名称:ヒトガタリ
分類:乙種
▲石膏像に寄生した遺失物503の映像。自律型支援ドローンにより撮影
殲滅:不可
禁足:3体以上の人形を設置した十分な広さ(3立方メートル以上が望ましい)の透明強化プラスチックケースの中に収容する。ケースには外部からのみ開閉可能な蓋を取り付け、遠隔操作アームで人形を出し入れできるようにすること。
遺失物503が人形を操って一人遊びのようなことを行い、その過程で人形が壊された場合、速やかに新品と取り換えなければならない。交換作業は必ず遠隔操作で行い、作業員はケースの半径5m以内に立ち入らないこと。
概要:人の形をしたモノの中に入り込み棲み処とする、黒い寒天質の物体。標的となるのは半径5m以内に存在する人間や人形などで、生物・非生物問わず、近くにあるものから狙う性質がある。
侵入された人間はただちに死亡し、その後数日間、肉体的には死亡しているにも関わらず活動を行う。これは遺失物が被害者を乗っ取り、次の寄生先を探すために行動しているものと考えられる。
人形など非生物に取りついた場合、自らの黒い粘液を使って這うように移動し、次の宿主を探す。
一度寄生してから次の標的を選定するまでにはインターバルがあり、確認できているケースで1時間~1か月とばらつきがある。
対遺失物用の兵装で一時的に動きを封じることが可能。対象が収容ケースから脱走しようとした場合は、ゼリー状の部分へ速やかに攻撃を加えること。
▼有効な弾薬の一例
(20██/05/██)
白石です。
遺失物の封じ込めに成功しました。対象は現在、おもちゃのソフビ人形の中でおとなしくしています。輸送中ですので、明日にはそちらに到着すると思います。
相手が石膏像に潜んでいたおかげで、戦闘は比較的容易に済みました。入り込んだモノの形や性質によって、奴の動き方は多少制限されるようです。
今回、被害者が1人(注1)だったのは不幸中の幸いだったかもしれません。もしあれが、都市部やおもちゃ屋などに紛れ込んでしまっていたら、追跡はかなり難しかったでしょうから…。
ところでちょっといいですか?
あの黒髪の██ ██とかいう少女(注2)は何なんでしょうか。追加要員がいるなんて聞いてませんでした。それになんというか…ふわふわしているし、支援ドローンも旧式の鳥居型を連れているし…遺失物をなめているとしか思えません。
協力?
命令されても嫌ですね…何考えているかよくわからない奴と一緒に行動したくありません。
言いたいことは以上です。
それでは。
(注1)美術部顧問の男性。美術室にて、内側から激しく損壊した変死体として発見された。目撃者には記憶処理を施し、「被害者は自宅近隣の道路で交通事故死した」という偽情報を上書き済み
(注2)名無しのこと