起が触れぬ程度に、そのカリ太な亀頭のみで入口付近をかき混ぜられ、ちゅぽん、ちゅぷり、と卑猥な音が響く。  奥に広がる熱が一層に切なく疼き、満たされぬ飢えに臓腑を引き締められるような感覚が走った。  老人は飽きもせず、その淫らな前戯を繰り返す。まるでアジールが自らその醜悪な男根を突き入れてくれと叫ぶのを待っているかのように感じられた。 (下衆めが……ッ)  例えこの嘴が裂けたとて言うものか。アジールは再び瞼をきつく閉じ、嘴を食いしばりながら、背筋を昇る快感に耐える。 「はは、辛抱たまらんのか? この肉穴ときたら、物欲しそうに魔羅へと吸い付いて、まったく卑しい限りだぞ?」 「ぐっ、う、んん……ッ」  嘴の隙間から漏れるうめき声すら、気を抜けばふしだらな女のごとき艶を帯びてしまう。  くちゅり、ぬちゅりと音を立てて黒ずんだ亀頭を粘膜に擦り付けられるたび、蕩け果てた腹の奥に痺れが走って、感じたこともない甘く狂おしい感覚が広がる。 (なん、だ……ッ!?)  その慣れぬ快感に翻弄されながら、アジールは困惑と焦りに背筋の羽毛を逆立てる。  かつて無垢であった総排泄孔へと丹念に教え込まれ積み上げられてきたものが、ついに花開きつつあった。  性感帯への刺激によって射精へと至る際の、男としての快感とはまた違う未知の快楽。  幾度となく繰り返された凌辱の中、アジールの内で丹念に育てられてきた火種は、ついにはっきりと自覚できるほど大きくなっていた。 「まっ、まて……ッ!」  気づけば、アジールはこの老人と言葉を交わすまいという細やかな抵抗も忘れて、叫んでいた。  知ってはならない、踏み越えてはならない場所へ至りつつあると、その予感に突き動かされて、逃れようと腰を浮かし身を捩る。 「それが、飼い主への言葉遣いか?」 「――っ」  老人はしゃれこうべを思わせる顔に浮かぶ窪んだ瞳をこちらに向けながら、その不自然に白い歯を見せて言った。  肋骨が浮くほどに痩せながら、しかし垂れ下がった皮膚がシワと積み重なる腰が緩慢に動くたび、股の奥で狂おしい熱が一段と燃え上がってゆく。  重々しく首を締め付ける鉄の感触が、逃れることなどできないと、それを常にアジールの意識へ刻み続けている。 「や、め……ッ」  爪を丸められた程度の、今やなんの拘束すらも受けてはいない両腕を、しかしアジールは目の前の老人を突き飛ばすために振るうこともしない。  ぎこちなく震えながら持ち上げた両腕でできることは、失意の中で望まぬ破瓜を迎える生娘のごとく、怯えるように顔を覆い隠すことのみだった。 「……頃合いのようだな」  アジールの切羽詰まった反応を見て、老人が舌なめずりとともに呟く。  ゆったりと円を描くような腰の動きが止まり、アジールはつかの間の休息に脱力して、浮かせた腰を緩慢に下降させた。  かつてなく敏感に焦らされた割れ目の中に、形さえも分かるほどにありありと、他者の存在と熱を感じる。  幾度となくアジールを蹂躙し続けてきた醜悪な黒魔羅。それがゆっくりと、再び動き出した。 「ン゛ッ、ア゛……ッ!?」  火照る粘膜を割り開きながら、その剛直がアジールの奥へと挿入されてゆく。無数の隆起によって発生する狂おしい刺激に嘴を閉じていることすらもできず、嗚咽じみた水気を伴う悲鳴が喉の奥から溢れ出した。  ぷちゅり、と湿った破裂音を伴いながら、這い進むようにゆっくりと進む男根。下腹部を内側から圧迫される息苦しさに身を捩るたび、雄竿に浮かぶ真珠に淫肉を掻き毟られる。  ゆっくりと、じっくりと、雄竿のすべてをアジールへ味わわせるように、老人はその腰を進めてゆく。 「――ッ、は、はぁ……ッ」  ぺたん、と骨の浮く腰がアジールの腰へと密着する。黒ずんだ亀頭は最奥へと達して、蕩け果てたように熱い丹田の奥でその存在を主張している。  細めた瞳から、再び涙がこぼれ落ちた。かつてないほどにはっきりと、己の内側に他者を感じる。己の最も深い場所を蹂躙され、征服されているという実感が、否定し得ぬほどに胸を満たしていた。 「ひ……ッ」  老人が、小さく身震いするように腰を揺らす。股の奥の一点を狙うように小突かれながら、甲高い囀りを思わせる悲鳴がこぼれ落ちる。  根本まで挿入された肉棒を引き抜かれることも無いまま、老人はアジールの上でその身を揺らし、ギチギチと押し拡げられた総排泄腔の最奥を抉られる。  粘膜を擦り上げられる刺激は最小限のまま、もっと深い、別の快楽の在り処を教え込まれるように、ただその一点を繰り返し圧迫され続けた。 「あっ、ん、んあ……ッ、ひっ、ぃん……ッ」  上擦った小鳥の囀りが、止むこと無く喉の奥から溢れ続ける。知らなくてよかった、知りたくもなかった何かが、老人の腰使いによって引きずり出されてゆく。  ゾクゾクと脱力するような震えが背筋を伝う。総排泄腔を乱暴に掻き回されて身悶えしながら射精へと達するときとは違う、穏やかささえ感じる静かな快感が、緩やかなピストンを受けるたびに積み重なり、腰全体に広がってゆく。  その未知なる感覚から意識を外すことができない。慎重にアジールを導くような性の手管が、それを許さなかった。 「……ここだな?」 「んんっ、ああ……ッ、あ――ッ」  老人がその広角を釣り上げて問いかけながら、ぴたりと密着させた腰を揺さぶって、アジールの最も感じる場所を抉る。  熱く硬い肉棒でグリグリとその場所を押し潰されながら、気づけばアジールは狂ったように痙攣しながら声を上げていた。  体が言うことを聞かない。丹田をとろかす火種は今や下半身全体へと広がり、アジールはつま先で寝台を抉るように膝を曲げながら、筋肉の硬直に両の太ももが張り詰める。 「感じるか? 格別の快感だろう?」  老人の下卑た問いかけも、今やアジールの耳には届いていなかった。大口を開けてよだれを散らしながら、どれほどに踏み躙られようと必死に守ろうとしてきた威厳も忘れ、喘ぎ狂う。  静かに燻るように穏やかな快感は、いつしか下半身全体に広がっているとさえ思えるほど膨れ上がり、アジールは思考を差し挟む余地もないほどに、圧倒されていた。 「――ッ、――ッ!?」  声も出ない。掠れた息遣いが大きく開いた嘴からこぼれ落ちるのみだった。視界が白くぼやけて、その中を火花が飛ぶ。  背筋を駆け昇る快感に脳が痺れて、ただ気持ちいいと、それ以外の何もがわからなくなるほどだった。 「~~ッ」 ――どくん。  老人の剛直にギチギチと埋め尽くされた総排泄腔の中に、アジールの精液が溢れた。濡れそぼり色づいた割れ目から白濁液が溢れ出し、シーツへと滴り落ちる。  ……しかしそれでも、絶頂の波が引くことはなかった。 「あぁ、ま、また……ッ」  射精の余韻も過ぎ去らぬうちに次なる波が押し寄せるのを感じ、怯えるように声を上げながら、もうやめてくれとばかりに首を振る。  痩せこけた老人の矮躯を持ち上げることもできぬほどに体は脱力し、射精に伴って落ち着きを見せた下半身の痙攣が再び現れ始める。 「あ゛ッ、おっ、お゛ォッ、オ゛……!?」  止まらない。終わらない。幾度も脱力と緊張を繰り返しながら、大小の波のように押し寄せ続ける絶頂に脳を焦がす。  壊れた蛇口から水が滴るように、総排泄孔の奥から精液が緩やかに溢れ続け、老人の黒魔羅を咥え込む割れ目から滴ってゆく。 「ひ――ッ、ぃ――ッ」  やがて射精の感覚すら曖昧となり、ただ蕩けるような快感の中でアジールが零す囀りは、夜通し耐えることはなかった。 終


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