『パーティ唯一の男である熊の少年戦士が恥ずかしくておしっこ出来ない話』
Added 2019-05-14 04:30:16 +0000 UTC「パーティ唯一の男である熊の少年戦士が恥ずかしくておしっこ出来ない話」 街と街とを繋ぐ道を、僕たちを乗せた馬車がゆっくりと進んでいきます。 透き通った秋晴れの青空には綿雲が浮かび、からからと乾いた音を立てて回る車輪の音に入り混じるようにして、秋の涼し気な風の音が往来を吹き抜けていきます。 時折、街道の凹凸や小石を車輪が踏むたびにがたがたと大きく揺れるのですが、そんなものはご愛敬。歩くような速さで流れる鮮やかな秋の風景を眺めていれば、多少お尻が痛くても気になる事はないのです。 僕たちはまだ新米の冒険者です。今はとある村の近辺に出たという魔物の退治依頼を受けて、現場の村へと向かっている最中なのでした。普段は徒歩で旅をすることが多いのですが、今回の依頼人の村長さんは大変太っ腹な人で、なんと往復の馬車の手配もしてくれるというのですから驚きです。有難くご厚意に甘えて、僕たちは馬車旅を続けているという訳なのでした。 「ニルスくーん、見張りは順調?」 「はい、大丈夫です!」 「はあい。眠かったら変わるから、言ってね」 「ありがとうございます、ティアさん」 馬の手綱を引きながら、馬車の後部にいる僕に声を掛けるのは、エルフの魔術師――ティアさんでした。 僕より一回りも二回りも大人なティアさんはとても気配りの上手な方で、いつもパーティのみんなの様子を気にかけてくれます。一番旅慣れていることもあってか、パーティの中でのリーダーなのでした。 パーティは僕を含めて三人いて、皆で一つの馬車に乗っています。 炎や水の魔法を操る魔法使いで、ちょっと珍しい種族であるエルフのティアさん。 持ち前の爪と体術で戦う格闘家で、僕と同じ村出身かつ幼馴染の狐人ミーシャ。 そして最後、金属の鎧と武器を担いで戦う熊の駆け出し戦士、僕ことニルス。今はこの三人で旅を続けているのです。 僕が座っているのは馬車後方の見張り台で、魔物たちから不意打ちをされないように見張る役目を担っています。 馬車の中と違ってずっと起きていないといけないのですが、流れていく外の景色をぼんやり眺めるのは結構わくわくするもので、そんなにつらいと思うことはありません。 それに、正直なことを言うと、旅の途中でひとりになれる空間というのは寧ろありがたいのです。 べつに一人でいるのが好きだとか、そういう訳ではありません。ただ、その……やっぱり、僕以外みんな女の子で、僕一人だけが男となると、ちょっぴり居心地の悪さを感じてしまうのはどうにも否めないのでした。 街に滞在しているときはまだしも、こうして旅の途中というのはプライバシーなどあってないようなものです。着替えの時だって気を使いますし、水浴びの時なんかはなおさらです。 他の二人人が楽しそうに水の掛け合いなんかしてる一方で、なるべくそっちを見ないように、見られないように隠れて身体を洗う時の僕の気持ちたるや! 僕だって健全な青少年ですから、やっぱり思うところはあるのです。 まあでも、そんなのは全然耐えられます。見なければいい話ですから。そうではなくて、僕が今、一番悩んでいることは―― がたん、と馬車が揺れ、僕の身体がぴょんと跳ねます。ぱんっぱんに溜まっている僕の中の水がたぷんと揺れて、小さく呻いて身を縮めました。 (……おしっこしたい) 僕が悩んでいることというのは、まさしくこれでした。つまるところ、トイレの問題です。 排泄欲求というのは生理現象の中でも一番恥ずかしいもので、なおかつ我慢にはどうしたって限界があるものです。当然旅路の途中にトイレなんてありませんから、我慢できなくなったら休憩のタイミングを見計らってこっそり外で済ませるしかありません。 男の子なのだからそのへんで立ちションしちゃえばいい、なんてのは正しくその通りでしょう。女の子と違ってその辺の融通が利きやすいのが、男という性別の便利な所だと思います。女の子は色々大変らしいですから。 でも、やっぱり「おしっこに行ってくる」なんて言葉は言い出しづらいものです。ましてや僕一人が男で、他の人がみんな異性なのですから。やっぱりどうしても、気恥ずかしさが勝ってしまうのです。 いつものような徒歩旅なら、休憩の隙を見てこっそり用を足しに行くことも出来るでしょう。 でも、馬車旅ともなると、誰かが何かを言い出さない限りは絶対に止まらないものです。 仮に僕がおしっこをしに行こうとするならば、今手綱を握っているティアさんか、幼馴染のミーシャに声を掛けなくてはいけないのですが……。 「おしっこしたいので馬車を止めて下さい」なんて、やっぱり恥ずかしくて言えません! ミーシャには絶対、もう間違いなくからかわれるだろうし、あの素敵なティアさんに向けてそんな恥ずかしい事なんて……うう。 (どう、しようかなあ……) いまこうして馬車に揺れている間にも、限界は刻一刻と近づいてきているのでした。今日は朝いちばん、皆さんが起きるよりちょっと前に起きて済ませたっきり、一回もおしっこに行けてません。かれこれ、もう五時間ぐらいは我慢しているでしょうか。 せめてもう一人男の子がいれば、少しは恥ずかしさも和らいだのかもしれません。そんなないものねだりを何度も頭の中で繰り返して、何度となくため息をつくのでした。 ふと耳をすませば、 「ニルス。おい、ニルスってば」 布幕を掻き分け、にゅっと顔を出したのは幼馴染の猫獣人、ミーシャです。 ミーシャは僕より何歳か年上なのをいいことに、いっつも僕を顎で使うのでした。やれ荷物持ちだのなんだので、街に出るたびあちらこちらを連れ回されるのですからたまったもんじゃありません。しかもわがままだし、すーぐ怒るし、口は悪いし! 「ニルス! 聞こえてるなら返事しろってば! ミーシャさまを無視するたあ偉くなったじゃないか、ええ?」 むに、と頬を掴まれ、そのまま引っ張られます。僕は慌てて抗議の悲鳴を上げました。 「いひゃいいひゃい! ……なんだよもう!」 「オマエが呼びかけても全然反応しないから、寝てないか確認しに来てやったの」 「だからってつねることないだろ……。ちゃんと見張ってるよ」 ひりひりと痛むほっぺをさすりながら、僕は口を尖らせます。 「どうだか。お前の事だから、ぼーっと別の事考えてたんだろ!」 「か、考えてないし……」 とはいうものの、実のところ、ミーシャの言葉はちょっぴりどころでなく図星でした。 どうすればうまいことおしっこができるのか、どう切り出せば一番恥ずかしくないか、あとどれぐらい我慢できるか、そんな事ばかりがぐるぐると頭を回っていたのです。 「ふうん」 猫の鋭い目でじろじろと顔を眺めまわされ、なんだか居心地が悪いです。 お腹の下の方にたぷんたぷんに溜まっているおしっこの事を、もしかして悟られているのでしょうか。 「オマエ、体調悪いの? なんか顔色悪いけど」 ぎくり。馬車の跳ねと一緒に、心臓も飛び跳ねます。 「もしかして酔ったか? 馬車止めてもらうようアタシが頼んできてやろうか」 「い、いいってえ! 違うし!」 本当はすっごく止めてもらいたかったけど、ミーシャに世話を焼かれるのはなんだかいやでした。 ミーシャはいっつも僕のことを子ども扱いして、勝手に僕のお世話をしようとしてくるのです。僕はもう立派な戦士で、なんだって一人で出来るぐらいに成長してるっていうのに、いつまでも昔みたいにお姉さんぶっちゃって! 「でも顔色わりぃぞ? ――分かった、おしっこしたいんだろ!」 「え゛っ」 図星も図星、ピンポイントの指摘に、僕の声は思わず上ずります。 僕のひきつったほほと動揺に揺れる声を見逃さなかったのか、ミーシャはにまにまと悪い笑顔を浮かべました。 「お、当たりか。おーいティアー! ニルスがおしっ――」 「わー! わー! ちが、違うって!」 ミーシャは女の子なのに、一切まったくぜんぜん恥じらいとかデリカシーとかがありません! 御者席で馬の手綱を引くティアさんに向けて嬉々とした様子で報告しようとするミーシャを押しとどめ、ごまかすように叫びます。 「なんだよ、アタシ達は別に気にしないって。それに、いつかは我慢できなくなるぞ」 うぐっ。ミーシャの鋭い言葉が胸に突き刺さります。 結局のところ、気にしてるのは僕一人なのですし、正直なところもう限界は近いのでした。このまま意地を張って我慢し続けていたところでお腹の下のほうに溜まったおしっこは消えてくれないし、お漏らしなんてことになったら目も当てられません。 でも、でも、でも……。 「だから、べつに……したくないんだって!」 ああ、僕のバカ! ついつい反射的に否定してしまって、僕はいよいよ止まって欲しいと言い出すことが出来なくなってしまいました。 「そっか、ならいんだけどさ。なんかあったら言えよな」 ミーシャはふうん、と鼻を鳴らして、それ以上特に何を言うでもなく馬車の内側へと戻っていきました。 (……やっちゃったあ) どう考えても、今が言い出すのに最善のタイミングだったのに。 誰も居なくなった後部の見張り台で、僕は後悔の念に襲われ頭を抱えました。 話していたことで紛れていた筈の尿意が再度ぶり返し、おなかの下の方は波のようなもので荒れ狂っています。 溜まっていく一方の尿意はどんどんと辛くなるばかりで、締めているおちんちんの先っちょが今すぐにでも出してほしいと悲鳴を上げているようでした。 (うう、どうしよう、どうしよう……) そわそわ、そわそわとごまかすように身体を揺らして、どうにか尿意をごまかしますが、もう限界でした。 通りかかった川のせせらぎの音がおしっこの音に似ていて、いっそ出してしまえと悪魔の誘いのように耳元で囁くのです。 爽やかな風が汗ばんだ身体を撫でるたびに体が冷えていき、尿意の問題を一層深刻な物へと変えていくのです。 見張り台から眺める緑色の草原も、ここでおしっこできたらさぞ気持ちいいだろうとか、もうそんな事しか思えないのです……! (おしっこ、もれちゃう……!) でも、もう、今更言い出すことなんてできません。 さっき突っぱねたばっかりなのに、今更やっぱりおしっこしたいから馬車を止めてだなんて言えば、きっとミーシャに笑われます。それだけじゃない、きっとティアさんだって笑われる。そんな恥ずかしいこと……うう、でも、もう……! 葛藤の袋小路に入り込む僕は、はたから見ればとっても馬鹿っぽいのでしょう。いくらでもおしっこに行ける機会はあったっていうのに、下手な意地なんかを優先したばかりにお漏らしなんて、そんなこと……。 そんなことを思っていると、突然ガタン! と馬車が一際激しく跳ねあがります。 お尻を床に打ち付けた衝撃で、じゅっと何かが流れ出たような感覚がありました。続けて、じんわりとパンツの中が温かくなります。 (……やば、ちょっとチビっちゃった) ちょっと、で済んだのはある意味奇跡でした。 もうお腹の下はパンパンを通り越し、じんわりと痺れが広がっているぐらいなのですから。はずみで全部出ちゃったとしてもおかしくはなかったはずです。 「いけない、脱輪しちゃったみたい。ニルスくん、持ち上げるの手伝ってもらってもいい?」 馬車の中からティアさんの声が聞こえて、僕は先程の大きな衝撃が脱輪のせいであることを理解しました。あまり整備されていない街道には穴ぼことかも多く、馬車は時々そういう亀裂に車輪を挟み込んでしまうことがあるのでした。 そういう時は大抵、僕みたいに力持ちの戦士が馬車を押したりして亀裂から車輪を押し出すのですが……。 (でも、いま、力なんて入れたら……) そうです。猛烈に我慢しているおしっこが、力を込めた弾みで全部出ちゃうかもしれません。いや、かもしれないではなく、間違いなく出てしまうでしょう。そうなったら、僕はみんなが見守っている前でお漏らしをすることに……! 「ニールースー。早く降りてくれって。アタシ達だけじゃ動かないよ」 でも結局、脱輪をどうにかしないと馬車が進まない以上拒む訳にもいかないのです。 ミーシャの声に溜息を吐き、僕はゆっくりと、おなかの下を刺激しないように馬車の外へと降りました。 どうやら左の前輪が街道の穴ぼこに嵌ってしまったらしく、二人はその目の前でしゃがみ込んであれそれと相談をしていました。 「あ、あの……」 「ニルスくん。私とミーシャちゃんで横から押すから、後ろから思いっきり押してもらってもいい?」 「は、はい……うっ」 じわり。ティアさんの言葉に頷いた弾みで、また少しパンツの中が温かくなります。 もう、ほんとうの本当に、限界でした。 「……? どうしたの、ニルスくん」 「い、いえ……っう」 じゅっ。少しずつ流れ出していくおしっこ。真っ青な顔で呆然と立ちすくむ僕を、訝しげな眼で見る二人。 言い出すなんて恥ずかしい。ふたりにおしっこを我慢していたことを悟られるなんて、恥ずかしい。 けど、もう、ほんとうに、おしっこ……我慢できないよ……! 「……あ、あのっ! ぼ、ぼく、その…………」 唇を噛んで俯きます。恥ずかしさと情けなさで、僕の顔は耳の先まで真っ赤にゆで上がっていました。 「…………おしっこ、して、きま……っ!」 じゅわっ。 いっそう激しいおちびり。 僕は言葉を最後まで言い終える暇もなく、ぽかんと口を開けて佇む二人を置いて馬車の裏手へと走ります。 (おしっこ、おしっこ、おしっこ……!) 馬車を挟んだ向こう側に二人がいることなんて分かっているし、おしっこの音だって絶対に聞かれるでしょう。でも、もう、近くの草原まで走る余裕なんてありません。一歩足を踏み出す度に、パンツの中がどんどんと温かくなっているのですから。 (はやく、はやく、おしっこ……!) もうなりふり構っていられません! たしたしと足踏みをし、ぴょんぴょんと軽く飛び跳ねながら、震える手で身に纏っている金属の鎧を脱いでいきます。 もう少しいい鎧なら、おしっこ用に股間の部分だけ鎧を外すことが出来るのですが、駆け出し用の安物にそんな便利な機能なんてないのです。 (ああ、もれちゃうもれちゃうもれちゃう) 兜を脱いで、手甲を外して、鎧の留め具を一つずつ外して。 いつもなら些細なはずの手順が、途方もなく面倒なもののように思えてきます。 (はやく、はやく、はやく) ああ、どうしよう。鎧の留め具が全然外れません! 焦りと尿意で手が震えて、滑って、うまく掴めないのでした。 でも、鎧を脱がないことにはおちんちんを出すことは出来ないのです。だから、外すしかないのです。 ああどうしよう、ここまで頑張って我慢したのに! お漏らしなんて絶対嫌なのに……! 「おい、ニルス。鎧外してやるから、ちょっと止まってろ」 「ミ、ミーシャ……!?」 ミーシャの声がすぐ傍から聞こえて、僕はいっそう慌てました。だって、こんな恥ずかしい姿、ミーシャにだけは絶対に見られたくないのですから。 「な、なんで……」 「なんでもなんもねえよ。ああほら、動くなって」 ミーシャの器用な指先が、僕の鎧の留め具を難なく外していきます。 「悪かったよ。アタシがからかったせいで言い出しづらくなったよな」 「……ミーシャ」 そんなことはないのです。どう考えても悪いのはミーシャではなく、恥ずかしさで言い出せなかった僕の方にあるのでした。 彼女だってそのことに思い至らなかった訳ではないでしょう。でも、僕を傷つけまいとして……? 「よし、外れたぞ」 「……!」 僕は弾かれたように鎧を脱ぎ捨て、上下繋がった鎧下を脱いでパンツ一枚になりました。 もうお漏らしと遜色ないぐらいびしょびしょになったパンツに恥ずかしさを覚えながらも、でもそんなことはもうどうでも構いません。足首までパンツを下げおろして、おちんちんの先を車輪の下に向け―― じょろ、じょわあああああああっ……。 じょぼ、じょぼぼぼぼぼぼっ……じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……。 「っ、はああああ……」 ……ああ、きもちいい。溜まっていたものがどんどん無くなっていく、我慢の苦しみから解放される快感に、僕は思わず吐息を漏らしました。 限界の限界まで溜まっていた濃い黄金色のおしっこが、おちんちんの先端から勢いよく放出されて車輪を濡らし、地面に水たまりを作っていきます。身体を苛んでいた苦痛が、痺れが消えていき、体がどんどん軽くなっていきます。 勢いよく、太く放たれたおしっこの流れが、大きな大きな水音を立てて地面の土を抉ります。こんなに勢いの強いおしっこは生まれて初めてというぐらい、気持ちよく、豪快な放尿でした。 きっと、馬車を挟んだ向こう側のティアさんにもこの音は聞こえているのでしょう。僕がさっきまでどれぐらいおしっこを我慢していて、今どれほど気持ちよくおしっこをしているのか、全てが筒抜けの筈です。 恥ずかしい。途方もなく恥ずかしいけど……ああ、おしっこきもちいい……。 「……ニルス、お前、すっげー出るのな」 呆れたような声を出すミーシャの視線は、未だにおしっこを放ち続ける僕のおちんちんに注がれていました。 隣にいるのですから、当然ミーシャには音を聞かれるどころか、おしっこしている姿すら丸見えなのでした。おしっこの快感に気を取られていた僕は、ミーシャの語り掛けから一瞬経ってそのことに気付きます。 「……ちょ、ミーシャ! 見るなよっ!」 僕は慌てて身をよじり、ミーシャに背を向けます。よくよく考えれば丸出しのお尻を向けているだけなのですが、おちんちんやおしっこをしている姿を見られるよりはマシ、なのでしょうか。 「なんだよ、減るもんじゃないしいいだろー。アタシ、村ではお前のちんちんとかいっつも見てたし」 悪戯っぽくひひっ、と笑って、ミーシャは僕の肩に腕を回そうとしてきます。 「減るよっ! ちょ、こっち寄るなよ! ぼくの……見てたって! それ赤ん坊の頃の話じゃないか!」 「うーん……赤ん坊の頃と、そんなに大きさ変わってねえな」 「う、うるさいなあ……! 我慢してるとちっさくなるんだよ!」 鎧を脱がすのを手伝ってくれて、僕を傷つけまいと取り繕ってくれたミーシャ。 もしかして、ちょっと優しいところがあるかも? ……なんて思ったのが間違いでした! 「もういいからあっち行っててよ! 出ないよ!」 「いやいっぱい出てんじゃん」 「いいからあっち行けってえ! もー!」 雲一つない、秋晴れの草原に、僕の悲鳴に似た怒声が響き渡ります。 こんなに恥ずかしい思いをするのは、生まれて初めてのことでした。パンツはびしょびしょになっちゃったし、おしっこの音はきっと聞かれてるだろうし、ミーシャにはおちんちんまで見られたし……もう、最悪です。 ようやくおしっこが止まり、おちんちんを振って先端の雫を振り飛ばします。おちんちんをパンツの中に収めようとして、ちびったおしっこでびしょびしょになっていたことを思い出し、溜息を吐きます。 びしょびしょになってしまったパンツを着替える時間が欲しい、と言いに行くのは、やっぱりとっても恥ずかしい事なのです。 ふと、秋めく風が吹き抜けて、晴天に輝くおしっこの水溜まりに僅かなさざ波が立ちます。 (……次、おしっこしたくなったら、恥ずかしくてもちゃんと言おう……) 途方もなく、苦々しい思いを胸に抱いて。 僕の生まれて初めての馬車旅は、これからも続いていくのでした。