前回

前回 肉と肉がぶつかり合い、滴る体液が弾ける卑猥な音。そればかりが絶え間なく響き続ける。 黒紫のぬらぬらとした表皮に覆われた屈強な腹に視界を阻まれ、太く強靭な無数の手で体中を押さえつけられ、尽きることのない欲望を叩きつけられる。 「――ッ♡ ――ッッ♡♡♡」 生ける雌穴と化した体は、もはや呼吸も必要...
そこがどこか、眼の前にいるのが何者か、それすらもレオにはもう分からなかった。
大きな流れの中に組み込まれた一部として、下卑た欲望と悪意のどろりとした奔流の中で漂い、自発的な考えを持つ権利もないまま、その中に溶け込んでゆく。
レオはただ、砂塵の舞う石造りの遺跡の中で、黒い毛皮に包まれた大男が、迫る触手を携えた戦杖で払い、切り落とされた触手が黒紫の獣の群れへと変じて襲いかかり、じわじわと追い詰められながらも抵抗を続ける姿を見つめ続けていた。
怪物の体から伸びる触手が、その男の纏う腕甲を、兜を、足甲を、そして金の刺繍があしらわれた腰布を掠め、戦いの中で少しずつ剥いてゆく様を、怪物が感じる欲情の中で見つめ、怪物が抱く邪な悦びに包まれて見つめる。
滴るように怪物の体から溢れてゆく、へどろのようにどろりと蕩けた黒紫の肉が床を覆い、壁を登り、天井を埋め尽くし、かつてレオが穢され辱められたときと同じ、肉の牢獄を作ってゆく。
男の素足がその肉床を踏みしめて、ぐじゅ、ぐじゅ、と音を立てていた。
もはや下着一枚の姿となりながら、あえて戦いを長引かせながら裸へと向かれてゆく屈辱に、男はジャッカルの鼻面に険しいシワを刻み、青白く発光する目で悔しげにこちらを睨みつける。
荒く布を巻き付けた下着の中にどんなに雄々しい肉棒と重たい玉袋を隠しているか、それを確かめたいという期待がレオの中へと流れ込んでくる。
「下種めが……っ」
怒りを滲ませるように剥き出しとなった牙の隙間から、唸るように吐息が漏れている。
追い詰められた獲物が、劣勢を悟りながらも抗い得ぬ嫌悪に背を押され抵抗を続ける様のいじらしさに、腹の底から湧き上がるような嗤いが止まらない。
数を減らした暗紫の獣たちが男へ飛びかかるのに合わせて、無数の触手を同時に振るう。いくつかは戦杖に切り払われて、いくつかは男の操る魔術によって勢いを削がれ力を失い、そしていくつかはその引き締まった腰を掠めて下着を引き裂く。
「……!」
ここまでの触手での攻撃からそれを予想していたようで、男は避けきれぬと踏んだ触手に緩んだ下着を絡め取られるのを無視して、獣の最後の一匹を叩き伏せ、とどめを刺すように踏み躙る。
引き締まった強靭な大腿部の間で、巨体に見合った逸物が股ぐらからぼろんとこぼれ落ちていた。
弄ばれる屈辱と羞恥、そして己へと向けられる下卑た視線への嫌悪に表情を歪めながらも、意外なほどに冷静さを保って、じりじりと後退する。
ついに隠されもせず垂れ下がる肉棒と、瑞々しく揺れる玉袋を晒しながらも、ついに正面のこちらにのみ意識を割ける状況に乗じて、逃走の可能性を思案しているようにも見えた。
睨み合う間にも、怪物から滴る蕩けた肉が部屋を覆い尽くそうと広がり、刻一刻と退路を塞ぎつつある。
この、神気を帯びた魔力を宿すジャッカルの男が、一糸も纏わぬ痴態を晒しながらどう戦って見せるか興味は尽きなかったが、今はそれよりも強く別の想いがレオを貫いていた。
「――っ」
男の体に滴る暗紫の返り血が、怪物の思うがままに黒い毛皮の上を滑って、引き締まった尻の割れ目に隠れる肛門を撫でる。
排泄にしか使われたことのないそこに浮かぶ無数のシワの一つ一つをも愛でるように舐られながら、男が僅かに身震いをした。
「ぬうぅ、ぐぅ……っ!」
怪物の体から伸びるのと同じように、床を覆う黒紫の肉から発生した隆起が触手となって男の体を絡め取る。
その巨体に刻まれた筋肉の盛り上がりをなぞり、力強さを確かめるように締め上げながら、垂れ下がる雄竿に浮かぶ血管を先細った先端でちろちろとなぞり上げる。
「貴様……ッ」
戦いそのものが茶番であったと理解した男が、恨めしくこぼす呻きを聞きながら、怪物の想うままにレオも想う。
はやくこの立派な肉棒が屹立し、無様に精を撒き散らすところが見たい。あの呪われた獅子頭の男のように、飽きるまで――。
(――ああ、そうだ。)
忘れかけていたものを不意に思い出すときの、心地よい思いつきの感覚を最後に、否応なくレオを支配し続けるものから切り離されてゆく。
ゆっくりと自と他の境目がはっきりとしていき、失われていた個の輪郭が浮かび上がる。
視界が薄らいで、真っ暗になって、自分自身が流れ出してゆく。
『――っ』
肌の上をぬるい風が撫でている。久しぶりにそれを感じていた。非人間的な金切り声が喉の奥から息遣いとともに漏れて、微かに漂う汗の芳香が鼻腔に甘く広がる。
薄っすらと、少しずつ照らし出されてゆくかのように、自分の目から見る視界を取り戻してゆく。
もがくように腕を持ち上げると、腕と分化を終えていない肉床の一部が引き伸ばされて、やがてぶちぶちと音を立てて剥がれる音がした。
いつぶりかも思い出せぬ人の形に微かな違和感を覚えながら、二本脚で立つ感覚を少しずつ思い出すようにして、ゆっくりと立ち上がってゆく。
手のひらも、体つきも、前と同じだった。レオの形を保っていた。しかし、全ては黒紫のぬめりとした肉で作られている。
「……っ、見るに、耐えぬな」
そんな、吐き捨てるような独り言が聞こえた。
はっと見上げれば、鋭いジャッカルの顔に、悍ましい異形を見る生理的な嫌悪の表情が刻まれている。
怪物の血肉から現れた、醜悪な眷属の姿を目前にする嫌悪が。
『――ッ、――ッ』
男の独り言に何か返事をしようとしたが、人の言葉を口にしようとしても、レオの喉からは非生物じみた異音が溢れるのみだった。
……そう、この身はもう、怪物の一部。男の示す反応に改めてそれを思い知らされるが、不思議なことに、変わり果てた己の姿への悲哀が湧き上がることはなかった。
それよりも――。
「……ッ」
逞しい胸板へと手を伸ばすと、男は鋭い牙を食いしばって耐えるように呼吸を乱す。
醜い異形の生物へと抱く生理的な嫌悪の想いが、レオには手に取るように理解できた。レオ自身が、かつてその身で味わった感覚なのだから。
震える胸板を、ナメクジが這ったような跡を残しながら指先でなぞり、乳首を弄ぶように爪弾いてみせると、男は恥辱と悍ましさに表情を歪め顔を伏せる。
その姿がレオには、酷く艶めかしく感じられた。散らされるのを待つ純潔の如く、穢される前の無垢さの如く、レオを誘い抗いがたいほどの劣情を掻き立てる。
『――ッ、――ッ』
悦びの叫びが、喉の奥から溢れ出す。見上げるほどの巨体を隅々までも穢し尽くすことを考えるだけで、股ぐらから狂おしいほどの熱が迸るのを感じた。
むくりと、かつてよりもずっと太く醜く、歪に反った肉棒が、雫を垂らしながら勃ち上がり、この男の尻の奥に子種を放ちたいと訴えるように暴れ出す。
びくんびくんと、先走りを散らしながら跳ね回る亀頭が、自らの胸元を何度も打つほどだった。
今やレオの全てを、その肉の杭が支配している。それを介さぬままに思考することなど、もう不可能だった。
「――っ」
男が、小さく息を呑む。もはや抵抗の手段もなく、しかし直視するには悍ましい醜悪さから目を背けるように、視線を伏せる。
その仕草が得も言われぬほどにいじらしく、欲情をそそられるのを感じた。
「……っ、ぬ、うぅ……っ」
男の四肢を絡め取る触手が、レオの意思を汲むかのように動く。ぷるぷると震えながらこわばる太ももを強引に開かせながら、レオは歪な楕円に歪んだ亀頭でその内股をなぞり上げる。
黒く短い獣毛に包まれた内股からは、逞しい太ももの内に秘められた力強さが伝わってくる。
それだけで、この男の無垢な尻の穴がどれほど強烈に肉棒を締め上げてくれるかという期待を掻き立てられて、反り上がった魔羅が痛むほどに張り詰めてくる。
「さわる、な……っ!」
手のひらから滲み続ける粘液をべっとりと塗りたくるようにしながら震える腰を撫で上げ、重々しく垂れ下がった玉袋を亀頭で押し上げて弾力を確かめていると、その穢らわしさに耐えかねた様子で男が唸る。
玉袋へと先走りを塗りつけるようにして、亀頭を押し付けたまま軽く弄んでやると、体と同じ黒い獣毛に包まれたそこがシワを刻みながらきゅうと縮み上がってゆく。
ぞわりとした怖気に男の身を包む毛皮が鳥肌をを立てるように薄く波打つのが見えた。
「~~~っっ」
隠そうとしても隠せない、生理的な拒否感からの震えが男の体から伝わってくる。まるで、赤子の作り方も知らぬ潔癖症の生娘だった。
……なに、一度雄の味を知れば不安など消えて無くなる。尻の奥に咥え込んだ魔羅の形を忘れられなくなるのも、すぐだ。
己の辿る運命も知らぬまま、険しく張り詰めたジャッカルの顔をうっとりと見上げながら、レオは込み上げる生唾を呑み込んで、口を開く。
暗紫の組織で再現された無毛の獅子頭、牙もないその顎から、触手のように太くうねる舌を伸ばし、見惚れるほどに形の良い逆三角形の胴を、臍の窪みから分厚い胸板まで舐め上げる。
うっすらと湧き上がる冷や汗が短く硬い獣毛を薄く湿らせ、香しい雄の匂いと淡い塩味に期待が膨らむ。
「……ッ、ふ、……ッ」
張り詰めた胸板の上で可愛らしく震える乳首を、右側は指先で弄び優しく弾いてやりながら、左の突起の周りを円を描くように舐め回す。
舌先で描く円を少しずつ狭めてゆくのに合わせて、男の食いしばった牙の隙間から吐息が漏れ、乳首が熱を持ちながらぴんと張り詰める。
太く長い舌でとぐろを巻くようにそれを囲みながら、レオは舌先を鋭く先細らせ、毛皮の隙間から姿を表した乳首へと押し付ける。
「――ッ!」
見上げるほどの巨体が大きく跳ねた。糸のように細く伸びたレオの舌先が、線虫の如くうねりながら男の乳首を責め立て、火照りに震える突起を優しく貫いてゆく。
感じたこともないむず痒さに困惑し戸惑う、男の反応が伝わってくる。無粋な痛みがその悩ましい仕草を遮ってしまわぬよう細心の注意を払いながら、レオの舌先はぷくりと立ち上がった乳首を貫通していく。
血を流すことも、痛みを与えることも無いままに、細く伸びた舌先が張り詰めた突起に横穴を作り、少しずつ拡げてゆく。
穴を広げるように引き伸ばし、舌先をひかけたままねじるように力を加えたり、思う様に弄ぶたびに男の体から震えが伝わってくる。
「……っ、あり、え……っ、この、ような……っ」
乳首から広がる甘い熱に困惑する様子で、か細く消え入るような独り言が聞こえた。
レオはその初々しい反応に口角を吊り上げる。繰り返し引き伸ばされ、唾液を塗りたくられながら穴を拡げられるうちに、もう片方に比べて歪に肥大し始めた左の乳首へと、記念を残してやろうと決めた。
『――ッ、――ッ』
喉から漏れるレオの非生物じみた唸りが響くのに合わせて、細く伸びた舌先が自切する。
肥大した乳首をいやらしく責めるように蠢きながら継ぎ目もない輪の形を作り、黒紫色の蠢く肉で作られたピアスとして、ぽってりと膨らんだ乳首を飾る。
「……ッ」
レオの体から切り離されてもなお、肉のピアスはその表面を波打たせるように蠕動を続けて甘い刺激を送り続ける。
穢れを知らない体に一つ目の証を刻んだ満足感に口角を吊り上げながら、レオは男の屈強な背から引き締まった尻へを優しく撫で下ろした。
今や絶え間なく胸に送られ続ける甘い痺れに耐えて筋肉が震える様子が、手のひらからも、密着した体からも伝わってくる。
この先はどれほどに激しく反応を示してくれるのか、その期待に打ち震える肉棒を男の下腹部に押し付けて、その硬さと熱を教え込むようにしながら、粘液の滲む指を尻の割れ目に滑り込ませる。
「あ――ッ」
力強い巨躯が、また大きく跳ねた。人差し指の腹を肛門へと押し付けてくちゅくちゅと音を立てて擦り上げると、縮み上がった肛門がそれに応えるようにして指に吸い付いてくる。
……くぽん。ずる、ちゅ。肛門のシワの一つ一つへも粘液を塗りたくるようにしながら、濡れそぼった穴へとほんの少しずつ人差し指を差し込んでゆく。
指先の、ほんの三分の一だけを肛門の襞に沈ませて、火照ったそこが吸盤のように吸い付いてくる感触を楽しみつつ、ぷちゅっとわざとらしく音を鳴らして聞かせる。
固く引き締まった尻が固くなるのを感じた。侵入を拒むために、力の限り肛門を締め上げようとしているようだったが、十分な潤滑に塗れた肛門を指で擦り上げてやるだけで、その力みが容易く解けてゆく。
その繰り返しを続け、その気になればいつでもその懸命な守りを突き崩せるよう整える中で、男が肩を震わせながら呻くようにこぼす。
「否……っ」
たった今気付いた己の変化への失望が、その声色に浮き彫りになっていた。しかしレオは、その雄々しさを寧ろうっとりと味わうように、強く己の腹筋を押し付ける。
「ぬ、うぅ、ぐ……ッ」
両生類の瑞々しい表皮にも似た肌を、男の股ぐらからそそり勃つ魔羅へとピタリと押し付けながら、ジャッカルの面と同様の凛々しさを感じさせるその形と、湧き上がりつつある欲望に耐える微細な震えを味わう。
ほんの少しの反応すらも見逃さぬつもりで深く感じ入りながら、試すように指先への力を強め、きゅうと震え上がる尻の穴を圧する。
「――ッ!?」
つぷりと、狭い穴の中へと人差し指が滑り込む。初めて入口としての役目を強いられる混乱に、無垢な菊門がヒクヒクと収縮を繰り返しながら、侵入者を追い出そうと懸命に抵抗を示している。
ぷちゅっ。ちゅっ。ちゅんっ。何度も、何度も、濡れそぼった肛門を指先へと吸い付かせて、爪弾くようにして破裂音を響かせると、男が羞恥に身を震わせる様が伝わってくる。
すっかり固く張り詰めた魔羅を腹筋の割れ目で擦り上げるように、ゆったりと身を揺すってやると、切なく火照った吐息を漏らすのが聞こえる。
雄々しい剛直がビクビクと震えながら熱を持って、男の恥辱に満ちた苦悶の表情と反しさらなる刺激を求めているようだった。
ピタリと吸い付く肌を擦り付けながら、レオは指先を更に深く挿し込んでゆく。かつての姿を真似ただけの指は、関節の向きも関係なく蛇のようにうねって、温かな腸壁へと粘液を塗りたくり、その拡がりを確かめるように撫で回す。
「やめ、ろ……っ」
男が呻く。腸壁の内側をなぞり上げるたび、腹筋で押さえつけた魔羅がびくびくと震え上がっている。
さっきまでは、己の敗北を受け入れ取り乱すこともなく殊勝な態度を見せていたが、こうして己の体を舐るように蹂躙されゆく悍ましさには耐えかねたようで、レオの責めから逃れようと身を捩り、意味もない抵抗を見せ始めていた。
こんなにも唆る手応えはない。冷静な理知の仮面に少しずつヒビが入り、異形の生き物に辱められることへの嫌悪と、否応なく拡がってゆく快感への戸惑いが、男の体中から滲み出しているようだった。
ぬちゅ。ぶちゅり。ぐちゅう。熱く震える肉襞から、愛撫に応えるが如く腸液が染み出してくる。温かくとろりとしたそれを指で拭い掻き混ぜるたびに卑猥な音が響いて、拭っても拭っても溢れ続けてくる。
……ああ、駄目だ。もっと弄んでやりたいのに、向こうから挿れてくれと懇願するくらい焦らしてやりたいのに、膨れ上がる衝動より強いものなど、この胸のどこにも残っていなかった。
「……ッ、獣めが……ッ」
レオがこらえきれずにカクカクと腰を動かし、男の内股に竿を擦りつけると、男は吐き気をこらえるかのような身震いのあと、深い軽蔑に満ちた言葉を吐き捨てた。
『――ッ、――ッ』
レオはその言葉を聞いて、見せかけの鼓動と呼吸を繰り返す胸の奥から、低く掠れるような嗤いを漏らす。
獣だなどと、この男の目には今の自分がそうも高尚な存在に見えているのかと、自嘲さえ感じる。
「ぐ、あ……っ」
肉床から伸びる触手が男の体を締め上げ、レオが望む体位へと男の姿勢を導いてゆく。
……今となってはもう、その触手とレオの間に大した違いは残っていない。
怪物の中に蕩けて腐り果てた魂の残り滓が閉じ込められているのか、ただそこだけが異なるのみの、獲物を辱めるための手足の一つ。……魔羅の一本でしかないのに。
「――ッ」
男の腕に刻まれた筋肉の隆起が一段と張り詰め、血管が浮く。そこから発せられる人外の膂力の力強さが、本体たる怪物を通じてレオ自身にも感じ取れた。
その強靭な肉体は、どんなに荒々しく腰を打ち付けても壊れること無く受け止めてくれるのだろう。股ぐらに集まる熱が、期待によってさらに激しく燃え上がるのを感じながら、レオは手首を小さく捻り、男の秘部へと差し挿れた指を動かす。
「……っ」
すっかり潤滑に満ちた腸壁の上から、蹂躙される悦びを未だ知らぬ前立腺をぎゅうと指圧すると、濡れそぼった肛門が狂ったように痙攣しながらきゅうきゅうと指を締め上げてくる。
男が悩ましげに息を漏らし、膂力の限りを振り絞る抵抗で成り立っていた拮抗が崩れる。
両腕は頭上で交差する形に捻り上げられ、重なり合う手首を結びつけるように触手が絡み合い、拒絶の手段を封じてゆく。
「ぬうぅ……っ!」
男はその抵抗を無駄と分かっていながら、それでも拘束から逃れようと腕に力を込め、固く拳を握る。その力みが、指へと伝わる締め付けの強さからも感じ取れた。
胸板を突き上げるようにして、その緊張が極限にまで高まるのを待ってから、レオは改めて指先に力を込め健気に震える前立腺を弄ぶ。
「オ゙ッ――!」
固く張り詰めた弦が爪弾かれ揺れる瞬間が、呼吸と呼吸の間に重なって、ジャッカルの顎から濁った声が漏れる。
「――っ、~~ッッ!」
その無様な喘ぎ声が自分の喉奥から発せられたことに、男は一瞬の間をおいて気づいたらしく、息を呑み鼻面のシワを一生に険しくしながら、羞恥に悶えレオを睨む。
青白い魔力の光を宿した目をうっとりと見つめ返しながら、その神気を秘めた魔力が穢されどんな色へと染まってゆくのかと、それを思い描かずにはいられなかった。
瞳に浮かぶ抵抗の意思は未だ陰ってはおらず、もはや避けることの出来ぬ決定的な屈辱の瞬間を少しでも遅らせようと、身を捩る。
男の筋肉が張り詰め固く強張ってゆくのを感じながら、レオはその動きに合わせて指を動かし、無防備な前立腺へと快楽の感じ方を教えてゆく。
自分がかつて丹念に教え込まれたものと同じ、雄を受け入れ蹂躙される快感を、丁寧に刻み込んでゆく。
「……あ゙ッ、……お゙ォッ、……オ゙ッ」
拒もうともがくほどに、刺激はより深く強くなってゆく。巨体を震わせる緊張と脱力のリズムは、もはや男ではなくレオの支配下におかれてゆく。
弓なりに反った背が、絡みつく触手の誘導に抗えぬままに傾いてゆく。突き上げるように上を向いた胸が、左の乳首を貫く肉のピアスから送られる刺激に震え続けている。
ぐちゅり。ごちゅり。束ねた指を四本も受け入れた肛門は楕円に変形しながらヒクヒクと収縮して、隠しようもなく卑猥な水音を響かせる。
絡みつく触手に支えられていなければ、すぐにでも肉床の上に崩れ落ちてしまうような体勢となりながら、男のつま先に並ぶ鋭い爪がもがくように肉床を掻き毟っていた。
「はあぁ……っ」
男の背が、ゆっくりと肉床の上に着地する。触手に支えられて持ち上がったままの腰が悩ましく揺れ、じっくりと馴らされて緩んだ尻の穴が、縮み上がった玉袋が、どくんどくんと鼓動に合わせて震え続ける肉棒が、そして恥辱に染まるジャッカルの顔が、レオの前に差し出されていた。
「い、否……っ、我は、決して……っ」
口角を釣り上げる無毛の獅子頭と羞恥に歪むジャッカルの顔との間で、硬くそそり勃つ剛直が存在を主張していた。
「あり、え……っ、このような……っ」
目を背けることも出来ぬ事実を必死に否定する言葉を、男は自らへと言い聞かせるようにこぼす。
レオはその焦燥へと思いを馳せながら、男の縮み上がった玉袋の裏、蟻の戸渡りの膨らみを親指で強く押すと同時に、緩んだ肛門へと挿し込んだ指を動かす。
「~~ッッ!?」
鋭く並ぶ牙を剥きながら、ジャッカルの顎が上向きにのけぞる。肉棒がビクビクと痙攣しながら先走りを散らして、その顔へと飛沫を落とす。
屈辱に打ち震える体の中で膨らんでゆく快感に悶える姿が、かつてレオが味わった同じ快楽を堪らなく想起させて、欲望が膨れ上がってゆくのを感じる。
『――ッ、――ッ』
もう、人の言葉を喋ることは出来なかったが、レオは溢れ出す衝動のままに非生物的な唸りを上げ、男へと覆いかぶさるように背を丸める。
「あ……ッ」
十分すぎるほどに前戯を終えた尻の穴から指を抜くと、くぽんと小さな音が響いて、男の喉から吐息が漏れる。
粘液に塗れてぬらりと艶めいた肛門がヒクヒクと震え、引き抜いた指先との間に糸を引いている。
……準備は整っていた。
「……ッ、はっ!」
軽く気をやっていたらしく呆然と投げ出されたジャッカルの顔に、ひたひたと先走りの雫が滴り落ちる。
青白い魔力の光を湛えた目が大きく見開かれ、レオを見上げていた。
今の自分はもはや人の形を真似ただけの肉の塊なのに、興奮に伴って意味もなく呼吸が荒くなってゆく。
無毛の獅子頭に深く笑みを刻みながら、男のそそり勃つ剛直へと重ね合わせるように、レオは自らの凶悪な肉棒を突き出してみせた。
「……っ、よせ……っ」
男の持つ人外の巨躯と比べて二周り以下の背丈しか持たぬレオだが、しかし肉棒だけは不釣り合いなほどに大きく形作られていた。
竿の上を走る無数の血管の隆起が目に見えるほどにはっきりと脈打ち、醜悪に歪んだ亀頭はカリ周りに禍々しい肉の突起を浮かべている。
レオの体を形作る暗紫の体組織とは色合いを異にする赤みを帯びた亀頭の先から、先走りがとめどなく溢れてジャッカルの鼻面へと滴ってゆく。
「やめ……っ」
その巨躯に秘めた清浄な神気と魔力を穢す雄の猛りを見せつけられながら、ジャッカルが焦りを滲ませて声を上げる。
縮み上がった玉袋へと竿を擦りつけるようにしながらレオが腰を引いてゆくと、いよいよ己の純潔が散らされようとするのを感じて、逃げようとするかの如く男が腰を揺らした。
ジャッカルの顔に浮かぶ焦りと恥辱に反して勃ち続ける肉棒が、腰の動きを追随する形で重たくぶるんと揺れるさまは、男を誘うための艶めかしい舞を演じているようにさえ見える。
『――ッ、――ッ』
鼓動すらも刻まぬ胸の奥で、それでも何かが強く脈打ち熱を持っている心地がした。
糧も眠りも求めることのなくなった体が、眼の前の純潔を欲っしてレオを突き動かす。
宙へと持ち上げられて踏ん張ることもできぬまま、ただ揺れ続けるばかりの太ももを左腕で抱え、右手では竿を握り男の玉袋をなぞるように亀頭を押し付けてゆく。
引き締まった尻の割れ目に亀頭を滑り込ませながら、汗と湿気に蒸れた獣毛の感触に、今となっては肉棒を咥え込むことくらいしか使い道のない尻の穴がきゅうと縮こまる。
――ああ、お前も感じているか? やがて我々を一つに蕩かす、この狂おしい熱を。
「――ッ」
繰り返した指の動きに解れきった肛門が、ぐぷりと拡がりながらレオの亀頭を呑み込んでゆく。
シワもなくなるほどに引き伸ばされた肛門へと、カリ裏から生えた突起を擦り付けながらゆっくりと腰を進めると、男の体が大きく反って尻の割れ目が一層に強く肉棒を挟み込んでくる。
柔らかく熱い粘膜がギチギチと竿に絡みつき締め上げてくるのを感じながら、濡れる腸壁を擦り上げて奥を目指す。
「~~ッッ、ふ、……ッッ!」
ジャッカルの顎に浮かぶ黒く細い唇がわなわなと震えながら、食いしばった牙を剥く。せめて声を漏らすまいという無意味な抗いを見せながら、しかし尻の奥へと咥えられる圧倒的な圧力に耐えかねて、熱くかすれた吐息を漏らしていた。
レオはそのいじらしい抵抗の初々しさを舐るように見下ろしながら、蕩けるほどに熱い臓腑の中へと雄竿を埋めてゆく。
歪に膨れた亀頭で前立腺を押し潰されながら、男の肉棒が一層に激しく痙攣して先走りを散らし、玉袋へと睾丸の形が浮かび上がっている。
両脇に抱えた太い脚がもがくように動くたび、拡がりきった雄穴が一層に強く肉棒を締め上げてきて、今しか味わえぬきつさと狭さを濃厚に感じさせてくれる。
「ン゙――ッ!?」
――ごちゅん。
熱く震える肛門へと雄竿の半分ほどを呑み込ませたところで、亀頭が直腸の最奥、S字にくねる袋小路へとたどり着いていた。
臓腑を突き上げられる圧迫感に巨体が悶え、食いしばった牙の隙間から掠れたうめき声がこぼれる。
まぶたをきつく閉じ、必死の形相で声を抑えようと耐え続けるその艶めかしい表情を見つめながら、レオは緩慢に腰を動かし始めた。
「は……ッ、――ッ、~~ッッ!?」
ぐぷり。ごぽり。円を描くように腰をくねらせ、深さと角度を変えながら、通り過ぎてしまった脇道の場所を探るレオの動きに、男がゾクゾクと背筋を震わせて悩ましく吐息を漏らす。
ぶちゅ、ぬちゅ。ギチギチと引き伸ばされた腸壁と肉棒の隙間で、かき混ぜられた粘液が泡立ち空気の弾ける卑猥な音が響く。
レオが腰を引くたび、雄竿へと吸い付いた肛門がめくれ上がるようにして盛り上がり、そしてまた押し込まれてを繰り返す。
カリ裏に並ぶ無数の疣のような突起が腸壁を掻き毟り、赤く充血させてゆく。
丹念に、耕すように、雄を知らぬ直腸へと初めて味わう猛りを刻みつける。
緩慢だが着実に繰り返す腰の動きに掻き混ぜられた粘液が、黒紫の雄竿の上にきめ細かな泡を作っていた。
「んッ、る……ッ」
レオの意思を汲むように、男の太い首に一本の触手が這い登る。苦悶に歪む唇の内で険しく剥かれた歯茎を細い先端がなぞり、きつく食いしばった牙の隙間へと侵入してゆく。
脈打ちながら太さを増してゆくそれがゆっくりとジャッカルの顎をこじ開けつつあった。
「お゙っ、ご……っ!?」
――どちゅん。
その動きと同時にレオが腰を揺すり、休む暇もなく圧力に晒され続けた直腸を強く突き上げる。
くたびれきったS字のくねりがついに侵入者への屈服を示すように変形し、雄の猛りを受け止めるための形を刻まれてゆく。
「お゙ォォ……ッ、おお゙……っ」
開かれた顎の奥から、臓腑への圧迫感に押し出されて潰れるような声が漏れる。
形の良い腹筋に雄竿の形が浮かび上がり、歪な隆起を創り上げてゆく。
もはやレオの蹂躙を阻む抵抗はなく、太く長く反り立つ肉棒は未開の肉襞を割り開いて男の最奥を目指し、そして征服した。
『――ッ、――ッ』
熱く滾る魔羅の全てが、張り詰めた腸壁の柔らかさと熱に包まれていた。
歓喜の嘶きを響かせながら、レオは男の尻へと強く腰を押し付け、肉棒の根本まででその手応えを味わう。
この屈強な体の全てが、身に宿す神気と魔力の全てが、ただレオの魔羅を受け止めるための肉鞘となっていた。
純潔を散らし処女を奪うという蹂躙の悦びが、これ以上無いほどにレオの中で膨れ上がり、ありもせぬ脳髄を震わせる。
ぐつぐつと、玉袋が煮え滾るような興奮に腰を震わせながら、レオはついに待ちわびた動きを開始する。
「――あ゙ッ、あがッ、ひっ、ぎ、いぃ……ッ」
どちゅん。ずちゅん。ごりゅ。
先程までの緩慢な腰使いがただの前戯であったことを示すように、レオは荒々しく腰を振って、杭を打つように強烈なピストンを叩きつける。
丹念にほぐされた直腸は、もはや排泄のためではなく肉棒に奉仕するための雄膣として仕上がり、激しい動きに晒されながらも快楽に震えて、きゅうきゅうとレオの肉棒包みこんで絡みつく。
「――ッ、おッ……! ごっ、ひ……っ」
――さあ、もっと啼け。もっと締め上げろ。言葉も忘れるほどに狂ってしまえ。
ジャッカルの顔が、羞恥も屈辱も忘れて、味わったこともない圧倒的な感覚の中で無様に歪んでゆく。
顎をこじ開けられ、噛み殺すことも出来ぬ喘ぎ声が、その喉の奥から絶え間なく溢れ続ける。
その姿も、声も、魔羅から味わう感触も、全てが今のレオに必要なものだった。
『――ッ、――ッ』
精悍さを失いつつあるジャッカルの蕩け顔を覗き込むように背を丸めながら、レオは強く腰を打ち付け、男のもっとも深い場所を貫く。
そう、それこそが今の自分だった。かつてレオと呼ばれていたものは、今はただこのために存在している。
絶頂の予兆となる甘い痺れが、肉棒を通じて全身へと拡がってゆく。己の体全てが一本の魔羅になったかの如く感じた。
肉襞の震えが伝わってくる。種を蒔かれることを待ちわびて、その無垢さをレオへと見せつけている。
嗚呼、穢さなくては。肉も、力も、魂も、この体に宿る全てを染め上げて、一つに――。
『――ッ、――ッ』
――ごぴゅううううううううっ♡♡ びゅるっ、ごぽおおおおおおッ♡♡♡
レオは暗紫の肉で形作られた体を波打たせるように震わせながら、タールのように濃厚で黒々と淀む精液を放つ。
腐敗した精液が男の体の奥深くへと流れ込み、穢し染め上げてゆく様が、ありありと感じられる。
「ああぁ……ッ!?」
男が大きく反らした背筋を震わせながら、甘く掠れた悲鳴を上げるのが聞こえた。
己の内へと放たれた穢れが、清水へと広がる汚濁のように溶け込んでくる感覚に、狂ったような痙攣を続けている。
その中にあってすら硬くたぎり続ける剛直が、レオを誘うように揺れていた。
「――ッ」
ぬめりとした粘液を纏う手のひらで、そっとそれを包み込むと、男が背筋を跳ね上げて息を呑む。
腰の角度を変え、深く反った竿で前立腺を押しつぶすように体重をかけながら、刺激を待ちわびて痛いほどに膨れ上がった肉棒を扱き上げる。
「や、め……ッ」
上ずった悲鳴が響く。触手に吊り下げられた腰が悩ましくくねり、股ぐらに膨れ上がる熱を抑え込もうと必死に抗っているのが伝わってきた。
肛門がヒクヒクと震えながらレオの魔羅を締め上げてきて、動きもせぬまま二度目の射精を迎えそうなほどに心地いい。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ。くちゅくちゅくちゅくちゅ。
雄穴を掘り上げるときとは違う、小刻みに粘液が泡立ち弾ける甲高い水音が響く。
「――っ、なら、ぬ……っ」
男の声が甘い震えを帯びていた。溢れ出す先走りを自らの鼻面で受け止めながら、それすらも気にできぬほどの快感に身悶えする。
「――ッ」
――びゅくうぅううううっ♡♡
縮み上がった玉袋がきゅうと震え、赤らんだ亀頭の先からついに白濁液が迸る。
ジャッカルの顔を覆う黒い毛皮が、自らの放った精液に彩られる様を見下ろしながら、レオは深い満足感に口角を釣り上げる。
「……っ、だ」
しかし、そこから先の反応はレオが思い描いていたものとは違っていた。
巨体を揺らす震えは徐々に落ち着きを見せ、快楽に歪んでいたジャッカルの顔は、白濁に塗れて辱められながらも、再び険しく強張ってゆく。
「気が済んだか、獣よ……っ」
快楽の余韻と耐え難いほどの恥辱に震える声で、男は唸るように吐き捨て、虚勢を張ってみせる。
その目に宿る青白い魔力の光は未だ陰りを見せず、まるでその身のうちの何かが穢れに抗っているかのようだった。
……力強い体に宿る魔力と秘めた神気は、虚仮ではないらしい。
『――ッ、――ッ』
レオは、もはや完全に外界と隔絶された肉の牢獄の中へと響かせるように、その喉から咆哮を上げる。
その呼びかけに応えるかの如く、肉床に複数の隆起が生まれ、レオと同じ暗紫の肉で形作られた異形の獅子頭たちが肉床の内から這い出す。
歪なほどに大きく、はち切れんばかりに膨らんだ魔羅を震わせながら、レオと同じ尽きせぬ欲望に駆られて男へと群がる。
……どれほどに抗おうとも、やがてはこの快楽の坩堝の中で一つに溶け合うことになるのだ。
――名も知らぬ異郷の英雄よ、さあ心ゆくまで共に愉しもう。
終わり