本記事は、「アクアだけキスしてはいけないハーレム4P(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、「この素晴らしい世界に祝福を!」という笑いあり冒険ありの異世界系ライトノベルです。
その中に出てくるヒロイン3人、特にアクアという女神に着目します。
カズマを異世界に引きずり込んだ発端であり、死後の失態を辱められたカズマが仕返しに無理やり異世界に道連れにした女神、それがアクアです。
女神の神パワーとかでせいぜい俺を楽させてくれよ! というカズマの期待は早々に裏切られ、酒に酔うわゲロるわ空気が読めないわベソかくわの構ってちゃんなトラブルメーカー。ガワは完璧なのに性格に問題がありすぎて、二次創作する私としても取っ掛かりを見つけるのに苦労させられました。駄女神は伊達じゃない。
それでは、ごゆるりと。
前回の続きからです。
カズマを虜にするためにめぐみんがここ最近読んでいた本によると、キスは、行う場所によって込められる意味が変わるらしい。
この知識はカズマも少しだけ知っていて、例えば頬へのキスは親愛、騎士がやるイメージの手の甲へのキスは敬愛、などなど。
そしてカズマのみならず今どきだと子供でも知っているであろうキスの意味。
唇同士でのキスは、言うまでもなく――『愛情』。
めぐみんがアクアに条件として提示したのは、この『愛情』に該当するキス――唇同士でのキスの全面禁止だ。
舌を入れるキスなど以ての外、顔を手で掴んで逃さないキスもダメ。軽く唇が触れあうだけでもNG。違反したら協力は即刻取り消し。
この条件に一瞬アクアは怪訝そうに眉をひそめるも、「まぁいいわ」と受け入れた。
ダクネスおよびめぐみんと違い、アクアはカズマへの好意を明言しなかった。他の男ではなくカズマを襲いたい理由を、特に無いと嘯いた。
よって、アクアに立ち入る資格は無い。恋愛の到達点の一つである、唇同士でのキスに。愛し合う者同士のみが入る、神聖な領域に。
と、ここまで深くアクアが考えているかどうかはさておき。
……いや、さておくまでもなく、間違いなくアクアはこんな深く考えてはいない。
アクアは三人でカズマを襲う約束の日時まで、「んふふ~、楽しみ~♡」と口ずさみながらごろ寝に興じるのみだった。カズマに怪訝な目で見られても、めぐみんに見透かすような目で見られても、ダクネスに哀れまれる目で見られても、酒瓶を抱いたままお気楽に過ごすのみ。
自分が浅慮をやらかしたと、この駄女神が自覚して泣きベソをかくのは、毎度毎度アクアがトラブルを起こした時と同じ――手遅れになってからだ!!
そして、数日後の夜。
決行日。決行時刻の十五分ほど前。
めぐみんの自室にて、寝間着に身を包んだめぐみんとダクネスが会話に興じている。
「もうまもなく……ですね」
「めぐみん、アクアに気を悪くしないでくれ」
「大丈夫ですよ。アクアのことですから、大方、勢いで言ったことを取り消せなくて、引っ込みがつかなくなっているんでしょう」
「それもあると思うが……」
カズマへの好意をアクアが有耶無耶にしたことについて、めぐみんを気遣うダクネスは自分の見解を口にする。
「あいつはまだ、カズマへの想いを言語化できていない、気がするんだ。言ってはなんだが……アクアは、その……頭が、なんというか」
「みなまで言わなくてもいいですよ。後先を考えないわ、調子に乗って痛い目を見るわ。確かにアクアは色恋に悩むような性格ではないですね」
スパッとその場のノリと勢いで軽はずみな行動に出て、その結果トラブルを起こして、思いっきり泣きわめくのが通例。
喜ぶにしても嘆くにしても騒がしい、そんなアクアの人柄は、異性への思慕を熟考する姿は想像しにくい。
「ですが、アクアがカズマを好きだって明確に言わない限り、アクアからカズマへのキスは私が許しません。これは絶対です」
「……それと、カズマからアクアへの好意も、だな」
「カズマについては、単にアクアに意固地になっているか、付き合いが長いがゆえの無自覚ってやつですね。アクアが堕ちれば、なし崩し的にカズマも堕ちますよ」
「え? カズマがアクアに? そんな素振り、あったのか?」
「最近気づいたんですが、カズマとアクアがいちゃつく時って、自然体すぎてカップルに見えにくいんですよ。ですがアレはもはや熟年夫婦の域です。ほら、たとえばアルカンレティアに行く前の似非セレブごっことか」
めぐみんの言葉を起点に思い出して、「あっ」とダクネスは声を上げた。
確かに、ひとたび息が合ったときのカズマとアクアのやりとりは夫婦漫才的に仲が良い。二人揃って悪ノリする時も結構多いほうだ。
アクアのトラブルメーカー的な印象が強くて今まで恋愛的な空気が生じなかっただけで、潜在的にカズマとアクアはかなり仲が良いのでは?
その疑惑を、ダクネスは『もしアクアが深刻なピンチなったらカズマは助けに行くかどうか』をシミュレーションして確かめ――疑惑は確信に変わった。
カズマとアクアは親密だ。それも、かなり!
「なにか一つ違ったら、アクアがカズマを独り占めする未来も、あり得たのかもしれないな……」
「私がそうはさせませんけどね。どんな未来でも、カズマは私がいただきます」
「……ふふ、ファーストキスと貞操をもらったのは私、だけどな」
「あ、それを持ち出すのはズルいですよダクネス!」
小憎らしく微笑むダクネスにめぐみんが頬を膨らませたところで、時間になる。
そろそろだ。
「めぐみん、行くぞ」
「ダクネス。ハーレム要員を増やすのは、これで最後ですからね?」
「ああ。カズマは、パーティーの私達三人で繋ぎ止めよう」
「ゆんゆんやウィズにも手を出したら、三人がかりでカズマをお仕置きしてやるんです。無いとは思いますが、もしそうなったらさすがに浮気認定していいですよね」
「他には、アイリス様やクリスだな。特にアイリス様は怪しい。ここ最近、左手の薬指を見ながら、愛おしげに微笑んでいると聞いたことがある」
「ダクネス、後でその話を詳しくお願いします」
莫逆の友である二人は仲良く言葉を交わしながら、三人目の友の元に向かって歩みを進める。
三人がかりで一人の男を共有のおもちゃにしようという、少女たちの思惑を渦中の男は――カズマは、まだ知らない。