三 暑さと息苦しさで満たされていく頭で、目の前で交わされる会話をなんとか追いながら、私は食卓から少し離れて立っていた。食事を運ぶ際に動き回って上がった息が、マスクの中の乏しい酸素をさらに枯れさせていく。隣に立っている赤毛のメイドも肩で息をしているということは、多分同じような状況だろう。しかし、内側に仕込まれている仕掛けまでは同じかまでは分からない。無数の掃除用ロボットが身体中を這い回る感覚に、最初は嫌悪感が勝っていたものの、それに慣れてしまうと、くすぐったさが強くなってしまった。脇の下や敏感なところが柔らかな突起が擦られる度に思わず身体をくねらせてしまいそうになる。最悪なことに、汗を感知しているのか、脇の下などはかなり念入りに掃除されてしまうのだ。 「しかし、先生のメイドさんたちはすごいですね、こんな料理まで出来てしまうとは。」 「ひと通り家事は任せられるようにしてますが、いかんせん人間にやらせるよりは手間も工夫も必要でして。」 「そうでしょうね。何人いらっしゃるんですか?」 「ちょうど12人です。1人につき演者も1人専門につけていますので、人件費がなかなかのものでして。それでも自分でやるよりはマシでして。」 「なるほど。それは大変ですね。」 厨房のベルが鳴った。デザートが出来た合図だ。食事の進み具合を見るに、すぐに出してしまってよさそうだ。もう1人のメイドと共に厨房に入ると、黒髪のメイドがデザートの皿を配膳用のカートに並び終えたところだった。私たちを見て元気に手を振っている。私もにこやかに手を振りかえす。まぁ、にこやかな表情以外ないのだけれど。 赤毛のメイド、フミカは、私よりも人懐っこい性格という設定なので、さらにハグまでしていた。カートを食堂に運び出して、お客様のもとへと運ぶ。止まったカートから皿を持ち上げた瞬間、ぬるりとしたものがお尻の間をすり抜けて、思わず動きが止まってしまう。皿をひっくり返そうものなら、どんなお仕置きが待っているか分からない。私は慎重に皿を置いた。クレープに果物を散りばめ、2色のソースで彩られた絵画のような一皿だ。喉の渇きが増したような気がする。 「ありがとう、ミーナ、フミカ。」 主人の下にも皿を置くと、労いの言葉をかけられたので、お辞儀をして後ろに下がって壁際に控える。厨房からサツキも出てきて横に並んだ。側から見れば、お金持ちの晩餐会だ。唯一、私たち着ぐるみメイドだけが異質な存在だった。 「さて、私はそろそろ失礼します。ミーナが付きますのでお部屋でゆっくりお寛ぎください。もちろん、先ほどの件のモニターも兼ねて、色々とお試しいただいて構いません。」 私は、お客様に深くお辞儀をした。今日はフミカがご主人様の担当になるということか。 「ありがとうございます。ミーナちゃん、よろしくね。」 こくりと頷いた。 「せっかくですし、こちらのリモコンをお渡ししておきましょう。」 ご主人様が取り出した小さな機械には、2つのボタンがあるのが見えた。 「先ほどの掃除ロボットですが、ある種の信号で操作できるように設定しています。」 嫌な予感がした。 「まずは赤いボタンですが、クラゲたちに行き先を指示するものです。」 レーザーポインタのように、リモコンから光が出ていた。その光が、私の体に向かって来る。 「光は見やすくするためのポインタですので、目には当てないでくださいね。一緒に出ている信号を感知すると、身体中からそこに向かって集まってきます。例えば。」 私は光の行き先を見失った。それはすなわち私の体のどこかにレーザーが当たっていることを意味している。全身を舐めていたクラゲ達が這い上がって来るのがすぐにわかった。 「これで、重点的に掃除したい場所が指示できます。こんな風に口に当てれば歯磨きに代わる口腔ケアも可能です。」 慌てて口を固く閉じた。マスクに押しつぶされている鼻で何とか息継ぎをする。くらげ達は次々に集まってきて、興奮したように口の周りを這い回っている。接地面にびっしりと生えた短い触手が唇を蹂躙し、中央にある口が収縮を繰り返して、ブラシ状の柔らかい歯が甘噛みするように肌を撫でる。反射的に口を押さえるが、硬いマスクに阻まれて何の抵抗にもならない。 「ほら、ミーナ。ちゃんと動かないで立ってないと、デモンストレーションにならないでしょ。」 意地悪な主人の言葉に、私は諦めて手をエプロンの前で組み直す。いつのまにかサツキは皿を片付けて厨房に下がっている。巻き込まれまいという魂胆だろう。 集まってきたクラゲ達は折り重なって口元を中心に顔を覆う。必死に呼吸する鼻もぴたりと塞がれてしまった。早く終わって。苦しい。そればかりが頭の中を支配する。 限界はすぐに来てしまった。遅れてきたクラゲが耳を通って、思わずくすぐったくて口が緩んだその隙に、唇の裏や歯茎にむずむずした感触が走った。たまらず口を開けて空気を吸う。最早なすすべなく口の中まで這いまわられる。間違って飲み込んでしまわないように、いや、飲み込んでしまえば、と頭をよぎる。汚れや臭いには耐えなくてはならないが、四六時中くすぐられているよりはマシかもしれない。 「間違って飲んじゃったりしないんですか?」 「ああ、故意に飲み込まなければ大丈夫。それに飲んじゃったら、食道を這い上がってくるだけだから。」 慌てて喉の奥を締めた。 「こっちのボタンはこんなものですね。普段は顔の方には行かないようにプログラムしてますから、歯磨き代わりにリモコンで顔を洗うイメージですね。」 レーザーの照射が終わってクラゲ達が身体の方へと戻っていった。しかし悔しいことに長いことマスクの中で蒸された顔も口の中も掃除されてスッキリしていた。すぐにまた汗が滲むのは分かりきっているが、着用時間を考えると、清潔になるのは正直ありがたい。私と着ぐるみの間に寄生したクラゲ達は、勤勉なことにすぐに全身に散って、さっきかいた冷や汗を啜っている。 「で、こっちのボタンですね。こっちはどちらかと言うとお仕置き用に開発したものですが。ま、見たほうが早い。」 言葉を理解するよりも先に、全身に刺激が走った。身体のあちこちがむずむずする。ロボットが激しく蠢いているのだ。あまりのくすぐったさに身体が自然とくねくねと悶えてしまう。 「え?これ大丈夫なんです?電流とか?」 「ははは。そこまで酷いことはしませんよ。」 十分酷いと思う。 「こっちの信号は、ただ掃除ロボットを活発化するだけです。ほら、ちゃんと我慢して。」 さっき汗をかいてしまったせいか、脇や足の裏に掃除が集中している気がする。床を転げ回ってしまいそうな衝動を無理矢理押し込めて、全身に力を込めて直立する。それでも、ぷるぷると身体が震えるのを堪えきれない。 「まだ震えてるけど、まぁ、一応合格かな。」 クラゲの激しい動きが収まった。不規則になった呼気を整えようと、激しく呼吸するほどにマスク内の酸素は失われていった。 「相当効いているみたいですね。お仕置きは必要ないかもしれないですが、機能自体は何かに活かせそうですね。」 「そうですね。インナーのせいで外からの刺激には鈍感になりがちですから、それを補うということもできるかもしれません。ともあれ、今夜一晩ミーナを使って色々と試してみてください。特にNGはない子なので、どうぞ遠慮なく。」 慌てて止めに入ろうと手を動かしかけたが、反論など無意味だと思い返して諦めた。 四 2階への階段を難なく着ぐるみメイドは難なく昇っている。視界が広いのかもしれないし、単に慣れているだけなのかもしれない。早速リモコンを試してみようと、お仕置き用のボタンを押してみる。順調だった歩調がぴたりと止まる。手すりをつかんで震えている。ぷるぷると内股で震えながら、一段、また一段と昇っていく。少しかわいそうだが、これくらいで耐えられないようでは遊園地でのグリーティングやショーでのアクションは難しいだろう。 ようやく部屋にたどり着くと、ドアを開けてお辞儀をしたまま、まだ震えている。 「ありがとう。お疲れ様。」 声をかけてリモコンのスイッチを切る。平然として綺麗なお辞儀をしているが、その肩は激しく上下している。 部屋はかなり広かった。普段から着ぐるみの稼働実験にも使われているのかもしれない。ベッドやサイドテーブルといったホテルのような調度がまとまったスペースと、広く空いたスペースが半々といった構成だ。泊まるつもりで来たわけではなかったが、アメニティも充実しているようで安心した。 「寝るまでまだ時間もあるし、早速色々試してみてもいいかな?」 部屋の隅に佇んでいるミーナに声をかけると、素直に頷いた。かなり過酷な機構の着ぐるみを3日にも渡って着続けていると言っていた。その裏側は今どんな状況なのだろう。そもそも中に入っているのは女性なのだろうか。まずはそこから見てみよう。 「ちょっと身体触るね。」 メイドに一言断りを入れて、喉を触ってみる。マスクとの境目がしっとりと濡れているが、ごつごつとした凹凸はないようだ。手を下へと移動して、胸を揉んでみる。すぐにびくっと反応があったが、抵抗することなく直立している。呼吸に合わせて温かな風船が膨らんで私の指に食い込む。膝をついて、今度はミニスカートの中をチェックする。パニエが幾重にも重なっていて中は見えないが、手を突っ込むと中が相当な熱と湿度に包まれていることがすぐに分かった。股間を入念に触診してみても不自然な膨らみは無かった。ようやくほっとする。着ぐるみとはいえ、男性と2人きりで泊まるのは抵抗がある。 その姿勢のまま、少し腰が引けているメイドのスカートの中に顔を突っ込んで臭いを嗅いでみた。恥ずかしいのか、メイドの手が反射的にスカートを押さえたのが、後頭部の感覚で分かった。中の女の子には同情するが、排泄物もさっきのロボットが処理すると言っていた。分解しきれていなければ臭いが残るだろうと思っていたが、特に不快なにおいはない。鼻を股間に押し付けて思い切り臭いを嗅ぐと、微かに女の子の臭いがする。流石に3日の間、一度も排泄していないということはないだろうし、ここまで無臭化できるのなら十分だ。 「ありがとう。じゃあ、次は運動への耐性を見てみたいんだけど。何かできる?」 さっきまで散々恥ずかしい思いをさせられたことなど微塵も感じさせずに、メイドは頷き、サイドテーブルからタブレットを持ってきて私に手渡した。タブレットには、メイドへのオーダーメニューがあった。喋れない着ぐるみとのコミュニケーションもこれで取れるようだ。ダンスやレクリエーション、マッサージなど、いろいろなメニューがあった。今回は、ダンスでもさせてみようか。そう思ってダンスのボタンを押すと、カラオケの端末みたいに曲が一覧になって表示された。それぞれの曲の隣には、いくつか顔のアイコンがあった。見覚えのある顔もある。これは、メイドのマークなのだろう。ミーナの顔のアイコンもある。対応している曲のようだ。絞り込みのメニューから、ミーナを選択すると、なかなかたくさんの曲がヒットした。 「じゃあ、踊ってみてもらえる?えーと、じゃあ。うーん、選べないからランダムメドレーっていうのでもいい?」 難易度は上がりそうだ。しかし、メイドは従順に頷いて、広いスペースの真ん中に立った。 「じゃあいくね。」 メドレーをタップすると、いくつか候補が出てきた。その中から『全曲 25分』というのを選んでタップした。早速音楽が鳴り始め、可愛らしいアニメソングに合わせて、ミーナは踊り始めた。けっこう練習を積んでいるようで、みていて飽きない。 「じゃあ、今のうちにシャワー済ませちゃうね。」 バスルームはガラス張りだった。ロールカーテンを下ろすこともできたが、せっかくだからミーナのダンスを眺めながらシャワーを浴びることにした。手足をいっぱいに動かして踊る様子に手加減は見られない。 髪を洗い終えたタイミングで、曲と曲の合間の決めポーズをとったところだったので、ちょっとした悪戯心が湧いて、持ち込んでいたリモコンで、お仕置きボタンを押してみる。予想外の刺激だったのか、一瞬びくっとした瞬間に、次の曲が始まった。慌てて踊り出すが、ぱっと見では違和感もないだろう。 私が体を洗い終えて湯船に浸かった頃にはすでに5、6曲くらい踊り終えている。日曜日朝の魔法少女アニメの曲やアニメ化したアヤトラの曲も混じっていた。接待のために仕込んだのかもしれない。かなり息は上がっているようだが、ギブアップする様子は一切ない。そこはプロ根性というものかもしれない。時々リモコンでイタズラしてみるが、大きく崩れることはない。せいぜいその前後で苦しそうに肩やお腹の動きが大きくなるくらいだ。そのまま音楽が止むまで私は少しずつぬるくなっていく湯船に浸かったまま、ミーナのダンスを眺めていた。ようやく全ての曲を踊り終える頃には、私ものぼせそうになっていた。 バスタオルに身を包んだまま、部屋に戻ると、決めポーズの姿のまま、苦しそうな呼吸を隠しきれない様子でミーナは立っていた。 「お疲れ様。上手だったね!」 声をかけると、我に返ったように丁寧なお辞儀を返してくれた。相当な汗をかいたはずだ。手を挙げさせてバンザイの姿勢にすると、メイド服の脇のところの色が変わっている。顔を近づけて臭いを嗅いでみるが、ほとんど臭いはない。全て分解された後の水に近い液体なのだろう。インナースーツの中に全て密封することもできそうだが、着用時間も考えると、臭わないなら少しずつ蒸発させたほうがいい。それに、私みたいな性癖の持ち主がパークを訪れるであろうこともこれまでのイベントの客層から予想されるので、むしろシミができるのはプラスだろう。恥ずかしいからか、それともたくさん汗をかいた脇を掃除されてくすぐったいのか、私が掴んだ手首は、時折抵抗するようにぴくぴくと動いた。 「喉渇いたよね。お水飲んで。」 手を下ろしてお辞儀をする。心からの感謝が伝わってくる。小走りで冷蔵庫からボトルを取り出して、チューブを口のスリットに差し込む。 「なんか必死に吸ってて赤ちゃんみたい。」 少しミーナが俯く。私はベッドに腰掛け、ミーナを招く。開いた脚の間に座らせて、後ろから抱きついて、ボトルを持ってあげると、本当に赤ちゃんにミルクをあげているみたいになった。多分成人しているだろう中の女の子は、相当な羞恥心に苛まれているだろう。それでもボトルの水分が無くなるまで、ミーナは吸うのをやめなかった。それだけ冷たい水を飲んでも私に密着したミーナの背中は熱くて濡れていた。そのまま、髪に顔を埋めると、少しだけ人間らしい臭いがして、下腹のあたりがむずむずした。 「たくさん踊って疲れたよね。マッサージしてあげるね。」 そう言い聞かせて、太ももをさわさわと撫でた。触覚はタイツとインナーに遮られているからそれなりに鈍いはずだ。もじもじともどかしそうに内股に太ももを擦り合わせているのは、果たして演技なのだろうか。そのまま、鼠蹊部、脇腹と撫であげていく。胸のふくらみを上りかけた手を下へと引き返す。背中が膨らんで、大きく息をしたのが分かった。スカートの中は蒸れていて、一番奥は濡れている。汗なのか、それとも違う液体なのか、クラゲに分解されたせいで判別できない。また胸を焦らしながら少しずつ中心に迫っては、離れていく。何かに耐えるように、ふぅー、ふぅー、と長い息を吐いてミーナは体を捩っている。 優しく胸を両手で揉みしだくと、ミーナはのけ反って、私の顔は綺麗な銀髪で塞がれた。特別ここが弱いのだろうか。そうして、しばらく柔らかな双丘を堪能してから、中心を弾く。びくびくっと体を跳ねさせたのが、少し驚きだった。インナーとタイツに加えて、衣装や感触から察するにブラもしている。 「ミーナちゃん。ここ。弱いんだ。」 恥ずかしそうに悶えて逃げようとする着ぐるみに脚を絡めてさらに強く抱きつく。熱が伝わってきて暑い。エプロンを肩から外して、襟のボタンを外す。首元のタイツはびっしょりだ。メイド服のチャックを下ろして、上だけ脱がせると、緩んだつけ襟も一緒に滑り落ちて、紺色のリボンだけが残った。水色のブラには、なかなかに大きなふくらみが包まれている。ブラの表面を撫でていると違和感に気づいた。真ん中のところの生地が薄くなっている。そこに指を突っ込むようにしていじくると、ミーナが慌ててもがくが、押さえつけた私を振り払うことはできない。あるいは、振り払えない素ぶりを演じているのかもしれない。暗くなったバスルームのガラスには、メイド服をはだけて乱れる着ぐるみが映っていた。脇や首元、ブラの下のあたりは汗染みになっている。 ブラを外す感覚が伝わったのか、ミーナの中の人が息を飲んだのが微かに聞こえた。締め付けから解放された二つのふくらみの頂点は、内側からタイツが持ち上げられていた。多分、そこだけインナーに穴が空いているのかもしれない。 「マッサージしてあげてるのに、ここ、こんなにしちゃって。」 黙って顔を両手で覆うメイドの乳首を優しく摘んでクリクリとつねる。ミーナは顔を覆ったまま切なそうに身体をくねらせて悶えている。 「エッチなメイドさんにはお仕置きだよね。」 何をされるのか察したのか、首を横に激しく振っているメイドをよそに、私はリモコンのスイッチを押した。その瞬間、身体を丸めて、ミーナはスカートをぎゅっと掴んで股間を押さえた。その姿勢のまま、ぷるぷると震えている。どうやら掃除ロボットは、そこに集中していたようだ。 「あれ?おっぱい虐めてるのに、なんでそこが気持ちいいの?」 私は知らないフリをしてまた乳首を優しく爪で引っ掻く。指が底を弾くたびに、びくっ、びくっと身体が跳ねる。 私はベッドから降りて、ミーナの前に膝立ちになった。 「そこ、大変なことになっちゃってるんだよね?見てあげるから、パンツ脱いで。」 イヤイヤ、と首を振る。羞恥心もそうだろうが、それ以上に、脚を開ける状況じゃなくなっていることは明らかだった。 「どうしたの?命令だよ?」 ミーナは意を決したように息を吐くと、片手でスカートを押さえたまま、もう片方の手で、慎重に脱いでいく。下を向いた拍子に口のスリットから滲み出した水滴がよだれのように硬いプラスチックの唇を濡らした。ようやく脱ぎ終えたミーナにキスをして、それを舐めとる。汗か、よだれか、あるいは涙なのか。判然としない液体が私の舌を湿らせた。 「じゃあ、ここ、確認するね。」 私は、ミーナの両足首を掴んで思い切り持ち上げた。ベッドに座っていたミーナは勢いよくベッドに仰向けに転がり、スカートもパニエも捲れ上がったあられも無い姿になってしまった。脚を閉じることを許されず、必死に両手で股間を隠そうとしているのがいじらしい。 「はい、ミーナ、バンザイしてー。命令だよー。」 おずおずと両手を挙げたミーナの恥ずかしい姿を眺めてから、私は股間を間近に観察する。手で触れてみてもびっしょりと濡れていることはわかるが、その内側は窺い知れない。思い切って強めに指を押し込むと、指にまとわりつくように蠢く何かの感触があった。新たに加わった刺激にミーナはバタバタと暴れているが、脚を掴まれたままではその抵抗も弱々しい。私は、ミーナの濡れそぼったそこに顔を近づけて舌を出し、ぺろぺろと舐める。少しだけ塩気を感じる。奥で蠢くクラゲは私の舌に絡みついて、まるで布越しにディープキスをしているみたいだった。太ももが閉じてきて私の頭を挟む。私が口からたっぷりと唾液を出して、タイツへと染み込ませると、その奥でクラゲ達がエサを得て歓喜するように暴れ出した。なるほど、外から汚してもちゃんと掃除してくれるのか。感心している間にもミーナは何度も身体をびくつかせていた。そして、そろそろ限界なのか、身体を起こして、刺激に耐えるように背中を丸めて震え始めた。私の頭を押さえている太ももにも力が込められる。捲れていたパニエとスカートが頭を覆ってすぐに息苦しさと蒸し暑さが襲ってきた。私は仕返しとばかりに顔を股間に押しつけたまま、手探りで胸を揉み、その先端を探し当てると、離さないようにしっかりと摘んで左右にぐりぐりと引っ張りながらつねる。すると、またミーナが痙攣して、脚がピンと伸びた。ぶるぶると震えて、それからゆっくりと脱力していった。それと同時に私が啜っている花びらの奥から蜜が滲み出した。おそらく一気に水分が出過ぎて、分解も間に合わなかったのだろう。今度はちゃんと女の子のにおいがした。 酸欠になりかけながら、餌に群がる犬のように舌を動かし続けていた私は、その臭いに包まれながら、達成感のようなものとともに訪れた眠気にそのまま身を委ねた。 五 カーテンの隙間から差し込んだ朝日が、マスクに開いた覗き穴を通過して、私の意識を現実に引き戻した。こだましている激しい呼吸音が私のものだと気づいて、同時に顔面を覆う蒸し暑さと息苦しさが改めて襲ってくる。私の身体から滲み出した汚れを栄養にして、掃除ロボットたちは未だに身体中をねぶり回していた。最後の記憶を遡る。確か、何とか動けるようになってから、お客様をベッドに寝かせ、椅子をベッドサイドに置いてそこにじっと座ったのだった。当然ながら、メイドがリモコンを勝手に操作することは許されない。お客様が目を覚ますまで、激しく私の粘液を貪る無数の口に責められながら、ひたすら待つしかなかった。 アヤカシパーク、だったか。そこの着ぐるみにこれと同じものを仕込むつもりなのだろう。鬼畜の所業としか思えないのに、惚けた頭は反対に、衆人環視のもと、アヤカシ以上に面妖な仕掛けに責められながら愛想を振りまくのを想像すると、何故か心臓がドキドキした。お客様の安らかな寝顔を眺めながら何度もそんな妄想をして、時折限界が来て、何度目かわからない絶頂を迎える。そして、半分気絶するように頭が真っ白になって、しばらくするとまた、全身のくすぐったさで目を覚ます。いつしか起きていても、頭がぼーっとして、体もふわふわ柔らかい雲の上に浮かんでいるような感じがした。もうだめ、許して。そんな言葉がうわ言のように頭に響いては消えていく。 もぞもぞと布団が動いて、お客様が目を覚ました。私をみて少し驚いたようだ。私はトランスしたような状態のまま、すっと立ち上がってお辞儀をして、カーテンを開けた。 「ご、ごめん!スイッチ入れっぱなしだ!」 お客様が慌ててリモコンを操作して、ようやく掃除ロボットの動きがゆったりとしたものになった。少しだけもの寂しさを感じて、私は頭が真っ白のまま、お客様をぎゅっと抱きしめました。 「ごめんね、大変だったよね。」 優しい声に頬とみみがあつくなりました。何も考えず、私はゆっくりと首を横に振ります。 「え?大丈夫なの?ほんとタフだね、ミーナちゃん。」 私は首を傾げます。まるで、何が大変なのか分からない、というように。そして、何事もなかったかのように、お客様の身支度を手伝いはじめます。はみがきをしている間、お客様はリモコンを使って、私の顔に掃除ロボットを這わせて下さいました。お客様に直接顔を、口の中をめちゃくちゃにおかされているみたいで、身体が快感に震えてしまいます。それを見たお客様が私のあたまをなでてくださいました。マスク越しなのに、そこから電流が流れているみたいに気持ちよかったです。 おみおくりの時間はあっという間にやってきてしまいました。わたしはさみしくなってお客様の手をにぎってぎゅっとだきしめます。かおを赤らめたお客様がとてもかわいかったです。お客様のすがたが見えなくなるまで手を振りました。わきががらあきにになってすごくくすぐったくなりましたが、てをおろすきにはならなかったです。さて、めいどのしごとにもどらなくては。わたしはごしゅじんさまのほうをふりかえります。 「やっぱりミーナでも3日くらいが限界かな。1週間も着てたら正気に戻すの大変そう。今日はもう休んでいいよ、お客様のお世話よく頑張ったね。」 わたしがおじぎをすると、ふみかがわたしのてをひいてめいどのひかえしつへとつれていってくれました。なにかしあわせなきぶんのまま、わたしはたぶんねむりにつきました。おやすみなさいませ。