日本漫画家協会が主催の、色紙チャリティオークションに参加しています。
能登半島地震の被災地への支援のため、色紙を3枚お送りさせていただきました。被災された方々への、少しでも助けになれば幸いです。今回の記事は、その色紙のメイキングの後編になります。
前回までの進捗具合はこちら。線画が終わりました。これから彩色作業に入ります。
まずは髪の毛を塗っていきます。3枚とも長く美しい金髪がメインの絵で、金髪の塗り方や使う画材は(個展の作品などで何度も描いているから)既に決まっているため、迷うことなく塗り進めることができるためです。他の部分は、金髪を塗ったあとにバランスを見て考えればいいわけで。
酒カス姫の金髪。まずは色鉛筆を2色使って塗っていきます。
ギャル子も同様に。
まず濃い茶色でS字状の影の流れを描き、その周辺を黄土色で塗っていきます。
酒カス姫と辛キチ姫の髪の毛。
辛キチ姫の銀髪は、アルコールマーカーで塗ります。髪のS字状の流れは、不自然ではない程度にバランスよく、左右対称になるよう心がけます。
S字状の流れができたら、ハイライトを意識しつつ、全体を黄土色で塗ります。
アップで見るとこんな感じ。
既に線画で細かく髪の毛のディティールを描いているので、色塗りはそれに沿う程度で、そこまで細かく塗らなくても大丈夫です。
スクワ姫の髪の毛も、同じようにS字状の影を意識しながら、茶色と黄土色でひと通り塗ります。
塗っていないハイライト部分と黄土色の間を、明るい黄色の色鉛筆で補填するように塗っていきます。
これをすると、グッと金髪のツヤが出ます。
ギャル子の髪もツヤが出ました。
お嬢・オタ子の髪の毛や、制服やセーターなんかもアルコールマーカーで下塗りしておきます。このへんは原作漫画で既にカラーリングが決まっているので、楽ですね。
スクワ姫・フルゥの服も、同様にアルコールマーカーで塗っていきます。
この二人の服は単行本1巻表紙(紙版)のデザインのため、色もそれに合わせて、それぞれ鮮やかな青とやや鈍い赤で塗ります。
髪の毛がメインのイラストなので、こうして髪を塗り終わると、だいぶ出来上がってきた感がありますね。
このへんで背景も塗っておきます。部分部分ごとに仕上げていくのではなく、全体的に少しずつ塗っていくことで、途中でも絵全体の色のバランスが見えるようになります。
ギャル子たちの肌も、アルコールマーカーで影の部分を下塗りしておきます。
スクワ姫の肌も同様に、アルコールマーカーで下塗りを。
ここから更に、肌の白い部分にアクリル絵の具を塗り、質感を出します。
蝋燭姫のイラストの背景、バラの花園を、アルコールマーカーでラフに描きます。
連載当時、バラ園に取材にいって、オールドローズと呼ばれる古いバラの写真を何枚も撮ったんですが、今でもこういうのを描く時の資料に重宝します。3色のアルコールマーカーで、筆跡を生かしてラフに描きました。本当はここから色鉛筆などで細かく描き込もうと思っていたのですが、これはラフのままの方が、いい感じに人物との遠近感が出ているため、あえて手を入れないことにしました。絵を描く上でこういう「退く決断」みたいのも大事なんですが、自分で意識して出来るようになったのは、わりと最近のことです。
酒カス姫・辛キチ姫の方のイラストも、背景を塗ります。アルコールマーカーで模様を描き、上からアクリル絵の具でベタ塗りします。
模様がうっすら透けて、いい感じになりました。
ギャル子たちの肌をアクリル絵の具で塗って仕上げます。このイラストでは、アニメ調のパキッとした肌の塗りを意識しました。
また、服装の部分は色鉛筆で斜線を入れて、原作漫画っぽいタッチにしています。
お姫さま2人の肌も塗っていきます。こちらは光源を下においたアッパーライト気味に塗ります。あくまで「気味」なので、陰影の正確さよりも表情のニュアンスや、絵としての収まり具合を優先させています。
王冠や、白い寝衣もアルコールマーカー&色鉛筆で塗りました。
だいぶ終わりが見えてきた。
3枚ともラストスパートです。
オタ子の髪の毛は黒いアルコールマーカーで塗っています。漫画の方だと黒い部分を紫色で表現しているんですが、本来は黒い髪の毛をしています。
また漫画では描かないんですが、髪の毛のハイライトも目立たない程度に入れて、少しリッチにしてあります。
ギャル子のアイシャドウや、耳のピアスなんかもきちんと塗ります。
できあがり。3枚とも、金色の流れるような髪の毛がメインのイラストです。
ギャル子・オタ子・お嬢のイラスト。斜線のタッチなど原作漫画に寄せた部分と、髪の毛や肌色などの、カラー色紙ならではのリッチな彩色を加えた部分がそれぞれにあります。
酒カス姫&辛キチ姫のイラスト。金髪と銀髪の対比などがうまく描けました。
ちなみにタイトルは「大戦前夜」です。
そして蝋燭姫の、スクワ姫とフルゥのイラスト。
スクワ姫の長い金色の巻き毛をメインに、ふたりの肌色の違いなど、こちらの対比もうまく描くことができました。ラフなままで止めておいた背景のバラの花園も、うるさくない程度に絵に華やかさを添えています。
ちなみに1巻の表紙と比較すると、こんな感じ。
1枚表紙は鉛筆の線画をデジタルで彩色してるんですが、ここ数年はデジタルで色を塗ることがほとんど無い状態です。アナログ・デジタル双方に良し悪しがあるので、場合によって使い分けられるのが一番いいんですが、なんだかんだでアナログで塗った方が楽しいので、ついついアナログ画材で作業してしまうことが多いからです。今回も久しぶりにスクワ姫とフルゥを描いたんですが、楽しかった。今後も何かの機会で描けたらいいですね。
チャリティオークションの方は4月28日から5回に分けてスタート。自分の色紙は第3回〜第5回に出品されるそうです。ご興味のある方はチェックしてみてください。では、また次回で。