SamuKata
mitsumichi
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愛のうらがわ壁の向こう①

 心臓がうるさい。  あとすこし、あと少しだ。そのほんの数秒が永遠ほど長く感じる。ついに結び目がほどけた時、一層鼓動は高鳴り鼓膜をとどろかせた。  拘束具が外れる。興奮と、些かの恐怖に息が乱れる。足首に色濃く残る戒めの痕。淀みかけていた怒りが蘇るが、今は不要な感情を抱いていたくなかった。心を静かに保ち、降っておりたチャンスに集中していたい。  震える足で立ち上がる。そのまま部屋を出ようとして、思いとどまった。クローゼットの扉を開き、目についた服をハンガーから取り外す。焦りに手が滑り、何度か引っかかった。なにをしているんだ、はやく、はやく。下着はもういい。探している暇がない。最低限人前に出られるような形にして部屋の扉を開く。音を立てないよう、慎重に。廊下を見渡す。本当に人の気配がないか、耳を澄ませていたいのにあまりにうるさい鼓動が邪魔をする。できる範囲で感覚を研ぎ澄まし、廊下を進む。一歩踏み込むたびにきしむ床が憎かった。いつも通り家から出ていく気配は感じた。仕事が終わる夕刻まで、帰ってくるはずはない。とにかく外に、外に出られたら。外にでて、警察に駆け込んで。そうすれば終わりだ。ぜんぶ、ぜんぶ終わりにできる。急かす気持ちとは裏腹に、囚われた体は不自由に緊張していた。呼吸が浅く速くなる。靴を履くのも忘れて、鍵を開けようとした時だった。  指先に触れた錠が、きぃ、と音を立てて、ひとりでに回った。 「先輩。どこかにお出かけですか?」  そこにいるはずのない男の姿が、扉の前に立っていた。 「最近従順だったから」  落ちついた声色だった。 「ちょっと試してみたくなったってのが本音です。昨日だって、おれのこと大好き大好きって言ってくれたじゃないですか。ちがいますって。貶めたかったわけじゃない、……信じたかったんですよ、おれは」  彰吾はベッドに引き戻されながら、 「昨日の態度はぜんぶ嘘だったんですか?」 「う、そに決まってるだろ……っ!」  おまえなんか、お前なんかだれか、とひどく震える声で喚いた。こんなこと言ったら余計ひどくされるのがわかっている。でももう限界だった。激情が沸きだす。言葉が溢れる。 「もうやだっ、こんなのやだッ……もう、もう帰せよ! この変態っ、くそ野郎、おれの、おれの人生ッ……こんなのやだ、っう゛!」  首を掴まれて、ベッドに押しつけられる。きつく締められ、はくはくと唇が開いた。その上に蓋のない小瓶が傾けられる。 「がぼっ、がっ……!」  甘い液体を、とくとくと注がれる。喉で溢れかえりそうになったところを手の平に塞がれ、彰吾は溺れかけながら必死に口内のものを飲み干した。 「っごほ! っが、げほっ、はっ、はっ……!」 「そっか。ぜんぶ嘘か」  舌に残る味を覚えている。その後のことも。ほんの少しの服用で自分を見失うほど溺れた記憶に肌が総毛立つ。それを、いま、どれだけ飲まされた?咄嗟に口元に差し向けた手を掴まれた。 「た、高瀬……」  仕様もない子を見守るような、やさしい笑みが、怖い。怯えた姿なんてみせたくないのに。勝手に身体が震えあがり、歯の根が合わずに音を鳴らす。 「今日は先輩のすきなこと、たくさんしましょうね」 「あ゛ぁああぁああ゛ァ゛!!!!!」 「あはは、すご」  高瀬は、ぷしゅ、と自分の頬を濡らしたものを肩で拭った。 「先輩、これ好きですよね」 「ふぐっ……う゛っ、うっ、うぅう゛う゛うう〜〜〜!! す、っきじゃない゛すぎじゃなぃい゛あぁああ゛……ッ!!」 「前はすぐにもう十分だって言ってましたけど。今日は先輩が本当に満足するまでしてあげますから、遠慮なく、たくさん出してくださいね」 「う゛あっ、あっ、あ゛あ……!!」  手首と足首を縛られ、ベッドに大の字に縛りつけられた。ピンと縄が張るようゆとりなく拘束された上に高瀬が膝で太ももをおさえつけているせいで、満足に腰を震わすことも、与えられる強烈な刺激から逃れる術もなかった。  ずる、と亀頭に貼りついたガーゼを左右に擦られ、彰吾は力の限り叫んだ。 「っっっあ゛────!!!?」 「ああ、また噴いた」 「やめっや゛っ、やめろ゛!!! もっ、もうむりッ……もう無理だからあ゛っ!!」 「まだ前ほどもしてませんけど、ああ、そっか。今日はクスリ使ってるんでしたね」 「……う゛ぅうう、ぁあ゛っ!! きづぃ゛、きついぃ゛い゛!! あああぁ゛ああ゛……っ!!!」 「それならより一層がんばらないと」  もっとも敏感な部分を、潤滑油を纏った荒い繊維でこそぐように擦られる。ほんの僅かな摩擦でも酷い快感に狂いそうになるのに、ずり〜〜〜っとゆっくりと長く擦りあげられて、目の前にチカチカと閃光が散る。拷問めいた快楽を全身が拒絶している。限界を訴えたからだがシーツの上を何度もバウンドする。それでも高瀬の手は止まってくれない。 「あ゛────!!! ひ、ひぬっ、ひぬ、しぬぅう゛うううう゛!!!」 「あはは。ローションガーゼでしんだ人聞いたことないですよ」 「お゛かしぐなる゛っ、っ!!! だのむ、もう、もうやめ゛でぇ……っ!!」  ぷしゅ、と尿道口が潮を吹く。彰吾はがくんと喉を晒して啼いた。 「あぁ゛っ、あ゛────♡♡♡!!!」  絶頂に相次ぐ絶頂。充血した亀頭が悲鳴を上げている。こんなの、こんなのにんげんが受けていい刺激じゃない。おかしくなる。おかしくなる。戻れなくなる。 「……っ、ッ、ふぐぅう゛ぅ……ッ!! もうだ、めっ、だめ、ぇっ♡ やめて、やめ゛て、ッっ、あぁああ゛……っ!!」 「やめませんよ。今日は先輩の好きなことするって言ったじゃないですか」 「こんなの゛っ、こんなのっ……!!」 「大好きなことたくさんしてあげて。やっぱりここから出たくないって、先輩が心から思うまでやめません」 「っア゛!!? あ゛、あっ……イ゛っっっだ!! いまイっだからやめ゛っ、…… ひ、ぃいいい、ま、たイくっいくいくいく、やっ、や、やだっ、イ゛、く────♡♡♡!!!」 「それとも、もう覚悟できました? 帰りたいなんてもう言いませんか?」  高瀬の手が止まる。彰吾は、かはっと息を吐いた。ぜえぜえと肩を揺らしながら揺らぐ視界に高瀬を捉える。しかし自分を見下ろす冷ややかな瞳に、くしゃりと心が折れた。 「……ぃ、いやだ。かえりた」  途中、悲鳴でかき消えた。 「あー。素直。素直で考えなしで……かわいい。ほら、いっぱいシュコシュコしましょうね」 「っあ゛────!!!?」 「ローションも足しますね」 「……や、だぁあああぁ゛あ!! だずげてっ!! たすげて!! あ゛っ……あ、あ、あ、うぅう゛う〜〜ッ、もうやだあ゛! だしたくない、もう出ないでないでなぃい゛!!!」 「ちゃんとでてますよ、ね、ほら大丈夫」 「ぃ゛っ、や、め、きづい゛ぃい────♡!!」  ぎゅうう、と足先を丸く縮める。深い深い絶頂に脳がスパークする。それでも終わらないことに絶望して、瞳からぼろぼろと涙が溢れた。一秒、一瞬も休めず、キャパオーバーの快楽を叩き込まれ、ついに限界が訪れた。 「ん゛ぐっ!! ぅッ……っ………」  ひきつったような声を最後に、彰吾の意識は途切れた。 「せんぱい。逃げちゃだめですよ」  それでも高瀬がガーゼを左右に引く手を止めずにいると、数秒後にビクンッと強い震えとともに覚醒し、意識を戻した彰吾は地獄が続いていることに愕然とした。 「ア゛っ♡!! ……あっ、あ゛ア゛、は、ぁ」 「おはよう先輩、いい夢見れました?」 「や゛だっ、やっ……やめ゛っ、おねが、やすませて、せめてやすませてっ、」 「こんな気持ちよさそうなのに。せっかくの快感を途切れたらもったいないじゃないですか」 「ひ、ッ、ぃイ゛いいいい……!!!」 「はは。顔真っ赤ですね。大丈夫ですか? 酸欠? ちゃんと息してくださいね」  また、無理矢理に潮を吹かされる。もう勢いがない。そろそろ打ち止めだと高瀬もわかっているだろうに、気にしない様子で亀頭をしごかれ続ける。 「あ゛〜〜〜〜♡♡!!!! やめてや、め゛てっまたイ゛く!! もう変になる……!! ちんこ変になるからぁ゛!!」 「そうですねぇ」 「ひっ!?」  高瀬が手を放す。ガーゼはべちょりと落ち、亀頭を覆うように貼りついた。その刺激にすら内腿を震わせたのに、高瀬の手がその上から先端をぎゅっと握った。 「あ゛っ……! あ、あ、それ、だめ……!!」  必死に頭を振る。やめて、と涙ながらに訴える。高瀬は浅く笑い、そのまま亀頭を揉み込んだ。 「っ────!!!!!?」  がくんと腰が揺れる。無意識のうちに刺激から逃れようと後ずさりかけたが、太腿に体重を乗せられ、空いた手で性器の根元を押さえられ、一切の逃げ道をなくした先端をそのままゴシゴシと磨かれる。 「あ゛ぁあああ!! だ……っっめぇ゛♡!! それっ、それ、すぐくるッ、すぐイ、っく♡ イくいくいくっ、う゛っ、ぐぅう゛〜〜〜〜!!!」 「あは、すごい顔」 「手ぇ゛っ、は、なして、おねがっ……♡! おねが、っい゛……!!」 「でも先輩、喜んでる」 「よろこんでなんかなっ、あ゛っ♡ あ゛────!! そこだめだめだめさわんな゛い゛で!!!」 「あ、ここですか? カリもいい? やっぱりきもちいいんじゃないですか。こんなにビクビクしてイって。潮吹いて。先輩が感じなければやめますよ。何度も言いますけど、先輩が『好きなこと』をしたいだけなので」  好きじゃない。こんなの。だけどこんなふうにされて、反応するなというのも無理な話だった。手のひらでぐりぐりと真っ赤になった亀頭を虐められる。間に挟んだぬるぬるのガーゼに剥き出しの粘膜を擦られ、その度に意識が飛びかけた。それを敏感なカリ裏にまで伸ばされると、彰吾は声にならない声で鳴き、僅かに動ける範囲で必死にのたうつしかなかった。 「あがっ、ア゛っ……!! あぁあああ゛!! おねがっ、おねがい゛ッ!!! もうだめっ、あっ……ア、ア゛、ほんとに、ほんとにぃい゛……ッ!!」 「せんぱい。ね、気づいてますか? こっちもひくついてる」  後孔に触れられて、ひっ、と細い声をあげた。薬で感度を上げられたそこは確かに刺激を求めて収縮していた。でもいま、今されたら。やめてくれ、と言葉を発する前に陰茎から溢れた蜜で濡れそぼった穴に、指が二本入り込んだ。 「ア゛ッ………!!!」 「わ、中熱いですね。もう奥の方までひくひくしてる。ずっと待ってました?」 「……や゛、めでっ……! っぅ、い゛っ……!!!」  指先はすぐに前立腺にたどりつく。ぴたりとそこに指の腹を添えられ、彰吾は必死な顔で高瀬に縋った。 「ゃだっ、や、たのむ、頼むから……っ」 「でも先輩」  これ『好き』ですよね?という言葉を皮切りにぬぐぬぐと前立腺を揉まれて、快感の濁流に飲みこまれる。 「っひ、ィ゛いい────ッ!!! あ゛っ♡ あ♡ あ゛♡ イ、っぐ……!!」 「え、早いなぁ」 「指っ、とめ、てぇ゛……!!!」  ぐっと敏感なしこりを圧されて、呆気なく絶頂した。ぎゅううときつく締めつける内壁を押し広げるように指は掻き動いたまま、絶頂に震える前立腺をぐりぐりと弄んだ。 「あ゛ああッあぁあああっ♡♡!!! だめだめだめ゛♡ またイくから゛っ、すぐイくからあ゛!! やめてぇ゛え!!!」 「いいですよ。ほら。何回もイって」 「ん゛んんんんん゛ん゛……ッ!!! ひ、っぐ、ぅうう〜〜〜♡♡ あっ、あ゛ぁああ、っ、ッ、っあ゛っ♡ はっ♡ あっあっあっ、ッ〜〜〜ぁあ゛ああアア♡♡!!!」 「人語が話せなくなった先輩もかーわいい」  指先にしこりを引っ掛けたまま、ぐぽぐぽと掻くように抜き差しされる。同時にガーゼを纏ったままの亀頭を一緒に揉まれて、彰吾の意識がまた落ちる。しかしすぐに快感に叩き起こされ、終わらない拷問めいた絶頂に噎び啼いた。 「あ゛あぁああ゛あ゛───!!! やだあぁああ゛!! もうおわって!! おね゛がっ……アっ゛♡ あっ♡ あ゛っ♡!! あう゛ぅうううう……♡♡♡!!」  イく。またイく。絶頂に震えているうちに尻穴の指が一本増える。びくびく痙攣を続ける肉壁を容赦なく押し広げられ、抉られてイく。真っ赤に熟れた亀頭をいじめられてイく。前立腺を撫でられてイく。カリ裏をガーゼに揉まれてイく。段々と自分がなにで、どれでイッてるのかもわからなくなってくる。快感すらわからなくなってしまえばいいのに、薬で底上げされた身体は与えられる刺激を逃すまいとすべて快感として拾い上げ、余さず脳に伝える。もうずっと許容量を超えているのに。その内に絶頂から下りられなくなる。ずっとイッたまま、膝ががくがくと震えて止まらない。脳の大事な部分が、快感に焦がされていく。 「むりっ、むり゛、もう゛無理ぃい゛いいっ!!! ひい゛っひっ♡ いぐっ、い゛っ、イ゛ってるぅうう゛──♡♡♡!!! やだっ♡!! もうやだッやだやだっあ゛っあがっ……アっあ、あぁあああ゛あ゛!!!」  どんなに限界を訴えても、大丈夫ですよ、としか返されない。いつ終わるのか。どうしたら止まってくれるのかわからない。どうして、なんで、こんなことになったんだ。なんでこんな目におれが、おれがあわなきゃならない。 「先輩が逃げようとなんてしなければ、こんなことにはならなかったのにな」  そうしたら、こうしておれが必要なんだって、からだに思い出させる必要もなかったのに。高瀬が繰り返す。口元は笑みをかたどっているが、その目はひどく冷めていた。本能的な恐怖に心臓が鷲掴みにされる。は、は、と短く荒い呼吸を繰り返す。 「……ごめん、なさい」  だめだ。言ったら。どこかで止める自分もいた。 「ごめん、な、さ、ふぐぅ゛──!!!」 「なにが?」 「……あ゛っ♡ あぅ゛っ、イ、く……!!!」 「ほら先輩。喘いでちゃわからないですよ」  しこりを左右からつまみ上げて、ぷっくりとでた敏感な部分を指の腹で丁寧にこねくり回される。 「ひぐ、ぅう゛───♡!!! あ゛っ……うあ、あ、に、にげて、ごめんなさ」 「逃げただけですか?」 「あ゛っ、縄っ、縄といて、ごめ、なさ、い゛!」 「ちょっと違うなぁ」 「ひぐっ!!?」  陰茎を押し倒すようにぐりぐりとカリ裏と亀頭を撫で回される。もう潮も精液も出ない。ただ尿道口だけがぱくぱくと開いて、そこを弄られると拷問のような快感が襲った。 「あぁああ゛ぁあ!!! アっあう゛っ!! や゛めてやめてっ、やめてぇ゛〜〜〜〜♡♡!!」 「あーあ。そんなに泣いて……」  自分がどれだけ惨めな姿を晒しているか、わかってる。でもわかるだけで、なりふり構っていられなかった。こわい。いやだ。もういやだ。 「ごべ、なさっ……ごべんなさいぃ゛、ゆるして、もうしないからぁ゛」 「なにを?」 「うそつかないっ、うそついでごめんなさい、勝手に服着てごめんなさい、勝手に歩いてごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいゆるして」 「そうですね。うそはだめですよね」 「うぅ゛っぐ……ッ〜〜〜ごめ、ゆるして、反省してますから、あぁっ!!」  ちゅぽんっ、と指が抜かれる。その刺激でまたイッた。ガーゼも外されて、ようやく刺激から開放されたというのに、余韻で甘イキが止まらない。 「はっ……はっ、はっ、あ、ぁ」 「それで?」  顎を掴まれる。高瀬と視線を合わせられる。 「……も、かえりたい、って言わない」 「どうしてですか?」 「すき、だから……」 「なにが」  喉がしゃくりあげる。唇が震える。言え、言ってしまえ、とおもうのに、消えかけの理性が顔をだして、抗わせる。 「先輩」  高瀬の声に、からだが芯から震える。 「たっ、たかせの、してくれることが、きもちよくて、すき、すきだからっ……」 「それは本音?」 「本音だっ、本音だから、ほんとにほんとに本音だからもうっ」 「じゃあ、もっと欲しい?」  言い淀めば、顎を掴む力が強くなる。 「ほしい……」  勝手に涙が出てくる。もう、なんで泣いてるのかもわからない。 「きもちいいの、好きだからっ、だからほしい、はやく、はやくっ……」  はやく、ぜんぶ終わってほしい。はやく正気に戻りたい。よくできました、と優しく頭を撫でられると、余計に涙がこみ上げた。  足首の拘束が解かれる。両足を高瀬の肩にかつがれ、ペニスが後孔に宛てがわれる。それが、どれだけの快感を与えるか知っている。自分の形がわからなくなるほどの快感が刻まれた記憶は確かな拒否を示しているのに、後孔は期待するようにひくついていた。 「ぃ、……ま、って、ゆっくりぃ゛ぃ゛!!?」  ずぷり、と肉棒が埋められていく。あ、あ、と焦点の定まらない目が天井を向いた。指とは比較にならない。太くて熱いものが、括約筋をこじ開け、熟れた後孔を満たしていく。押しつぶされた前立腺も肉壁も奥も、ぜんぶぜんぶがきもちいい。 「……ひぐっ、っ────!!!」 「あ、精液漏れてる。まだ残ってたんですね」  それか、最後の絞り滓を押し出したかな、と高瀬がなかを掻き回すように腰を回す。 「ふぐぅ゛っ♡ ううぅう゛っ、ッ、っ……それぇ゛、それだめッ……!!!」 「だめ? きもちよくないですか?」 「きもぢぃ、イッ! よすぎる、からぁ゛……♡」 「ならいいじゃないですか。好きなんですよね」 「い゛やっ、やっ……や゛ぁ゛ああぁあ゛ぁあ゛♡♡♡!!!」  敏感な部分をぐりぐりと擦られて、後孔で絶頂する。イってる最中に本格的に高瀬が動きはじめる。彰吾は危機を感じ、どうにかして快楽の渦から抜け出そうとあがく。しかし掲げた両足を高瀬の肩に固定され、そのまま覆いかぶさられた上に下半身を密着させられると、熱くなかを穿つ肉棒から離れる術はなかった。 「あ゛───!! あ゛───♡!!!」 「ねえ先輩。ここから逃げて、それからどこへ行くつもりだったんですか?」 「あぁあっ、あっア゛っいぐっ♡!! イくいくいくっ、ッッ、っ〜〜〜〜♡♡♡!」 「今更元の場所へ戻れるとでもおもってるんですか?」 「やだぁああ゛!! なかいや゛っ、なか擦らないで、つかないでぇ゛、とまって、とまってぇ゛!!!」 「ケツもですけど。乳首だってもうまともに服も着られないほど敏感なくせに」 「……あ゛っっっ♡♡♡ さわんないでさわんないで!!」 「ほら、触ってもないのに。こんな充血して」  乳首を捏ねられて、上半身がぶるぶると快感に震える。後孔の絶頂に乳首の刺激が上乗せされる。快楽の連続に脳が混乱して、視界が霞む。 「いやあ、や゛っ……や゛あぁああッ♡♡」 「竿をしごかれるだけじゃもう満足できないくせに、今更女の子とできますか?」 「あ゛っ♡ あ゛〜〜〜んんんん゛っ♡」 「ケツでばっか射精しておいて、今更種付できますか? ねえ先輩」 「あ゛──!! あ゛──ぁ゛……♡」 「ほら。今だってもう物足りなくなって、奥がひくついてる」 「ひっ゛、おく、おくやだ!!!」 「どうして?」 「きっ、きもちい、から」 「きもちがいいの好きなんですよね?」 「す、すきっ、すきっ、でも良すぎるからっ、だから、たのむ、も……もうきもちいいの、怖い……」  懇願を繰り返す唇に、高瀬の唇が重なった。ちゅ、ちゅ、と甘いキスが繰り返されるうちに合わさる角度が深くなる。ぬるりと歯列をなぞった舌に媚びるように舌を絡めた。 「んっ、ふ……っ、っ、ん゛」  呼吸が奪われるような激しいキスだった。背筋にぞわぞわと快感がせり上がる。舌が喉を撫でる。苦しかったが、必死にえずきを耐えて受け入れる。徐々に深くまで舌を挿し込みながら、高瀬は合わさる身体を更に密着させるようにのしかかってくる。同時に、後穴をみっちりと犯す肉棒も深く深くまで入り込んでいく。 「ん゛っ!? ん゛────!! ん゛────!!」  衝撃に彰吾が見開く。咄嗟に唇を離そうとするが、固定するように頭を掴まれた。ぐぐ、と入ってはいけないところを、肉棒が押し拓いていく。 「……ん゛ぐっ、っ────!!!」  見開いた瞳からぼろぼろと涙が溢れでる。抱えられた足ががくがくと痙攣する。ついに結腸を押し開かれた瞬間、彰吾は舌に串刺しされたまま絶頂した。 「っ、っっ──♡♡♡!!!」  そのままぐりぐりと練るように腰を回されて、絶頂から戻ってこれない。 「ん゛ん゛ん゛〜〜〜〜〜〜!!!」  酸欠で顔が真っ赤になる。押し潰された身体が不自由な範囲でびくびくと痙攣を続ける。彰吾の意識が落ちる直前で、唇が開放された。 「先輩、せーんぱい、おちないでください」  高瀬がぺちぺちと頬を叩く。 「おれのこと、見てください」  朦朧としながらも、うながされて目蓋を開いた。 「せんぱい。ね、わかってくれましたか? おれだけです。こんなにも先輩のこときもちよくしてあげられるのも、先輩のこと、こんなにも好きなのも。今更逃げたってもう元の場所には戻れない。行く宛てなんてない。でもここにいれば、おれが一生先輩の面倒をみてあげます。ここにさえいてくれれば、必要ものはなんだって与えるし、してほしいことはなんだっておれがしてあげます。先輩がすきだから。ずっとずっと大好きで……愛しているから」  高瀬の、温和を装うその瞳の奥に必死さがうすく透けてみえた。  彰吾には突然、目の前の男が出会ったときと同じ、物分かりのよさそうな顔をしておいて薄皮一枚剥がせば不器用な、かわいい後輩のすがたと重なった。 「……ガキが」  ぽつりと口を突く。 「そんなの、愛じゃない」  高瀬の瞳が揺れる。不意を突かれたような顔をして。しかしそれをはっきりと彰吾が理解する前に、高瀬は熱い息をつき、溢れる愛しさに表情をゆがめた。省吾の頬を撫でる。宝物を愛でるように、耳に触れ、髪をかきまわす。 「先輩、だいすきです」  くぽ、と抜かれ、 「あっ……」  待て、と彰吾が制止の声をあげる前に、一気に最奥を突かれた。 「あ゛あぁああぁッ!!! た、かせ゛っ♡ やめ、や゛っッ〜〜〜〜♡♡!!」 「あは。かわいい声になった。先輩、もっと感じて、もっとイッてください。先輩のなか空っぽにして、おれが与えるものだけにしてください」  それでいっぱいになって、と耳元で何度も何度も囁かれると、くらくらと目眩がした。鼓膜を通じて甘い声に脳まで犯される。 「……ひっ、や゛、めっ♡ あ゛っあぁああッ、ん゛んっ♡ あっ、あっあっあ゛ぁあ゛、……またイ゛く、イぐ、ッ〜〜〜〜〜♡♡♡!!!」 「は、……なかすご」 「あぁあっ!! いま゛突くの、やめ゛っ、で、ひぃいいい゛っ♡ おかしくっ♡ おかしくなるぅう゛……♡」 「せーんぱい。なんでこんなことになったか、忘れちゃいましたか?」 「はひっ、ぃ゛っ……♡!」  ずん、と前立腺から奥を擦り上げるように一気に突かれる。彰吾は潰れそうな声で鳴いた。 「ほら先輩。ごめんなさいは?」 「ぐっ、ぅぅううう゛……♡!!」 「せんぱい」 「はっ、はっ、あ、ごめん、なさ、ごめんなさいっゆるして、もうゆるしてぇ゛っ♡」 「そう。ちゃんと思い出しましたね」 「あ゛っ♡ あ♡ あ♡ あぁ゛あ゛あ゛ぁああ゛〜〜〜〜♡♡♡」  上からのしかかれて、滾る肉棒に奥まで潰されて、そのままごりごりと突かれ続けて、快感をのがすこともできず、ひぐひぐと惨めに啼くことしかできない。 「……ああ゛ぁああアッ!! ごめんな、さぃ゛い♡ きもちいい゛ぃ♡ きもちぃ、から、たすげでぇ、」 「せんぱい、だれに助けてほしいんですか?」 「あ゛、高瀬、たかせ、たかせっ♡ たかせしかいない、からア゛っ♡ たすげで、いくっ、いくいくまたいくっ♡ でかいの、くるぅ゛〜〜〜♡♡♡」  がくんと大きく跳ねる。それを上から抑え込まれて、覆いかぶさられてまた突かれる。涎を垂らす口に高瀬の唇が重なった。熱い口内をかき回されて、彰吾の瞳が溶けていく。快感で頭が一掃される。そこに注ぎ込まれる優しい声色に、大事なものを見失いそうになる。 「ッ〜〜〜〜〜♡♡♡!!!」  奥を穿つ肉棒が精を吐き出した。同時に彰吾も達するが、律動は終わらない。抗う度に理性をこそぎ落とすような快楽で罰せられ、少しずつ精神が摩耗していく。一瞬でも近づけたことが嘘のように、彰吾には壁の向こうの世界が遥か遠くにみえていた。


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