5年に1度行われる、名もなき祭りがあるという。 その始まりは遥か昔。 「七つまでは神の子」といわれているように、子供が成長せずに亡くなってしまうことが多かった時代にひっそりと始まった「秘祭」。 その秘祭が行われるのは、村の北側に位置する「成雄山(なるおさん)」の麓にある神社。この成雄山は、周りの山と比べると傾斜が激しく、ひときわ高くそそり立っている。また、山頂への道は険しく、屈強な男でも登るのは厳しい。山の神は女神であることが多いが、その厳しさが故、成雄山の神は男神と伝えられている。 この秘祭は大人の男衆のみが参加を許されている。祭りの準備から片付けまで、すべて大人の男衆のみで執り行われ、女性がかかわることは禁忌とされている。そのため、村の女たちはこの秘祭で何が行われているのか知らない。ただ、祭りの間は男たちが留守にするため、旦那の世話をする必要がなくなるため、「気が楽でいい」と言う女性たちがほとんどだ。 この秘祭では、成雄山の男神が災いを遠ざけ、恵みを与えていただいたおかげで、5年の間に無事成人することができたことに感謝の意を伝え、今後も見守っていただけるよう祈る。 感謝の印として、この祭りのために用意した舞台の上で神聖な舞を踊る。一晩中、複数の男たちが、成人した新入りたちと入れ替わり立ち代わり、さまざまな踊りを男神へ捧げる。 遠い昔は、精通を迎えた男たちが参加していたが、時代に合わせ大人の定義を変え、今でもひっそりと続いている、という。