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催眠で薄汚いモブ獣人と肉体関係を持つ契約を了承させられるナサスくん その③

① https://moke.fanbox.cc/posts/1979304 ② https://moke.fanbox.cc/posts/2003328 「ぬぅ……」  自室の寝台に横たわりながら、ナサスは悩ましげに声を漏らし寝返りを打つ。  ひとりでに下腹部へと伸びていきそうになる右手を押し留め、しがみつくようにシーツを握りしめながら、汗ばんだ体を震わせた。  ちりちりと身を焦がすような切ない疼きがへその奥で燻っていた。股ぐらからは幼子の腕ほどもある剛直が反り上がり、震えながら透明の雫をこぼしている。  あの夜、男の手で絶頂へと導かれ忘れかけていた衝動を引き摺り出されてから、その熱は英雄を毎夜に渡って苦しめ続けている。  雄であるなら有って当然の衝動。ナサスにとっても、かつては当たり前のものであった猛り。しかし、それを自分の手で鎮めようという判断を、どうしてもできずにいた。  この身の内側に灯ってしまった熱を、ナサスが自らの手で更に大きく育ててゆくことこそ、あの男の望むところではないのだろうかという葛藤を拭い去れない。 「っ、はぁ……っ」  ナサスは熱い吐息を漏らしながら悶々と体を震わせる。火照った体を抱えながら脳裏に浮かぶのは、あの男との夜伽の記憶ばかりだった。  口の中に吐き出された精液の味が、恥垢の浮かぶ薄汚い男根の匂いが、口内を舐られ尽くす快感が、この衝動を助長する淫靡な記憶として反芻されてしまう。  耐え難い辱めだった。憎悪を抱くほどの屈辱だった。そうであったはずなのに、今自分はそれを苦痛ではなく快感をもたらすものとして、思い返している。  日中は余計なことを考える暇もないほどに、自身を忙殺しようほどの作業を積み上げることで目を背けているが、こうして寝床に入れば湧き上がる情欲を意識せざる得ない。 「……」  額の汗を拭いながら考える。いっそ娼婦の一人でも手配すれば、この猛りを収める事もできるだろうか。  あの男の手のひらの上で踊らされるように悶え続けるくらいならば、いっそ女の体に依存し溺れてしまった方が――。 (……否)  何を考えているのだ、たわけめ。  いつになく短絡的な思考へ流れゆく自身を律するように、胸の内でナサスは己を罵倒する。  たかだか性欲の一つをも御しきれずそこに溺れるなどと、あってはならぬことだ。  汗を滲ませる火照った体を自ら抱きしめるように腕を組みながら、英雄は歯を食いしばり身を震わせる。  じわりじわりと毒が回ってゆくかのように、ナサスは追い詰められていた。    開け放たれた窓からは夜風が吹き込んでいた。黒色の体に浮かぶ汗を震わせながら、ナサスは寝台に伏して苦しげな声を漏らす。 「っ、うぅ……っ」  夜風の肌寒さなど意に介すことも出来ないほどに、体が熱かった。  膨れ上がる衝動は日に日にその激しさを増して、忍耐を重ねるほどにより狂おしいものとなって体を苛む。  英雄の股ぐらから熱り勃つ男根は、雫を垂らしながらシーツへと押し付けられ、はち切れんばかりに膨らんだ欲望が吐き出される瞬間を待ち望んでいる。  ナサスはその狂おしい衝動に耐えながら背筋を震わせ、呻きながら拳を握りしめていた。 (我は――)  へその奥が熱い。舌先で丹念な愛撫を受けたときの快感を未だに忘れられず、尻の穴がヒクヒクと収縮を繰り返している。  口腔を執拗に舐り尽くされたときの、こそばゆいような心地良いような感覚がフラッシュバックして、唾液が込み上げる。  気を抜けば腰が震えて、シーツへと肉棒を擦り付けようとしてしまう。握り拳を解けば、自らの股ぐらへと手を伸ばすのを我慢できるか分からない。 (何故に、こうも……)  どれだけ否定しようとも、腹の底から湧き上がってくる衝動を無視することは出来ない。  ……出したい。満足するまで肉棒を扱き上げて精液を吐き出したい。尻の穴がむずむずと熱くて、そこに淫靡な刺激を与えられたい。  あの晩から何日が過ぎただろう。自分はこの狂おしい衝動に苛まれながら、どれだけの夜を過ごすのだろう。  ナサスは汗で湿った体を震わせながら、月明かりを差し込ませる窓を見上げる。 「あぁ……」  ナサスは夜空に浮かぶ細い月へと救いを求めるかのような視線を向けながら、火照った息を吐き出す。  ……新月の夜は近い。あと、たったの数日。そうすればあの淫らな手付きで肉棒を扱き上げられ、尻の穴を舐られ、匂い立つ精液を喉へと流し込まれる。  目前に迫ったその日を想いながら、ナサスは僅かに口角を吊り上げ――。 「――ッ!?」  絶句した。  今しがた、自分は欠けた月を見ながら何を思ったか、何を望んでいたのか。その事実に目を見開く。  とめどなく燃え盛る情欲すらも一瞬忘れてしまうほどの衝撃だった。 (我は、今……)  あり得るはずがない。あってはならない。そのような感情を抱くこと自体が、耐え難い敗北だった。 (あの辱めを、自ら望んだと言うのか……ッ)  見開いた目は、焦燥の色に染まっていた。超えてはならぬ一線を、ともすれば自分は超えてしまったのかも知れないと、その拭いようのない不安が溢れ出す。  ……自分は今、この体の火照りがあの小男の手で解き放たれる日が近づいていることに、安堵を感じていた。  今まで受けた辱めをうっとりと思い返して、その快感に身を委ねる日を心待ちにしていた。  ナサスはその事実に戦慄する。心身が快楽という毒に侵され、変容し始めているのだと見せつけられていた。  ――かくも淫らに花開いて、なんと愛い妻でしょう……。 「――ッ!」  そんなあの男の囁きが、耳元へと届いた気がした。  ああ、この追い詰められた姿へと、あの男はどんなにいやらしい視線を向けてくるのだろう。  触れずとも興奮に膨れ上がった肉棒を、あの快楽が忘れられずに疼き続ける肛門を、あの舐るように見られるはずだ。  そう思うだけで、燃えるように体が熱くなる。丹田を締め付けられるように切なくて、鼓動がどこまでも高鳴ってゆく。 (これ以上、考えたく、ない……)  今自分の感じているものの正体をこれ以上に掘り下げることを、理性が拒んでいた。  これはあの男に対する嫌悪と、その淫らな手管によって引き摺り出された性欲とが衝突し合う矛盾に、困惑を覚えているだけ。  ナサスはそう結論づけて、思考に蓋をする。  大丈夫だ。男との契約を全うし終えれば、後は時間が解決してくれる。一時の気の迷いなど消え去って、ただ屈辱の記憶としてのみ残るはず。 「……そうで、あってくれ」  ナサスは祈るようにそう言って、火照った体を震わせながら目を閉じる。  ……ああ、あの日、なぜ自分は男の提案を受け入れてしまったのだろうか。後悔せずには居られなかった。 ☓☓☓   「体にも触れぬ内からそうも雄々しく期待に打ち震えて、この夫との逢瀬が随分と待ち遠しかったご様子……」  三度目の夜会が始まろうとしていた。男はランプに照らされたナサスの裸体を見つめながら、愉悦に満ちた声色でそう囁く。  ついぞその欲望を発散出来ぬままに新月の夜を迎えた英雄の男根は、解放への予感に膨れ上がって蜜を滴らせている。  この一月抱え続けていた葛藤を指摘され、反論もできずに言葉を詰まらせるナサスの姿を眺めながら、男は黄色い牙を見せて笑みを浮かべていた。  相も変わらず色褪せ薄汚れた衣服を身に纏う不潔な姿のまま、こちらへとゆっくり歩み寄ってくる。 「ああ、夫婦が同じ気持ちでこの夜を待ち続けていたと思うと、愛らしい新妻の姿により一層の感動を抱いてしまうと言うもの。貴方様も、そうは想いませぬか?」 「……我は、断じて、そのような望みなど……っ」 「ええ、ええ。言葉にせずとも分かります。素直に認められぬ不器用さもまた、愛いもの。言葉に出来ぬと言うならただ、行動で示して頂ければよいのですから」  ナサスの歯切れの悪い返答をからかうように目を細めながら、男は満面の笑みで両腕を広げてみせる。  愛しい夫との一月ぶりの再会に喜ぶ心を、熱い包容によって示せと、その所作が示していた。今や深く考えるまでもなく、それを察せてしまう。  ナサスは顔を顰めながら、自らも男へと歩み寄っていく。丹田の奥で燃え盛る衝動は、言外の命令に従って妻という役目を演じることへの抵抗を薄れさせ、その動きからはかつてのぎこちなさも抜け始めていた。  腰を曲げて男と目線の高さを合わせながら、大きく広げた両腕でその矮躯を抱きしめる。笑みを浮かべる男の口元へと鼻面を寄せ、黄色い牙をひと舐めしながら口付けをする。 「ふふ、なんと可愛らしい。どれほど夫を愛しく思っているか、伝わってこようというもの」 「……っ」  抱き寄せた体から伝わってくる体温を、心地良いと感じてしまう。不潔な体臭が鼻腔へと流れ込むのを感じながら、男根がさらに膨れ上がって先走りを垂らしてしまう。  男の腕が胴へと回され、その指先で焦らすように背筋をなぞられながら、くすぐったさに腰が震えた。  求めていたものを与えられる充足感が胸の内に広がって、やはり自分はこの夜を待ち望んでいたという事実を、否定できぬほど強く理解させられていくようだった。 「まったく、情熱的な新妻だ。……ん、じゅ、ぅ……っ」  かつて自分がそうされたのを真似て、男の歯列を舐め上げながらゆっくりと口を開かせてゆく。口腔へと滑り込ませた舌を絡ませ合いながら、音を立てて唾液を啜り上げた。  男によって仕込まれた娼婦としての手管は、忘れることも出来ぬほど強く英雄の中に根付いている。 「んっ、ふぅ、るぅ……ッ」  男の手が胸元へと伸びてくる。厚い胸板に浮かぶ突起を爪の先で優しく引っかかれると、その男性には不要なはずの器官が疼くような熱を帯びて僅かに膨れてゆく。  ざらついた獣毛に包まれた指の腹で乳首を押し潰すようにされたかと思うと、今度は指先で優しく摘み上げられ、ピンと弾かれる。 「あっ、あぁ……ッ、そのような場所を、弄んだところで……っ」  口付けを終えた口元から、熱い吐息が漏れ出ていた。唾液を糸引かせる舌を半開きの顎から垂らして、英雄は切なげな声を漏らす。  胸元がじぃんと痺れて、甘い刺激に背筋が震えた。しかし、どれだけ執拗にそこを責められたところで、絶頂を伴うほどの決定的な快感には届かない。  ……そこではない。触って欲しいのは、この体で最も狂おしく熱を持って、痛いほどに膨れ上がった股ぐらだった。  一ヶ月に渡り溜め込まれた衝動が、解放を求めて身体の内で渦を巻いている。しかし、それを口に出来ようはずもない。 「んっ、じゅるっ、じゅぅ……ッ」 「ぬ、うぅ……っ!」  ざらついた舌で乳首を舐め上げられながらナサスは牙を食いしばり、その隙間から呻き声を漏らす。  ナサスの体色と同じ黒色をした乳首を黄色い牙で甘く噛まれながら、赤子のように音を立てて吸い上げられていた。  超越の肉体の中で燃え盛る炎を、男の丹念な愛撫でより大きく育てられてゆく。  触れられてもいない男根から先走りが溢れて止まらず、きゅうっと縮み上がった玉袋はそのぬらぬらとした液体に濡れそぼっていた。  ときおり、男の手がナサスの逞しい胸板からへそまでをなぞって下降してゆく。そのたびに英雄は期待に打ち震えて甘い吐息を漏らし、そして男の手は再び胸元へと這ってゆく。  淫らに仕上がった身体を嘲るように焦らされ続けるその繰り返しに、英雄は抗議の声を上げることも出来ぬまま追い詰められてゆく。  幾度目だろうか。腹筋の割れ目をなぞるように下降してゆく指の動きに悶えながら、今度こそ、今度こそはと、いつしかナサスは熱の籠もった瞳で男の顔を見つめていた。 「……本当に、奥ゆかしい方だ」 「――ッ!?」  もはや嫌悪も屈辱も忘れて、ただ開放を求めて懇願するように男を見つめる瞳を、不意に覗き返される。  男はにたりと気色の悪い笑みを浮かべ、つま先立ちで背伸びをしながらナサスの目を見ていた。 「ええ、貴方が何を望んでいるかは知っていますとも。心配なさらずとも、今宵を忘れられぬ一夜にして差し上げましょう。……さあ、夫に全てを委ねてくださいませ」 「なに、を……」  男の両腕を首へと回され、ゆっくりと力をかけられる。促されるままに緩慢な動きで腰をかがめてゆきながら、いつしか男の全体重がナサスへと預けられていた。  とすん、と男の尻が床へとついて、その貧相な身体が仰向けに横たわる。ナサスは屈強な肉体でそれに覆い被さるように仕向けられていた。  両手を床について男の姿を見下ろす体勢となりながら、ナサスは下卑た笑みを浮かべる相手の口元から、次の言葉が紡がれるのを待つ。 「服を着たままでは、前戯しか出来ぬというもの。妻らしい甲斐甲斐しさで、夫の召し物を脱がせてはいただけませぬか?」 「……っ、承知、した」  男の胴体を跨ぐ形で膝立ちになりながら、ナサスは相手の色褪せた衣服へと手をのばす。ボタンを一つ一つ外してゆくと、フケの浮かぶ黄ばんだ毛並みに包まれた男の胸が露わとなり、むせるような汗の匂いが立ち昇る。  最後に沐浴をしたのはいつ頃だろうかと疑問を感じるほどの体臭で鼻腔を満たされながら、しかし興奮は冷めるどころかより一層に深まってゆく。  脚絆を留める帯を緩めると、男が小さく腰を浮かせた。まるで初めての夜を迎える少年のように震える手付きで、ナサスはゆっくりと男の履物を脱がせてゆく。 「っ、は……」  屹立してもなお、そのほとんどが包皮に包まれたままの肉棒が、先走りに塗れた先端を僅かに露出させながら震えている。  気がつくとナサスはその雄臭を深く吸い込みながら、口の中に溜まった唾液を喉を鳴らして飲み込んでいた。 「……ふふ、貴方もすっかりこの魔羅の虜となった様子」 「い、否……っ、我は、決して……」  断じて、そのような事実はありえない。この薄汚い魔羅を味わうことを、望むわけなど無い。  上気した息遣いに震える声で、自身へと言い聞かせるように否定の言葉を放ちながら、しかし鼓動が高鳴ってゆくのをとめられなかった。  先走りと恥垢の混ざりあった雄の味を思い出しながら、唾液が込み上げて止まらず、知らず知らずの内に口の端から垂れてしまう。 「……っ」  ――ああ、しかし。  ナサスは目前の男根へと魅了されたかのように動きを止めながら、その智慧でもって自分への言い訳の言葉を紡いでゆく。  どうせ男は命じるのだろう。教え込まれた娼婦の舌使いでこの薄汚い魔羅へ奉仕しろと。  先走りを啜り上げ、精液を嚥下しろと求めるはずだ。ならば、口惜しくともその命に従うのが、この男と交わした契約。  そんな詭弁を携えて、ナサスは吸い寄せられるように、男根へと鼻面を寄せてゆく。 「――まあまあ、お待ちなさい」 「あ、ぁ……?」  しかし、その行動を男の手によって遮られる。額に手のひらを乗せられて静止されながら、英雄は予想外の対応に困惑の声を漏らしていた。 「慌てずとも、魔羅の方は後でたっぷりと愛していただくつもりですとも。……ですがまずはこちらをば」  今、自分は命じられるまでもなく自らを誤魔化すための言い訳を並べ立て、この肉棒を口に含もうとしていたと気付かされる。  そんな屈辱の事実に震える英雄の姿を見て目を細めながら、男が自らの膝を両腕で抱えるようにして、股を開いてゆく。  腰を浮かせて、蒸れた尻をナサスへと見せつけながら、男はわざとらしく恥じらうような声色で言った。 「夫たらんとするならば控えるべきとは想いつつ、やはり貴方のその雄々しいモノを見れば、こちらで味わってみたくなるのも人情というもの……」  男の尻に浮かぶ穴は、不自然なほどに黒ずみながら縦に割れており、雄同士での行為を繰り返してきたのだろう事を伺わせる。 「狂おしいほど熱に悶えていらっしゃるのでしょう? さあ、ここへとその精を吐き出していただきましょうや」  醜く使い込まれた肛門をヒクつかせて見せながら、男がナサスの股ぐらを凝視していた。  開放を求めて震え続けるそこは、見るに耐えぬ汚物じみて膨れ上がった不浄の穴を前にしてもなお、萎える気配すら見せてくれない。  これまでとは更に別種の辱めを目前にし、ナサスは眉間にシワを寄せながら、男へと覆いかぶさろうとする。 「おや、貴方様ともあろう方が気の早い」 「……何が言いたい?」  男が笑い声を含んだ声で、制止の言葉を放った。ナサスは苛立ちを隠さぬ低い声でそれに応える。 「ふふ、前戯もなしにその雄を突き立てるようなどと、貴方様がそうも配慮を欠いた行為をなさるとは露も思っていませんでしたもので。……いえ、それほどまでに私めを求めていらっしゃることは、嬉しいものですがねぇ」 「……っ」  ナサスの性急さを嘲る言葉を話し終えると、男はくつくつと一頻り笑ってから、再び口を開く。 「私めも多くの雄と身体を重ねて参りましたが、それほどのモノを準備もなしに受け入れる事などできませぬ故」  男の右手が、ゆっくりとナサスの顔へと伸びてくる。屈辱にシワを寄せる鼻面を愛しげに撫であげられたあと、その手のひらを額へと乗せられた。 「貴方様を受け入れられるよう、シワの一つ一つまでじっくりと舐ってはいただけませぬか?」  丁寧な言葉とは裏腹に、飼い犬を躾けようと言うかのような遠慮のなさで、額へと手のひらを押し付けられる。  かつて無いほど屈辱的な命令を受けて、性欲によって覆い隠されようとしていた怒りが再び湧き上がり、喉の奥に熱いものが込み上げていた。 「くぅ……」  ナサスは諦めのたような呻き声をもらしながら、初めてこの男の男根へと口付けをしたあのときのようなぎこちなさで、頭を下げてゆく。  薄汚い魔羅へと平伏するような形で床に這い蹲り、男の股ぐらに垂れ下がった玉袋を鼻面の上に乗せながら、英雄は小汚い匹夫の、最も不浄な部位へと口をつけた。 「ああああぁ……ッ! 天にも昇る心地とは、まさにこのこと……!」  男が上ずった声を上げていた。包皮の内で熟成された恥垢にも劣らぬ臭気が鼻を突き抜け、舌の上に不快な苦味が広がる。  本当に昇天してくれたならば、どんなに良いものか。そう願わずには居られなかった。 「ふっ、じゅる、はっ……」  ひと舐めするたびに、黒ずんだ雄穴がヒクヒクと蠢いて舌先に吸い付いてくる。  込み上げてくる吐き気に耐えながら舌を動かし続けていくにつれて、頭上では男の魔羅が硬く屹立してゆく。  男の両脚が首の裏へと回されて、ナサスの頭をがっしり抱えながら、醜く肥大した肛門を強く押しつけられていた。  鈴口から溢れ出す先走りが竿から玉袋へと伝い、ナサスの顔へと滴り落ちてくる。  鼻の穴を塞がれて口での呼吸を繰り返しながら舌を動かし続けると、緩んだ肛門から腸液が滲み出して、その生臭い味わいが舌の上に広がった。 「くふっ、ふ……! あの、シュリーマの英雄が、伝説も同然の超越者様が……っ、この使い古した尻に音を立ててしゃぶりついてくださっている……!」  感極まった男の声が部屋の中に響いて、ひどく耳障りだった。  額から手をどけられたかと思うと、その手が夢中で肉棒を扱き上げる動きが伝わってきて、頭上からはくちゅくちゅと水っぽい音とともに飛び散った先走りの液体が顔へと降り注ぐ。 「お゛ほおおっ、お゛お……ッ!」 「ふっ、うるぅ……っ!?」  男が汚らしい喘ぎ声を上げたかと思うと、緩みきった肛門がくぱぁと口を開けてナサスの舌をその内側へと招き入れた。  数え切れぬほどの男根を受け入れてきた不浄の穴が今、英雄の舌を包み込んでゆるゆると締め上げてくる。  その粘液に塗れた腸壁の味が、生涯忘れ得ぬ強烈さでナサスの記憶へと刻み込まれてゆく 「はぁっ、あ――ッ!」  びくん、と男の腰がひときわ大きく跳ねた。息もできぬほどに尻を押し付けられたまま、舌を包み込む淫肉が痙攣しながらきゅうきゅうと締め付けてくる。 「……っ」  そして、男の魔羅からほとばしった白濁液が、数瞬の間を置いてナサスの顔へと降り注いだ。 「はっ、あぁ……っ、こんなにも情熱的な舌使いで責められては、すぐに果ててしまうではありませんか」 「……ッ、はっ、お、えぇ……ッ」  男が肩で息をしながら、ナサスの首へと回した脚の力を抜く。腸液と唾液で濡れた尻から顔を離したナサスは、深く息を吸うと同時にその生臭さにえづいていた。  込み上げてきた胃液がチリチリと喉を焼く感覚に悶えながら、腸液に塗れた口元を腕で拭う。  目の前では男の肛門が大きく口を開けて腸壁を晒しており、さながら黒ずんだ薔薇が咲き誇っているかのようだった。 「……さて」  男がナサスの顔から視線を落としてゆく。ネコ科の縦に割れた瞳孔が、蹲り暗がりとなったナサスの股ぐらを凝視し、うっとりと細められていた。 「……っ」  あれほどの屈辱、あれほどの嫌悪を伴う行為を経ても、まるでその辱めこそを燃料としているかの如く、英雄の男根は雄々しくそそり勃っていた。 「私めも準備が整いました。……さあ、今だけは貴方様が夫。溜め込んだ子種をたっぷりと注いでいただけましょうか?」 「馬鹿な……」  未だ熱を持ち続ける己の身体に、ナサスは目を丸くしながら困惑の言葉を呟く。  ありえない。まるで自らこの男と身体を重ねたがっているのを望んでいるかのように、身体は倒錯的な行為への暗い興奮に打ち震えていた。 「まあ、私も随分と遊んできたものですから、見てくれの悪さは仕方ないと割り切ってもらうしかありますまい。……そうですね、まあまずはその指で感触を確かめれば、きっと気に入ってくださるはずだ」  男は黄色い牙を見せて笑みながら猫撫で声で語り、再び自分へと覆い被さるよう、ナサスを手招きしてみせた。 「御託は、もう良い……」  諦めたように力なくつぶやきながら、ナサスは男の言葉に応えて、ゆっくりと身を乗り出す。  ……そう、自ら望んでこの小汚い男を抱くことなどありえない。これは契約によって強制された仕方のない行為。それを自分に言い聞かせようとしている欺瞞に、英雄は気づかないふりをし続ける。 「ああ、ですがまずは、その鋭い爪を丸めてはいただけましょうか?」 「ぬぅ……」  言われるがままに覆いかぶさり、その尻へと花開いた淫肉へと手を伸ばそうとするナサスへと、男が嘆願するような口ぶりで話す。  英雄は顔を顰めながらも小さくうなずき、岩肌に傷をもつける強靭な鉤爪を備えた人差し指を口元へと運んだ。  鉤爪以上の強靭さを持った牙でそれを挟み込んで、べりぃと人差し指の先から剥がしてみせる。 「おや、私などのために貴方様が血を流すだなんて……」  指先から滴る血を目で追い、舌舐めずりをしながら、男が心にもないだろう言葉を囁く。ナサスは不満げに鼻を鳴らしてそれに応えた。  この程度は傷のうちにも入らない。指先からの出血はすぐに収まり、傷もひとりでに塞がってゆく。明日の朝には元通りに爪も生えているだろう。  ナサスは剥がした爪を床へと吐き捨てながら、淡い痛みさえも消え去り始めた右の人差し指を、ゆっくりと男の股へと伸ばしてゆく。 「あっ、あぁ……っ! これが、英雄の逞しい指……ッ」 「……」  粘液に塗れ震える肛門へと恐る恐る触れると、男が甲高く喘ぎながらうっとりと呟いた。  自らの欲するものを一つ一つ獲得してゆく、その感動に打ち震える声色。それを聞くときは常に、英雄が何かを失おうとしているときだった。 「さあ……っ、もっと奥まで……っ」  男が軽く腰を浮かせると同時に、黒く肥大した肛門がヒクヒクと収縮する。その奥へと指先を滑り込ませると、濡れそぼった腸壁がゆるゆると指先を包み込んで震えだす。  ピンと伸ばしたまま硬直する指先を、まるで幼い男根に見立てて筆下ろしするかのように、男が腰をくねらせて積み重ねた手管を披露しようとしていた。 「……ッ」  英雄が小さく息を呑む。指を包む柔らかな腸壁が、さながら熱く脈動する泥のように感じられた。淫穴は潤滑に満ちて指先に吸い付いて、熟練の娼婦のような執拗さで責め立ててくる。  この倒錯的な行為にどれだけの日々を費やし、淫蕩にふけって来たのか。その見るに耐えぬ過去をありありと見せつけられているようで、目を背けたくなるほどの不快感があった。  ……かつての自分であれば、そうやって顔を顰められるだけでいられたのだろう。 「ぬ、う……っ」  英雄が腰を震わせながら切なげな息遣いを漏らす。はち切れんばかりに膨らんだ男根から先走りが溢れて止まらなくなっていた。  腹の底から湧き上がる衝動を、これ以上無視する事など出来ない。どれだけ頑張っても、脳裏に一つの考えが浮かび上がってしまう。 「さあ、貴方様の雄々しきモノを、此処へ……」  ――この穴を男根で感じてみたい。この淫肉で肉棒を包み込まれたい。 「きさ、ま……ッ」  勝ち誇った笑みを浮かべながら、次の要求をする男を、ナサスは怒りに満ちた瞳で睨みつける。  小汚く、欲に塗れ、萎びた獅子の顔を持つ匹夫。心身のどちらにも一欠片の魅力すら抱くことの出来ぬ相手。  ……しかし英雄は、その男を抱きたいと熱望するまでに至っていた。 「んん……ッ」  濡れそぼった穴から指を引き抜くと、男の矮躯がびくんと震えて黄色い牙を見せる口元から甲高い喘ぎ声が漏れる。  自分の行いの全て、この怒りすらもが、目の前の男にとっては快楽の材料なのだと見せつけられる思いだった。  引き抜いた人差し指には腸液が絡みついて、ぬらぬらと淫らな光沢を纏っている。視線がそれに引き寄せられていた。何か丹田が締め付けられるような心地が有って、唾液が溢れてくる。 「あ……?」  ナサスは、自分が無意識の内にそれを口へと運んで舐めあげようとしていたことに気づき、唖然とした。  無意識の底から湧き上がってくる、かつてならば考えもしなかった淫蕩かつ倒錯的な欲求。英雄はそれに抗って、なけなしの怒りと嫌悪を絞り出すかの如く、改めて男を睨みつけた。 「そんなに熱く見つめられると、まるで初めての夜のように胸が高鳴ってしまいます……っ」 「戯言を……!」  男の脚が腰へと回される。怒りを込めて睨みつけるほどに、男の顔が切なげに高調してゆく。  ああ、できるものなら今すぐその首をへし折ってやりたい。ナサスは冷静さを欠いて唸るように叫びながら、男へと覆い被さる。痛いほどに膨れ上がった肉棒が男の股ぐらへとあてがわれ、比べるにはあまりにも平凡な大きさしか持たぬ小汚いそれと擦れあった。 「ぐるぅ……、う……っ!」  ただそれだけの刺激に腰が震え、喉の奥から獣じみた唸り声が漏れ出る。普段の理知的な物腰が嘘のように、英雄は獣になろうとしていた。  快感に身悶える姿を誤魔化すように全身から怒気を迸らせながら、しかしその虚勢の内側にあるのは、どうしようもなく昂ぶった雄の衝動でしかない。  自分を誤魔化すために怒りで覆い隠したところで、あまりに見え透いた三文芝居だった。 「貴方様ともあろう方が、ああなんとお労しい……」 「我を、愚弄するか……っ!」  破裂寸前の風船のように追い詰められたその姿に、男が心底から溢れ出す悦びを隠さぬ猫撫で声で語りかけてくる。  それに対して、もはや怒号とも言えぬ切なげな息遣いを交えた声で返すと、それを遮るようにそっと右手が近づいてくるのが見えた。  愛する妻へとでも言いたげな、甘く優しい手付きで頬を撫ぜられる。その手首に嵌められた腕輪からは漏れる妖しい光が、ナサスからは見えなかった。 「我慢などせず、全てを私めへとぶつけてくださいませ。……貴方様の全てを、ただこの、夫へと」 「――ぐるぅうう、あぁあっ!」  まただった。張り詰めた均衡が崩れてゆく。天秤が一気に傾いてゆく。その不自然さに疑問を抱くことは、獣へと堕ちた英雄には不可能だった。 「お゛ぉ、お゛ほぉおおおっ!?」  男がを見開いて汚い嬌声を上げる。  英雄はその剛直を男の矮躯へと突き立て、拡がりきった雄穴は幼子の腕ほどもある男根を容易く根本まで受け入れていた。  一ヶ月に渡って疼きに耐え続けてきた魔羅を、使い込まれた雄膣がぬちゅりと包み込んできゅうきゅう締め上げてくる。  熱く蕩け果てた泥のように絡みついてくる淫肉の感触が、指で味わうのとは比べ物にならぬ鮮明さで伝わってきて、気を抜けばすぐにでも果ててしまいそうだった。  快感に悶え切なげに吐息を漏らしながら、ナサスは食い入るように男の顔を睨みつける。  熱く猛る雄の象徴を深く突き立てられながら、背筋を弓なりに反らし破顔するその姿を、穴が空くほどに凝視する。 「ひぎっ、あっ、あぁあ……ッ!」  男の矮小な肉棒が震えながらぴゅるぴゅると精液を吹き出していた。醜く崩れた獅子の顔から一切の余裕が失われている。  自らを辱め続けた相手が見せる情けのない痴態。その様を見つめながら英雄は――。 「はっ、はは……っ」  ――笑みを、浮かべていた。  虐げられる側から虐げる側へ回ったという実感に、抑圧され続けてきた心が歓喜に打ち震えている。  どうだ。思い知ったか。薄汚い男娼め。下種の俗物め。……品性を疑うような、下卑た罵りの言葉ばかりが頭に浮かんで止まらない。 「なんたる醜悪さ、見るに耐えぬわ……!」  そう吐き捨て、自分がそうされたように男の顔へと手のひらを乗せて床へと押さえつけてやりながら、胸のすく思いだった。  腰を引くと、魔羅へと吸い付いた雄膣が音を立てながら捲れ上がった。気色の悪い色をした肉の塊が、卑しく雄を求めて吸い付いている様に、心底の軽蔑を覚える。  ――ずぱん! 「……っ、ふぎ、いぃ……っ!?」  音が響くほどに勢いを乗せて荒々しく腰を打ち付けると、男の顔に乗せた手のひらの下から潰れた悲鳴が漏れる。  背筋がゾクゾクと震えていた。相手を犯し蹂躙することが、他者を虐げることが、こんなにも心地良いことだったと、幾百年の生を経た今、初めて知った。  さあ、もっと悲鳴を上げろ。醜く鳴いてみせろ。身を乗り出し、男の顔を押さえつける手のひらに体重をかけながら、どすん、どすんとピストン運動を繰り返す。  醜い獅子の顔へと目掛けて握り拳を振り下ろす代わりに許された、ただ一つの暴力。英雄はその快楽へと呑まれてゆく。  荒々しい腰を振るうたびに、掠れた悲鳴が聞こえる。苦悶の叫びとも嬌声ともつかぬ悶え声をさらに引き出そうと、ナサスの腰使いはより獣じみて激しさを増し続けた。  泡立った腸液が結合部から飛び散っている。湿った破裂音が繰り返し繰り返し部屋の中に響いて、そのたびに淫肉が卑しく収縮して肉棒へと絡みついてくる。 「言葉もないか……ッ、下郎め……っ!」  壊れたように声を上げるばかりの男を罵倒しながら、ナサスは初めて女を知った少年のように快楽を貪っていた。  腰を叩きつけるたびに、得も言われぬ愉悦が胸の底から湧き上がる。肉体で味わう快楽と精神の高揚、その二つが最高潮に達した本当の性行為を、英雄は初めて経験していた。 「お、おぉぉ……ッ、ぐるうぅ、あぁあ――ッ!」  その末に、ナサスは言葉も忘れて獣じみた咆哮を上げる。  どちゅん、ひときわ大きな音を立てて、相手の最も奥深くへと自らを突き挿れて、鼓動すら感じ取れるほどに強く腰を押し付けながら。  ――びゅるぅううううっ!  滲み出す汗の雫を振りまきながら、屈強なる英雄の体が大きく震える。弓なりに曲げた背筋がビクビクと痙攣していた。  一月に渡って溜め込まれた精液を、卑しく魔羅に吸い付いて離さぬ雄膣へと注ぎ込んでゆく。  今まで経験してきた射精では味わったことのない恍惚感が、脳髄を桃色に染め上げていた。長い雌伏の末に訪れた反逆を、ついに達成したという多幸感が体を包む。  ……気持ちよかった。麻薬じみていた。今まで読んだ、どんな物語も連れて行ってはくれなかった高みへと、辿り着いていた。 「ふ、うぅ、くぅ……っ」  そして、その余韻が過ぎ去っていくにつれて、英雄の顔に狼狽の色が浮かんでゆく。  男の顔へと乗せた手を力なく持ち上げて、隠すことも出来ぬほど動揺に染まった瞳を覆うように、額に手を当てる。  「わ、我は、嗚呼……っ」  盛りのついた獣のようにこの男を求めて、夢中で腰を振っていた。感じたこともないほどの興奮を、この倒錯的な性行為の中に見出していた。言い訳など、しようもないほどに。  そして、かつてない羞恥心と喪失感震え萎縮する英雄へと、最も恐れる相手の言葉が向けられる。 「……あぁっ、なんと情熱的な方だ……っ」 「……ッ」  甘い震え声で、男がうっとりと呟き、未だ挿入されたままの剛直を味わうように、腰を震わせる。  精液に塗れた淫肉が収縮して、再び魔羅を責め立てた。その甘い刺激が精神を再び高揚へと誘おうとするのを感じて、ナサスは掠れた吐息を漏らしながら戦慄する。  そんな反応を楽しんでいるのか、男はからかうように繰り返し腰を揺すりつつ、英雄の子種で満たされた自らの腹を満足気に撫でていた。 「貴方様の熱を、猛りを、こうして腹の底で感じられる日が来ようとは……っ」 「なにも、言うな……!」  ゆっくりと、ゆっくりと、淫らに花開いた雄膣から英雄自身が引き抜かれてゆく。その甘い刺激に身震いしながら、ナサスは嗚咽じみた声で叫んだ。  恥辱と自身への失望に歪んだ顔を手のひらで覆い隠しながら、しかしその股ぐらからそそり勃つ、淫らな粘液に塗れた男根は依然として硬さを保っている。 「私めを求める貴方様の姿は、まさに獣の如き荒々しさ。それほどまでにこの夫を愛してくれましょうとは……」 「ちが、う……、我は、我は……っ」  汗の滲む胸板へと、男の手が触れる。淫靡な愛撫によって、深い自己嫌悪の底から再び自分を昂ぶらせようとしているのが感じられて、ナサスは力なく首を振りながら言葉を詰まらせた。  萎縮しきって小刻みに震える胴体へと、腕を回される。労りさえ感じられる繊細さで抱きすくめられながら、熱い吐息が鼻先をくすぐっていた。 「さあ、お顔を見せてください。……愛する妻の顔を」 「ん、んん……ッ」  男の舌が口の中へと滑り込んでくる。ねっとりと、口腔を味わい尽くされるような蹂躙を受けながら、手首を鷲掴みにされていた。  目頭が熱い。視界がぼやけていた。人前でこのような顔を見せるなどいつ以来だったろうか。  密着したまま、少しずつ体重をかけられてゆく。強張った体を、促されるままに仰向けに傾けながら、口移しにされる唾液を嚥下した。 「んんっ、ふぅ、まだ足りぬのですね? 一度果てたのみでは到底満足などできぬのでしょう?」 「あぁっ、い、否……ッ、我は、だん、じて……っ」  ぬらりと淫靡な光沢を帯びる英雄自身へと跨って、男はその反り返った竿の腹へと開ききった雄穴をこすりつける。  熱い淫肉を男根へと押し付けられる快感に悶えながら、ナサスはぎこちなく首を振り震える声で否定の言葉を放っていた。  ……いっそ首を縦に振ってしまいたかった。必死に抗う意思を示しながらも、相手が痺れを切らしてこのまま男根を飲み込んではくれないかと、浅ましい期待をしている自分がいた。  こうして醜く膨れ上がった肛門を擦り付けられているだけでも、二度目の絶頂へと達してしまいそうだった。 「おやおや、貴方様にしては見え透いた嘘をおっしゃる。この夫に隠し事など出来ませぬよ?」 「戯言、を……!」  負け惜しみのように唸るナサスの顔を、男が縦に割れた瞳孔でぎょろりと覗き込んでいた。  腰の動きを落ち着けて、泡立った淫肉を男根へと押し付けたまま、追い詰められながら吐き捨てる虚言など全て無意味なのだと、その視線が告げている。  くちゅりくちゅりと鳴り響いていた水音が止まると、どうしようもなく高鳴った鼓動と、獣じみた己の息遣いだけが残って、どうしようもなく自身の本心というものを突きつけてくる。 「ふっ、ふぅーっ……!」  口を閉じても、熱く湿った吐息が鼻の穴から漏れ出てしまう。どれほどに乱れているか、どれほどに焦がれているか、隠し通すことなどできるはずもなかった。  だが、雄同士のまぐわいを自ら乞うなど、耐えられない。それが偽りのない本音であればなおさらだった。  ……頼む。これ以上追い詰めないでくれ。何も言わずに腰を上げて、さっきのように熱い淫肉で魔羅を呑み込んでくれ。  もう十分だろう。こちらは、貴様の貧相な体を狂おしいほどに求めている。そんなことはもう理解させられた。それだけで満足してくれ。言葉と態度で示せなどとは言わないでくれ。 「あぁっ……! 我が妻よ、そんなにも愛らしい顔で恥じらって見せて……っ」 「……っ」  男が胸を震わせながら上ずった声で感嘆の言葉を言う。黄色い牙を覗かせながら、とろりと恍惚の表情を浮かべている。  ……そんなにも満足しているならば、これ以上は求めないでくれ。早く、早く……。 「ええ、言葉にせずとも分かりますとも。どうして欲しいのかなど……」  その想いを見透かしたように囁きながら、男が腰を上げる。ああそうだ。それを待っていた。再びその穴でこの猛りを受け止めてくれ。  自らの望みを寸分違わず汲んでもらえたという心地良さと、これから訪れる快楽への期待に、ナサスは自然と口角を吊り上げ、淫らな笑みを浮かべていた。  使い込まれ赤黒く膨れ上がった肛門から、先程ナサスの注ぎ込んだ精液がぼたぼたと垂れ落ちている。反り立つ雄でそれを受け止めながら、英雄は無意識の内に腰を浮かせて雄同士のまぐわいを待ちわびる。 「――ですが、私めも若くはありませぬ故」 「な……っ」  しかし、求めた刺激が訪れることはなかった。逞しく割れた腹筋の上に腰を降ろされ、浮き上がった腰を再び床へと押さえつけられながら、与えられたのは男の下卑た笑みと癇に障る猫撫だけ。 「もう20年も若ければ、一晩中付き合って差し上げる事も出来たのでしょうが、体がついていきませぬ」  再びの解放を求めて打ち震える男根から、先走りが溢れて止まらない。我慢できずに腰を揺すってしまいながら、ナサスは目を見開いて男を見上げていた。  求めてやまぬご馳走にありつけぬままお預けを食らい、しょぼくれた犬のように表情を歪める英雄の顔を、男が心底愛おしそうに覗き込んできて、うっとりと見つめられる。 「ですから今は、その手で。貴方様の焦がれてやまぬこの夫を見つめながら、ご自身で慰めてくだされ。……夫を想い、夫の姿を目に焼き付けながら、満足ゆくまで」 「はっ、あぁ……っ」  こちらが何を想っているかなど分かっているはずなのに。そう想ってしまうまで自分が堕ちたことを認識し、ほくそ笑んでいるのだろうに。それでもまだ足りないと言うのか。  懇願すれば良いのだろうか。頼むからもう一度その尻の穴でこの猛りを鎮めてくれと、乞えば良いのか。そんな葛藤さえ見透かしたようにこちらを見る男の瞳から、視線を逸らすこともできない。 「我慢はお体に障りましょう? さぁ、さぁ……!」 「あぁ、あ……っ」  床の上に投げ出されたままの右手へと、そっと手のひらを重ねられる。恋人のように指を絡められながら、その淫靡な動きにさえ甘く心地良い刺激を感じ、上ずった声を漏らしてしまう。  繋いだ指先を弄ばれ、痛いほどに膨れたままの肉棒へと誘導されてゆく。途中で男の指がするりと抜けていったが、それでも動きを止めることは出来なかった。  英雄は自らの意思で股ぐらへと手を伸ばして、はち切れんばかりに猛る雄竿を握り込む。 「……ッ、ふぅ、う……!」 「はしたない音が響いておりますよ? 貴方様ほどの方が、この夫を見つめながら、この夫を想いながら、燃え盛る熱を御しきれぬご様子だ」  嘲りの言葉を浴びながら、顔が燃えるように熱かった。耳の先までが狂おしいほどの火照りに包まれている。  なのに、目を逸らすことができない。手の動きを止めることができない。  ぐちゅり、ぬちゅりと、濡れた竿を扱き上げる水音が響き続けている。愛液でぐっしょりと濡れた玉袋が縮み上がりながら期待に打ち震えて、その内に溜まった子種を吐き出したくてたまらない。  初めて自慰を知った男児のように、夢中で腕を動かして快楽を貪りながら、ナサスは男の下卑た笑みを見上げ続ける。 「あぁ、そのように淫靡な姿を見せつけられては、私めの穴も再び疼きだそうと言うもの。もう一度、慰めてはくださいませぬか……」 「はっ、は……っ」  男が再び腰を上げる。もしや気が変わったのだろうかと、ナサスは期待に鼓動を高鳴らせながら食い入るようにその所作を見つめていた。  肛門からこぼれ落ちる精液を内股に滴らせながら男が立ち上がり、自慰を続けるナサスを跨いで体の向きを変え、その尻を見せつけてくる。  醜く膨れ上がった薔薇が精液によって白く彩られている。その穴に自らの魔羅が飲み込まれてゆく様子を見せつけるつもりなのだろうか。再びまぐわってくれるというなら、その程度は是非もない。  背を向けられ、あの怖気立つほどにねっとりとした視線から開放された安堵も有って、ナサスは気の緩んだ笑みを浮かべていた。  さあ、ここだと、ねだるように腰を突き上げて見せながら肉棒を激しく扱き上げ、溢れ出す先走りを振りまく。もはや英雄たる威厳も無くし快楽に呑まれる堕ちた姿を、ナサスは男の前に晒していた。 「あ、あ……?」  だが、ナサスが食い入るように見つめ続ける黒ずんだ肉穴は、望む場所ではなく蕩け果てた英雄の顔へと向けて下降してくる。  捲れ上がった淫肉からひり出される白濁液が、逞しい胸板、太い首筋、ジャッカルの鼻面や額へと滴って、汚してゆく。  ヒクつく肉穴がゆっくりと下降してきて、色褪せた獣毛に包まれた男の尻が、呆けた表情を浮かべるナサスの顔へと押し付けられた。 「んんっ、ぐ、む……っ!?」 「口を開けて、先程のように念入りに、舐めしゃぶってくだされ?」  据えた汗の臭い、溢れ出す腸液、そして自らがしこたま注ぎ込んだ精液、それらの匂いが混ざり合って鼻腔を満たす。  柔らかな粘膜の弾力を再び下で感じながら、ナサスの顔に乗せられた腰が震えて、腸内に溜まった精液が口の中へと排泄されてゆく。  押し付けれた尻で鼻を塞がれ呼吸もままならず、ナサスが背筋を震わせてえづき、口腔に溢れる自らの子種を吐きこぼす。  まるで用を足すときのように、男が体を強張らせつついきむのが聞こえた。尻を乗せられて、自らが厠のように扱われているのだと自覚し、あまりの屈辱に首筋へとチリチリした感覚が走る。 「……夫の尻の穴を、随分と気に入ってくださったようで嬉しい限り」 「ふぅっ、ぐっ、るぅ……ッ」  それなのに、手の動きを止めることが出来ない。その尻を押し退けて抵抗を示すよりも、膨れ上がった自らの魔羅を扱き続ける事を選んでしまう。  じぃんと痺れるような感覚が雄竿の内に芽生えて、それがどんどんと広がっていって、ああもうすぐだと、焦がれるほどの衝動が体を支配して放さない。  この恥辱も、震えるほどの悔しさすらも、狂おしいほどの快感に酩酊した意識を目覚めさせてはくれなかった。 「そんなに腰を浮かせて、夫の尻がそんなにも恋しいのですね」 「んんっ、んんんんっ!」  ナサスはくぐもった呻き声を漏らしながら、尻に敷かれた顔を震わせる。  違う、違うと言葉にもならぬ声で叫びながら、男の言葉が図星であることを英雄自身も理解していた。  膝を曲げて床を踏みしめながら下半身を突き上げ、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てながら肉棒を扱き上げる。  きっと男の視線が、自らの膨れ上がった魔羅へと注がれているのだろうと思い至りながら、腹の奥がより一層熱くなってくるようだった。 「ええ、お手伝いの一つでもして差し上げましょうか」 「ふぅうううっ、んんん……っ!」  肉棒の付け根を指先で優しく掻き上げられる。焦らすような淡い刺激に興奮を掻き立てられ、ナサスは尻の穴をきゅうきゅうと締め上げながら悶え声を漏らした。  数百年の記憶を蓄積した脳髄へと焼き付けられる、強烈な快感と興奮。魔羅を擦り上げながら、自らの精神へと楔を打ち込んでゆくようだった。 「このような興奮、貴方様の永い生でも初めてのことなのでしょう……?」  目の前で英雄が痴態を晒す様をうっとりと見下ろしながら、男が歓喜に打ち震えた声で問いかけてくる。  口を塞がれ言葉での返答はできずとも、ただナサスの痴態が男の問いかけを肯定していた。  それを理解し目尻に涙を溜めながら、ナサスは目の前に迫った絶頂を追い求めて腕を動かし、腰を震わせる。  ぱっくりと口を開いた淫穴へと舌を滑り込ませ、精液を掻き出しながら、口腔に広がる味をこの快感と共に記憶へと刻まれてゆく。 「――ッッ!?」  弓なりに反った体がビクンと大きく震え、腰を突き上げる無様な体勢のまま、雷に打たれたかのように全身が硬直した。  ――びゅるぅううううううっ!  声も上げられなかった。膨れ上がった剛直が脈打ちながら精液を吹き上げる。恥ずかしげもなくガニ股に開いた太ももを痙攣させながら、痺れるほどの快楽に脳髄が焼き焦げるかと思うほどだった。  白目を剥いて何も見えなくなった眼球で、鮮やかな火花が明滅する様を幻視しながら、強張った体が鼓動と連動して断続的に跳ねている。  ……気持ちよかった。味わったこともないほどに、ただ快楽だけが思考を埋め尽くしていた。  浮き上がった腰が、ゆっくりと下降してゆく。床に投げ出された体が弛緩し始めて、濃厚な精液に塗れた手のひらが、未だ硬さを失わぬ魔羅からするりと滑り落ちた。 「あぁ、愛しい妻よ……」  そう囁きながら男が腰を上げてゆく。再びこちらへと向き直って、愛液に塗れ取り繕うことも出来ぬほどに呆けた蕩け顔を、覗き込んでくる。 「貴方様が何故に超越者として生まれ変わり、悠久の命を得たか分かりましょうか?」 「はっ、あぁ、ぁ……っ」  乱れた息を整える事ができなかった。どくん、どくん、と心臓の音が頭蓋の内に鳴り響いている。 「それはこの夫と巡り逢うためだったに、違いありますまい」  かつてならば、眉間にシワを寄せつつ聞き流していたはずの妄言。 「我らが夫婦となるのは、定められた運命なのでしょうや」 「……ッ」  労るように、優しく胸板を撫で下ろされながら、ナサスはその心地良さにこそ恐怖し、身を竦ませた。  続く

Comments

発情ナサス可愛いですね!!肛門ヒクヒクさせながら新月の夜をちょっと楽しみにしてしまうだなんて、当初からは想像がつかない変容っぷりが最高です。 あと、先のコメントにありました「オス堕ち」?!オス堕ち表現秀逸すぎます……まさにその通りですよね、私もその表現使わせていただきます。オス堕ち最高でした…… 使い古された雄穴に夢中になり、さらに顔騎されながらガニ股射精、破壊の美学を感じました……

にゃんそん

オス堕ちも良き…

鈴竜

最の高でございました

梅太郎


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