SamuKata
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Upward/Downward

こんにちは!


先日、Xで以下のような投稿をしたところ、予想外の反響がありました

(frame embed)




↑ブックマークが130もついているのが面白いですね。



裏を返せば、それだけ"Upward Compression"という言葉が一般的に聞き馴染みがない用語ということではないでしょうか。

もしこれが「コンプレッサーを使いこなすと〜」だったらここまで大きな反響はないでしょう。当たり前のことを言ってるだけなので。



Upward Compressionとは一体何で、どういう利点があるのでしょうか?



原理

コンプレッサーというのは基本的には「大きい音を小さくする」ことで、「音の大小の幅(ダイナミクス)をコントロールする」というツールです。


僕はコンプレッサーによって好みの処理が施された音が大好きです。特にコンプレッサーがきれいにかかったドラムの音は最高に気持ちがいいです!



ですが、ここでひとつ疑問が生じます。

「音の大小の幅をコントロールする」のが目的であれば「小さい音を大きくする」ことでも達成可能なのではないか?


これがUpward Compressionです!


大きなピークとなる音を潰すのではなく、小さい音量を全体的に底上げすることによって、ダイナミクスを適切な状態にコントロールするというアプローチです。


逆に、大きい音を小さくする、従来のコンプレッサーの用途はDownward Compressionと呼ばれています。


これで理屈はなんとなく理解いただけたと思います。


知らないようで知っている

さて、このUpward Compression、できるコンプレッサーとできないコンプレッサーがあります。


Ableton Liveを例に上げると、CompressorGlue Compressorは普通のコンプ(Downward Compression)しかできません。

というか、Upward Compressionは現代でもややマイナーな使い方なので、できないコンプの方が多い印象があります。


では、基本的に触れることの無いマイナーテクニックなのでしょうか?

実は、意外とそうとも言えないです。

私達のとても身近な存在が、このUpward Compressionの力を活かして活躍しています。


一体何だと思いますか。



こちらです!



OTTです!


LiveのpresetのOTTも、プラグインの方のOTTも

原理は「3バンドのマルチバンドコンプで、全バンドでUpwardとDownward両方を極端に動作させる」というものです。

つまり、小さい音は全て押し上げられ、大きい音は全て潰されます

こうして、あの強烈なジャリジャリした圧縮サウンドが生まれるわけですね。



要するに、Ableton LiveではUpward Compressionは"Multiband Dynamics"プラグインで扱うことができます!


次はMultiband Dynamicsの使い方を書いていきます。



基本としてのUpward Comp


たとえばこんなTop Loopsがあったとします

fanbox0331_1


Multiband Dynamicsをインサートし、HighとLowのボタンをOffにします。

これでマルチバンドではない、ただのコンプになります。


それで、このプラグインの見方ですが、

左のBelowがUpward Compressionで、右のAboveがDownward Compressionです。


Aboveのほうは、皆さんがいつも使っているコンプレッサーと同じなので今回は割愛します。


今回はUpward Compressionを実践したいのでBelowを調節していきます。

とりあえずRatioを1:4くらいにしていき、閾値をどんどん上げていきます。



fanbox0331_2


閾値-23.5dbを下回った音量が全て押し出され、全体的に音量が上がっているのがわかります。

音量が大きい瞬間はコンプがかかっておらず、小さい音量の瞬間にコンプが作動して音量を押し上げています。まさに普通のコンプと逆ですね。

とはいえ、最終的にダイナミクスはコントロールされ、本来のコンプレッサーとしての役割は果たされています。



個人的な使い方

最後に僕の好きなUpward Compressorの使い方です。


たとえば中音域のみにUpward Compressionを作動させることで、自然に特定の帯域を持ち上げることができます


fanbox0331_3


これが個人的に革命的で、普通のコンプやEQではできなかった細かなサウンドの微調整が可能になるのです。

また、EQよりもダイナミクスで調整するほうが、最近はミックスがうまくいきやすいように感じます。



また、少し応用的な使い方ですが、Upwardで比率を1以下にすることで、閾値を下回ったらさらに音量を下げさせる、つまりGate的な使い方もできます。

(というか、Gateの原理ってつまりこれですよね…)


↑高音域の部分だけ、比率を1:0.25に設定してthresholdを上げています。


fanbox0331_4


ハイハットの残響がなくなり、高音がシャープな音像になりました。



ちなみに言っておくと、Upward, Downward両方において、この比率を1以下に設定した時の効果(小さい音を更に小さく、大きい音を更に大きくする)をExpanderと呼びます。


Compressorがダイナミクスを均一化に近づけるプラグインなのに対し、

Expanderは音量差を更に広げるような効果を発揮します。

この効果は身近なところだとGateとかに使われています。あと、逆に潰れたトランジェントを復活させる時などに使われることも多いです。



つまるところこのMultiband Dynamicsは、


- Upward Compressor

- Downward Compressor

- Upward Expander

- Downward Expander



この4種類のエフェクトを、3バンドで独立して作動させることができる最強プラグインということです。

使いこなしてみたくなってきましたか?


原理を知ればしるほど、このプラグインはMixing/Masteringにおいて無限の可能性を秘めていることがわかってきます。

皆さんも僕と一緒に勉強していきましょう!


ではまた〜〜

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