SamuKata
mitsumichi
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すいみんかんの成れの果て①

 最近、いやらしい夢をみる。  ひとにはいえないような夢を、毎晩のように。  内容は覚えていない。夢のなかでははっきりしているのに目覚めるとすぐに忘れてしまう。けれど甘い夢の余韻だけが、朝になっても、ぼんやりと頭に残っていた。 「……い」  今夜もまた夢の入り口で、 「……せい」  まどろみから引きあげるように、だれかの声が響いてくる。 「ゆうせい、なあ起きて」  はっと目を覚ます。   あかりのない真っ暗の部屋。瞬きの後、ぼんやりと自室の天井が浮かんでくる。 「はは、やっと起きた」  きしりと身を乗りだす。 「悠誠ってさ、ほんとに一回寝たらぜんぜん起きないんだな」  暗がりのなか、男の輪郭を捉える。 「……透矢?」 「おはよ、悠誠」  ……おはようって、 「まだ夜中だろ。どうした、また眠れないのか?」  言いながら起きあがろうとして、失敗した。   ──からだが動かない。 「ああ、そう、眠れない。だから今日はあさまで、悠誠のこと抱いていていい?」 「だ、……は?」  はくり、と開いた口を塞がれる。  やわらかい感触。長い睫毛の影。口先を突く感触に悠誠は目を見開いた。 「ッ……んん!?」  咄嗟に体を引こうとするも拘束に阻まれる。両腕は掲げて上部の柵に縛られて、両脚はひらいた状態でベッドの両端に足首を括りつけられていた。戸惑いに緩んだ唇の隙間から、ぬるりと入りこむ。 「ふ、……っ!」  意思を持った軟体が奥に引っ込んだ舌を絡め取る。唾液を塗りつけるようにねっとりと纏わりつき、口腔を這いまわり、ちゅうと舌先を吸いあげる。 「……んっ、む……ぅ゛……っ」  のぼせたように顔が熱くなる。性的な興奮を搔き立てる舌先の愛撫。年下の同居人の暴挙に、悠誠は必死に四肢を揺らしたが、のしかかる男の体重に相殺される。不意に胸元に置かれた指が滑り、きゅ、と小さな粒を摘んだ。 「っ──……!?」  服の上から、親指と人差し指で挟みこんだ突起を擦り合わせる。 「んっ……ッ、ぅ……っ」  ぞくぞくと背筋を震わす甘い痺れ。おもわず上半身がひけるような鋭敏な感覚。自らの体の反応に悠誠は困惑した。 「っ、っ……」  なんで、どうして、こんな、  戸惑うからだを導くように、透矢は膨らみはじめた突起をつまみあげて、先をくにゅりと押しつぶした。 「んぅ゛……!!」  下半身まで響くような性感。潰された芯から溢れだす疼きに、はっきりと快感を自覚させられた。圧迫から解放されても、じんじんと熱の残るそこを今度は慰めるようにやさしく擦られて、沸き起こる快感を更に鮮明なものにされる。 「んふ……っ、っ……」  知らないはずの快感が積み重なっていく恐ろしさに、必死に首を振ってようやく解放された。 「は……っ」  体を起こした透矢がおもむろに視線を下げる。つられて顎を引いてはじめて、下半身がなにも着ていないこと、そして自らの陰茎の反応を知った。 「あ、……っ、うそだ……っ」  屹立して、今の愛撫で汁まで垂らして感じ入っている。  誤魔化しようのないかたちが、透矢の目に晒されている。咄嗟に足を閉じようとしても拘束に阻まれて、じたばたともがくほど勃起が揺れて滑稽さが増すだけだった。感じたことのない羞恥に悠誠の頬が染まっていく。 「はっ、はやく外してくれ、これ……っなんでこんな、あッ」 「こんな? なに?」 「ッ、ッ……透矢っ、そこ、さわるのやめてくれ……!」  服をまくしあげて直接胸の突起を転がされる。上半身をよじっても透矢の指がしつこくついてくる。 「んぅ、っ」 「なんで?」 「なんでって、こんな、お、おかしいだろ……っ」 「おかしいのは悠誠だろ。なに乳首いじられたくらいでそんな焦ってんだよ」 「あ、焦ってるわけじゃ──あっ、ひぁ゛んっ♡」  乳頭をくしくしっと爪で掻かれた瞬間、自分のものとはおもえない声がでた。  透矢が手を止めて顔を上げる。二の腕に顔をうずめて、ふるふると羞恥に震える姿を見下ろして頬を緩めた。 「ごめんごめん、虐めすぎたな」 「なんで、おれ……っ」 「こんなところで感じるかって?」  透矢の指が胸元をつたい、 「おれが毎晩弄くったから」  わるびれもせず、 「胸だけじゃない。そこも、ここも、もう悠誠のからだでおれの触れてないところなんてないくらいに」  だからといって開き直ったようなふうもなく淡々と述べる。 「……まいばん?」 「そう。悠誠が眠ってからずっと」 「な、んで」 「悠誠のこと抱く準備に決まってんじゃん。せっかくならきもちよくなってほしいし」 「ごめん、とうや、言ってる意味が」 「わかんない? いいよじゃあ、いちから教えてやるから」  透矢の、ながい指が、足の間にすべりこむ。くぷりと括約筋が開かれる感触に肌が粟立つ。 「ひ……!」 「ほら、もう一本くらいすんなりだろ?」 「透矢! いい加減に……っ!!」 「はは、あんたのでかい声めずらしー。いくらでも叫んでくれていいからな。今日はおばさんもおじさんもいない。悠誠がなに言ったって、おれにしか届かないから」  そう言って笑う目の前の男が、自分のよく知る人間と結びつかなかった。  どうして。昨日まで普通だった。いつも通りすごしていたはずなのに、 「な、ぁっ」  第一関節で止まっていた指が根元まで入りこむ。 「っ……!」 「はじめての日も一本くらいなら簡単に飲みこんでくれたんだけどさ。なかはきつくてすぐに押しだそうとしてくるから、しばらくこうしてじっとして、すこしずーつ撫でるようにうごかして……」 「やっ……ぬけ、抜けって……!」 「ある程度ほぐれてきたら、浅いところから奥の方まで、悠誠の反応みながらいろんなところ触って、探ってるうちに……ほら、ここ」 「あ゛、ッ♡!?」 「わかる? 腹側の、ちょっと膨らんでるところ」 「へ、ぁ゛、あ……っ?」  突然、腹の奥から陰茎の先まで突き抜けた熱い感覚に目を瞬く。 「は、……ぇ゛……ッ、な、なに……」 「これが悠誠のいいところ。わかりやすいだろ?」 「や、な、なんか、おかし……んんっ♡」  熱くしびれた一点にすりすりと指を擦りつけられる。ぞくぞくと走る甘い刺激に勝手に腰が震える。自分の身になにが起こっているのか。理解の追いつかない悠誠に教えこむように透矢はそこばかりを狙って指を動かす。 「ひっ……ィ゛……っ♡」 「ここを見つけてからはここばっか弄くった。悠誠にはやくきもちいいの覚えてほしくて。でも最初のうちはあんまり強くすると苦しそうだったから、あくまでもやさしく、こうやってたっぷり潤滑油纏わせて、指の腹で塗りつけるようにして、ぬるぬる、くるくる〜って」 「あ、あっ、あ゛っ……♡」 「はは、顔まっかじゃん。今でこそもう感度あがりきってるから、こんなんでもつらいだろ。我慢せずにきもちよくなっていいからな」 「やっ、ゃっ、やめ、っ♡ そこ、っ、ぁ、あぅ゛っ、ッ〜〜〜……♡」  ぎゅうとこぶしを握り込む。そうしてもからだの中心から沸き起こる熱を抑えきれなかった。どくどくと波打つような疼きが強まっていく。刺激を受ける一点が急速に熱くなり、奥からなにかが突き上げてくる。 「透矢っ、まっ、待って、なんか、おっ、おかし、なんかくる……っ」 「ああ、もう限界? いいよ、一回このままいこっか」 「やっ、い、いやだ……っ、ゆび止めてくれっ、透矢……!」 「そんな怯えんなって、大丈夫。何回もしてきたことだから。怖くない、きもちいいだけ。ほら、おれのゆびに集中して」 「──ひ、」  くりゅ、と指先に肉を捏ねられた瞬間、堰き止めていた快楽がぶわりと溢れだした。 「あ゛あ……っ♡!!」  耐えがたい熱が全身を駆け巡る。ガクンッと跳ね上がった身体は拘束に阻まれてベッドの上に引き戻される。 「ひッ、ぃ゛、い゛……ッ♡」  脈打つペニスが吐精する。射精の快感はすぐに引いていくのに、腹の奥を震わす快感は何度も波のように押し寄せて絶頂と変わらない衝撃をもたらした。断続的なオーガズムの波に震える後孔に、もう一本指が捩じ込まれる。 「んぁ゛っ♡!?」 「慣れてきたら、少しずつゆび増やして」 「まっ、待って、いっ、いま゛っ、なか、おかしっ、──んん゛ッ♡」 「それにも慣れてきたら、今度は悠誠がどうやって触られるのがいちばん好きか、反応みながらいろいろ試したりして」 「や゛め……っ、あっ、あんっ♡♡」  トンッ、と揃えた指先でノックするように前立腺を叩かれる。唇を噛みしめて一度目の衝撃を耐えても、続けざまにトンットンットンッと叩かれると喉奥が震えて情けない声が漏れだす。 「うあ゛っ♡ あっあっあっあ゛っ♡ や゛めッ、て、それっ、あっ、あっ、うぅ゛、う……!」  拘束の中で限界まで身体をよじっても、指先からは逃げられない。呆気なく敏感な部分を捉えられて執拗に刺激を塗り重ねられる。 「な、んで……っ、あっ、あ……!!」  また熱い衝撃が駆け抜ける。腹の底から耐えがたい快感が溢れだす。 「んっ、ふ、っうう゛っ、ッッ♡」  またイッた、イかされた。信じられないほど呆気なく。透矢の指になかをまさぐられると、まるでそうあるのが当然かのように簡単に高まってしまう。 「はっ、と、とう、」 「ごしごし擦ってみたり」 「あ゛ぁあっ♡!?」 「ぐりぐり捏ねてみたり」 「ひッッぃ゛、ぃい゛ッ♡ いいっい゛ぅッぐ♡」 「ぎゅ~~って押し潰してみたり」 「ッ~~〜~~♡♡!!」   ビクンッと悠誠の身体が跳ね上がる。圧迫から逃れようと限界まで尻を浮かせたのに、追い打ちのようにぎゅうと更に強く圧しこまれて視界が白く弾けた。 「っ〜〜〜〜う゛っ、っうう゛う……っ♡」 「はは、そうそう。あんまりここばっか虐めてると寝てても今みたいに逃げようとするんだよ。でもせっかく気持ちいいのが高まってんのに逃がしちゃったらもったいないだろ。だからいつも俯せにした悠誠のからだに跨って、ぜったいにおれの指から逃げられないようにしてからたくさん虐めてやった。ゆうせいの痙攣が止まらなくなって、喘ぎ声が止まんなくなっても、ずーっとずーっと」 「ひぅ、う、うぅ゛……っ♡」 「それくらい感じてはくれるんだけど、なかなか尻だけじゃイッてくれなくってさ、それでも毎晩根気強く弄って敏感に育ててやって、あるときこんなふうに指で挟んでやってたら……」 「んぅ゛っ♡♡!!?」  二本の指の側面で、敏感な部分をぎゅうと潰される。どくんと脈打ち、快感が弾けた。 「両側から責められるんのがすきだったみたいで、はじめてイッてくれた」 「ッッ~~~……♡♡ ッッ…………♡♡!!」  ぎゅうぎゅうと両サイドから圧をかけられる。ビクビクと潰れた前立腺がのた打つのに、はさまれているせいで、逃げ場がない、逃げ場ない……っ! 「すごかったよ、あんときのあんた。全身ぶるぶるさせて、とろとろ〜って漏らすみたいに射精して、眠ってるのに泣きそうな声あげて感じまくって、ほんっとえろかった」 「と……っや……、も゛、そこ、はなし……っ、ふぎゅっ♡!?」  きゅっと更に圧を強められる。ビクンと顎先が反った。 「や゛めっ……いく……っ、またイく……っ!!」  喉元から足先まで、ピンと全身を突っ張らせて絶頂する。その一番敏感な瞬間につままれた性感帯を左右に揺さぶられて声高く鳴いた。 「あ゛あ゛あ゛ッッ♡♡」 「それからは毎晩尻でイかせた。この感覚を忘れられなくなるように、一晩のうちに何度も何度も」 「やぁあ゛っ、ゆらさな゛……っ、ぁ゛、だめ……っ、ぁ゛、……っ、っ~~~~~♡♡♡」  目の前にぱちぱちと閃光が散る。無意識に足が閉じようとするも拘束に阻まれて、無様に開かれた内腿がビクビクと痙攣する。 「あ゛あっ、あ゛あっ、もうやだぁっ♡♡」 「射精しすぎて出せなくなっても、ゆうせいが暴れても押さえつけて指で捏ねくって何回もイかせて」 「うぅううう゛っ♡♡ あついっ、あつい゛っ♡ あぁ゛っ、あ゛っ♡ もうくるしいっ、くるしいから、ゆびとめてっ、イっ、イ゛きたくないっ、おねが……っ、あ、あ、ああああ゛っ───♡♡」  ぎゅうと敏感な部分を縊りだされてイく。そのまま指で固定された場所をぐりぐりと捏ねられて絶頂から降りてこられなくなった。 「んんん゛─────っ♡♡」  くるしい。  うまく息ができない。熱がのがせない。こんなの知らない。息もできないほどの快楽なんてつらいだけなのに、無理やり叩きこまれる絶頂なんて苦しいだけのはずなのに、肉壁は教えこまれたその先の快楽を求めるように透矢の指に吸いついて離れない。理性が打ち鳴らす拒絶を裏切って、脳は快感を恍惚と捉えて抗う意志を蕩けさせていく。 「ん゛……ぅ゛……っ♡」  それでも、と目をひらいた瞬間、また後孔を犯す指を増やされた。窮屈ななかをみちりと埋める三本指が腸壁を遠慮なしに擦りあげる。 「んん゛んんん゛っ♡♡」 「ほんとは、悠誠も薄々おかしいって気づいてたろ?」 「ふくっ、っ、ぅ゛ううッッ♡♡」  透矢は腕ごと動かしてぐずぐずになった肉壺をぐちゅぐちゅと激しく揺さぶる。さっき散々いじめられたしこりだけじゃない。擦りあげられる腸壁全体がきもちよかった。ひくんひくんと下腹が震える。じぶんよりも自分の体を知る指に簡単に極めさせられてしまう。 「朝起きてもまだからだが火照ってたり」 「ぅあ゛っ、あっ、あっ、あっ、あっ♡」 「ずっと自分で抜いてないのに、その気になんなくって」 「やぁ゛、う、またいくっ、くる゛っ、いくっくっ、イ゛くぅうう゛ん……っ♡♡」 「おれが見てないところでこっそり扱いたって、もううまくイけなかったんじゃねえの?」 「やぁ゛っあっ、あっ♡ ちがうっ、ちが、ぁ゛うっ、そんな……っ」  かぶりを振る。涙を散らす。けれど一度ほころんだ糸口から溢れでる記憶を止められなかった。  ……よく寝たはずなのに。  なぜか、ぼんやりとする朝。熱もないのにぞわぞわとして、からだが熱くて、疼くような日。そんな日は、授業中だったり、ひととしゃべってるときだったり、ぜんぜん意図しないタイミングで、突然腹の奥が絞られるように熱くなって、そこから沸きだす快感に震えそうになるからだを必死に押し留めて耐えた。その波がくると、疼きが強くなってしかたなくなるのに、自分でしてもうまく熱を晴らせなくて、もどかしさばかりが募って、どうすればいいのかも、どうしてこんなことになるのかもわからないまま夜を迎えると、必ずといっていいほどいやらしい夢を見た。  夢じゃない。  あれはぜんぶこの身に受けた現実だった。 「あ゛あぁあ゛あっ♡ いっ、いくっ♡ またイくっ♡ い゛くいくいくッッ、イ゛っ……!!」  拘束の中で限界まで反った背が、宙で浮いたまま小刻みに痙攣する。最後にごりっと前立線を引っ掛けながら指を抜かれる。脱力した背は糸が切られたように落ちたが、勢いよく引き抜かれる刺激にまたイかされて意識が飛びかけた。 「はひゅっ、っ、……っ♡」  ひくひくと痙攣の止まない腹の上へ、大小の無機質がぶちまけられる。 「なあ、みて、悠誠」  ……まるい、ぴんく色の、ローター。  はだいろの、男根を、模したような玩具、ほそみのバイブ、でこぼこした、かたちの張り型、 「これぜーんぶ悠誠のなかに入ったことあるやつな」  透矢が歪な形をした玩具を手にする。 「これとかよく使ったな。エネマグラって知ってる? これ勝手になかで動くんだよ。悠誠の腹のうごきに合わせてぎゅっぎゅって、この丸い先端部分が前立線を圧迫すんの。機械仕掛けでもないのに挿れてるだけで悠誠のことイかせてくれて、一回イくと腸壁が収縮して余計に動きが激しくなるから、簡単にイキっぱになんの。そのまま放置してると転がって落ちそうになったから、後ろから抱きしめて逃げらんないようにして、乳首弄りながらずーっとメスイキさせたりしたなあ」  首を傾げて、 「どれがいい?」  透矢が尋ねる。 「さすがに一気にぜんぶは使えないから、一個選ばせてやるよ」 「……や、」 「なあどれがいい?」 「いやだ……っ」  悠誠が涙ぐんで首を振る。 「これほどいて、透矢……っ」 「はやく選べよ。十秒以内な」 「やだ……っ、やだぁ、もうやだ、こわい、怖いって、とうやぁ……っ」 「じゅーう、きゅーう」 「やだ……、や、ぁ゛……っ」  もういやだ。ぜんぶいやだ、なんで、なんで、きのうまで普通だったのに。ふつうに話して、笑ってくれてたのに、なんで、 「……ぜろ。はい時間切れ。じゃあおれが選ぶな」  透矢が玩具を手に取る。紫色の胴体が途中でぐりんと半円を描く勢いで折れ曲がっている。上向く先端はうっすらと中心が盛り上がっているがほぼ平らで、カチリと電源が入ると、平らな面の奥から突き上げるような振動が繰り出された。 「ひ……っ」 「なあわかる? このヘッドの部分が振動して高速で前立腺タップしてくれんの。悠誠の一番のお気に入りのバイブ。寝ててもすげー声だすからさ、あんまり使えなかったんだよな」 「あっ、まっ、まって、こっち、こっちがいい……!」  胸元に転がるローターを顎で指すも、 「もう遅いって」  嘲笑に一蹴されて、閉じかけた窄まりに玩具を強引に埋め込まれる。 「あ゛ぐ」  ぐぽりと音を立て、寸胴な玩具はすぐに根本まで埋まる。反り返った先端部が前立線を腹側に押しこむ。深くめりこむような圧迫に、悠誠の勃起がびくんと跳ねて白濁を零した。 「あははっ、うごかしてないのにイくなよ。ほんっとかわいいなあ、あんた」 「……っっ、ッ、ッ゛、……」  無邪気に笑う透矢を見つめる。 「と、とうや……っ、お゛ねが、……」 「ん? なに? はやくうごかしてほしい?」  弱々しく首を振る。 「い、いま……っ、はなして、くれたら、おれ、ぜんぶ忘れる……ぜんぶ、なかったことにするから……っ」  だから、と懇願する。透矢の笑みが一瞬ほどけて、けれどすぐにまた口元に笑みが象られた。 「おれは、なかったことにしたくなかったからあんたのこと起こしたんだよ」  カチリと小さな音が鳴る。その瞬間、後孔を犯す玩具から強烈な振動が繰り出された。 「──────っっ!!!」  ばくんと悠誠の四肢が跳ねあがる。  目の前が真っ白に染まり、思考が吹き飛ぶ。空っぽになった頭のなかに鮮烈な快楽がなだれこんでくる。 「あ゛─────!!」  前立腺に叩き込まれる重振動に一瞬で高みへと昇りつめさせられる。全身を突っ張らせて達するも、止まらない刺激に続けざまに深い絶頂へと突き落とされた。 「あ゛ーーー!! あ゛ーーー!! これとって!! と゛っでぇ゛!!!」 「はは、すげー反応。やっぱ起きてるとちがうな」 「とめ゛でっ!! とめでとめでとめでおねがいだから゛っ、あっ、またくる゛!! イ゛っぐ……、ッッ!!!」  ビグンッと全身が引き攣る。 「…………ッッひ、………ぐ、っ……ッ゛……♡♡♡」  ぎゅうう、と足先を丸く縮める。頭が真っ白になるほどの絶頂の最中も玩具は機械の容赦のなさで敏感な場所を叩き続ける。 「あ゛、……っ、い゛ぅ、っ♡ イくッ♡ いくっ♡ またイ゛く、ぅ゛……っ♡♡」  狂おしいほどの快楽にのた打ちまわりたいのに、四肢をがんじがらめに磔にする拘束がそれを許さず、不自由な体が何度もベッドの上でバウンドする。 「っひ、ぃ゛、ああぁ゛あ……っ!! も゛……っ、むり゛っ♡♡ ほんとにっ、む゛りっ、あっ、あ゛ああああ゛……っ♡♡!!」  ガクンと腰が浮く。意思とは無関係に玩具をきつく締めつけてしまい、輪郭がぶれるほどに強烈な振動が前立腺に食い込んで絶叫する。 「あ゛────♡♡!!!」  カクカクと腰が振れる。恥も外聞もなく泣き喚く。 「やだぁあああぁ゛あ!! もうやだっ♡ なかやだぁ゛っ♡♡ もう゛はなしてっ、そこいや゛っ、やぁ゛っ、おねがいっ、おねがい……っ、ッ──あ゛ぁああァあ゛……ッ♡!!」  ゆびさきで、やさしく撫でられるだけで、甘い悲鳴があふれるほどに、透矢の指で敏感に育てあげられた快楽の芽を突き上げるような振動で執拗に叩き潰される。 「ふぐぅっううぅううっ♡♡♡」  どんなに腰を捩っても逃げられない。ぐっぽりとはまりこんだ玩具は弱点から離してくれない。性感が頂点に引き上げられたまま降りてこず、全身が引きつったままガクッガクンッと不自然な痙攣を繰り返す。 「ん゛ぃっっ♡♡ いぐっ、いぐぅ゛うっ♡♡」  足を閉じたい、からだを丸めて庇いたい。なにもできない。うごけないからだで暴力的な快感を受け止めさせられて、イくことしかできない。 「──い゛っ、……く、ぁ゛……っっ♡♡」  首筋を反らせて達する。顎先をぴくぴくと震わす悠誠に、透矢が身を乗り出して尋ねる。 「止めてほしい?」  優しい声に問われる。 「もう抜いてほしい? もうイきたくない?」 「ぅ゛んッ♡♡ ん゛ん゛んっ♡♡」  必死に首を縦に振る。 「抜いたら入れるけど、それでもいい?」  ひくりと喉が震える。 「おれのちんこ入れて、悠誠のこと抱くけど」  玩具と肉縁の境界をなぞられて、 「それ了承したってことにしていい?」  なにも言えなくなった。  揺れ惑う瞳。沈黙の返答に透矢が笑みを深める。 「じゃーこのままな」  底に触れた指がカチカチと玩具の出力を上げる。その瞬間、振動が倍になって腹の中を波打たせた。 「あ゛──────!!!」  ドドドドッと打撃音に近い振動が敏感な場所を叩き潰す。陰茎の裏を掘り起こすような刺激に射精反応が引き起こされるがもはやだすものはなく、後孔の快感にのた打つように勃起が腹の上で無様に踊る。 「う゛ぁあああ゛あ゛ッッ♡♡ いぐっ、いぐッッ! いぐいぐいぐぅ゛♡♡」  全身を突き抜ける強烈な絶頂感。しかし止まらない重振動にもう一段階深いところへと突き落とされる。 「………ッ、~~~~~~~~っっ!!!」  頭の奥がバチバチと弾ける。凄まじい快感の反動に頭がくらくらとするのに、混濁する意識を叩き起こすような刺激に現実に引き戻される。 「ぅ゛やっ♡ やぁ、あ、あ゛、も゛うやだぁあ゛っ♡♡ たすけでっ♡ お゛かしぐなる゛っ、ッ──────♡♡!!」  もはや性器に成り下がった肉が機械の振動に蹂躙される。一度ぎゅうと押しこまれるだけでもつらい場所を、何度も力強い振動に叩き潰される。執拗な玩具の打撃に肉縁が限界まで窄まる。 「ひっ、ぃ゛いッ~~~~~♡♡♡」  腰元がぐんと跳ねあがる。四肢の拘束のせいで、中途半端な位置で突っ張ったまま止まった身体は、絶頂の度にまるで鞭打たれたかのようにビクッビグンッと激しく戦慄いた。 「あ゛ッ、あ、はっ、ッ、ッ────……!!!」  声にならない絶叫を象って、大きく開いた口端から唾液が垂れる。その口の中に透矢の指が入りこむ。 「んびゅっ」  透矢の二本指が咥内を蹂躙する。摘まんだ舌をくにゅくにゅと揉みしだかれ、敏感な顎裏をゆびですりすり擦られ……ぞくぞくと背筋を震わす快感に悠誠は喉奥で唸るように鳴いた。 「ん゛ッッん、んぶっ、ぅ゛♡ んぅ゛うう゛ううっ……♡♡」 「はは、舌まで震えてんのおもしれー」 「ン゛ンンッ♡ ン゛ンンッ♡♡」  必死に首を振って振りきろうとすると咎めるように喉奥を潰された。 「んぎゅっ、ひぅ゛っ、ひぐぅ゙っっ」  上下の穴を犯される。甘く嬲るような指先と暴力的な機械の責めが一気に襲ってきて頭の中がぐちゃぐちゃに掻き回される。 「ん゛んんんんん゛ん゛……ッ!!! んぐっ、ぅ゛、ッ、ッ────……!!」  快楽を極めた絶頂に全身が痙攣する。ゆっくりと咥内から指が引き抜かれる。愉しそうに自分を見下ろす男を涙で揺れる視界で捉えた。 「ぬ゛……ぃ、で……ぇっ♡♡ も、これ゛っ、とめて、透矢……っ」 「だから抜いたら入れるけど、いいの?」 「ひっ、ぐ……」  悠誠の顔がくしゃりと歪む。曖昧に首を振る。だめだ。だめだ、それだけは。頑な拒絶にしかし透矢は気分を損ねた様子もなく、むしろ頬を緩めてみせた。 「……ああ、そういえばこれ使ってほしかったんだっけ?」  ぷらんと吊りあげられたコード先の楕円型。ヴーーと細かい振動を奏でる玩具に身が竦む。 「ち、ちが……っ、やだ、い、いらないっ……ッ、あ゛ぁああああ゛ッッ!!!」  陰茎の裏側。敏感な裏筋に添うように当てられる。 「ひぃ゛っ、いッ、ぃ……!!」 「ゆーせい、ここも弱いよな。いっつも指でごしごししてやるとすぐイくもんな」 「ぅ゛っっ、っっ……♡♡」  ビグンッと陰茎が震えて達するが、吐きだす精はなく、尿道を突き抜けるような熱が迸るだけだった。空イキの苦悶に震えるペニスに振動が宛てがわれつづける。必死に腰を振って透矢の手を遠ざけようとするもローターごと竿を握りこまれてしまう。 「──ひ、ぎッ、♡」  目を見開く。陰茎全体を震わす振動に耐えられず足掻くほどにぎゅうぎゅうと握りこまれてしまう。 「やぁあああああ゙っ♡♡ あああ゛っ♡♡ はなしてっ、は゛なしてぇ゛っ♡♡♡」 「はは、きついからってそんな暴れんなって」 「うあ゙ぁああっ♡♡ あ゛あ゛っ♡♡ むりっむり゛ッ♡♡ またいぐっ、いくっ、いぐっ、イくイくいくぅ゛っっ♡♡」  陰茎の刺激で達する。その瞬間、敏感になった前立腺を叩かれてまたイった。別々の快感が直結して何度も下半身で熱が弾けて途切れない。 「あ゛っ……っ、っ、っ~~~~~♡♡」  外側から内側から性感帯を責められる。どんなに腰を振っても逃げられない刺激になす術なくまたイかされる。 「ぅん゛っ、ン゛ッ♡ ぃ……っく♡ あ゛っ、イって、……っ、っ♡」  脳を焦がすような鮮烈な快感。視界を白く染める恍惚に、限界を迎えた意識が霞んでいく。 「──……っ、っ、ふ……♡ …………っ、ぅ゛、あ゛んっ♡♡!!?」 「もう眠たい? でもまだだーめ。今日は寝ずにおれに付き合ってよ」 「やぁ゛っ、やぁ゛ああっ、もうやだっ、ああっ!!」 「落ちてもすぐに叩き起こすからな。ちゃーんと覚醒してる脳にも快楽擦りこませような」 「っっ、っ、っ……!!! ア゛、……ァ゛……ッ!!!」  肉竿をローターごと握りこんだまま、ぐりぐりと先っぽを親指で捏ねられる。目の前が真っ赤に染まる。脳が危険信号を掻き鳴らす。だめだ、もうだめ、ほんとにだめ、イく、イく、イッてる、くるしい、ひぬっ……♡ 「イ゛───っっく、ッッ……♡♡♡!!!」  ビクンッと吊られるように腰が浮く。尻穴の玩具を食い締めて深いオーガズムに落ちる。悠誠は熱に霞む視界で自分を嬲る男を捉えた。 「たっ、たひゅっ、」  枯れた喉を震わせる。 「ん? なに?」 「たすけ゛、っで、っ♡ とうや゛、っ、もぉ、おっ、おかし、ッ♡ お゛かしくなる……っ」 「ふは、助けてほしい? おれに? いいけど、意味わかってる?」  透矢が太腿に擦りつける。固い熱に身が竦む。 「あ、ぅ゛」  けれど、もう、限界だった。 「た……すけてっ……ぇ゛♡ 助けてっ、とうやぁ゛……っ」  目の前のただひとり。唯一に縋りつく。透矢が玩具を掴んで一気に抜く。同時に視界が落ちて意識が途切れた。  重い目蓋をひらく。  体液に濡れて、よれたシーツ。熱の抜けないからだ。意識が飛んでいたのはほんの数分のことだった。目の前に跡のついた手が転がる。最後に残った右足の拘束を足元で透矢がほどいていた。  ……ずり、と這いずる。  使いものにならない足腰の代わりに手でシーツを手繰り寄せながら、ベッドの端まで這いずる。足首を掴まれて呆気なく元の位置へと戻される。 「なに逃げようとしてんだよ」  透矢が覆いかぶさる。ひらいた足の間。宛がわれる熱に喉が細く鳴る。 「……と、うや………ま……、──ッ!」 「はー。あったか」  固い肉棒に貫かれる。奥までみちりと満たす熱。脈打つ雄に蕩けた肉壁が絡みつく。 「こんなにきもちいいんだな、悠誠のなか、もっとはやく入っときゃよかった」 「……ぁ、う゛……」 「な、悠誠もきもちいい?」  軽く揺さぶるだけで蜜を垂らす陰茎。素直な反応に透矢は目を細めた。 「こんなんじゃ、もう、女なんて抱けないよな」  悠誠の顎を掴んで問いかける。 「なあ悠誠、無理だよな?」 「っ……な、……で、」 「……悠誠?」 「なんで、こんなこと、するんだよ」  息が詰まる。 「な、なかよ、」  声が震える。 「なかよく、なれたと、おもったのに」  目の奥が熱くなり、 「か、家族に、なれたとおもったのに……っ」  涙で歪む視界でそれでも懸命に目の前の男を見つめた。 「……そんなのなりたいなんて思ったことない」  視線を背けた透矢が悠誠の足を押し上げて深く腰を押し進める。 「あっ、やめ……ッ!」  ぐぷりと奥を割りひらかれる衝撃に宙に浮いた脚がビクンと震える。苦しげに表情を歪めながらも肉ひだは甘く収縮し雄を受け入れていた。 「ひぐ、……っ♡ っ、も゛、だめ……っ♡」 「だめ? こんなんで感じてるくせによく言うよ」 「ああ……っ!」  ずるりとペニスを抜かれ、勢いよく打ち付けられる。激しい抽挿に揺さぶられ、快感にわななく身体を押さえつけて何度も奥を穿たれる。ばち、ばち、と頭の奥が痺れる。瞳の焦点が定まらず、半開きの口から涎が滴る。 「余計なことは考えなくていいから」  震える指先。上向いた手のひらに透矢の指が絡む。 「ほら、ここ、すきだろ?」 「あぅ゛……っも、くるひ……っ♡ あ゛、あっ、あ、きづいぃ゛……」 「抗おうとするから苦しいんだろ。無駄な力抜いて、きもちいいところにだけ集中してたらいいから……なあ」 「は、ひゅ……っ♡」  押し寄せる快楽の波に思考が混濁していく。揺さぶられる振動に身をまかせると頭の奥がじんと痺れた。 「………っ、……っ」  揺れるひとみを覗きこむ。  透矢のまっすぐな視線。じっとこちらを見つめて、その奥の真意まで見透かそうとする瞳に既視感を覚えた。 「ゆーせい」  三年前。  この家に来た彼は、その年頃には見合わないほど落ちついていて、新しい環境にもすぐに馴染んでみせた。当初こそ遠慮がちな様子もあったが、それもだんだん削がれていって、この家で気兼ねなく過ごしてくれているようにみえて、その実、本音には触れられないよう一線を画しているようだった。けれど些細なきっかけから、その一線に踏み入ることを許されて、それからは。彼のことばや態度から、だんだんと上辺だけの色が抜けていって、安心したような笑みをおれに向けてくれるようになった。  気を許してくれたとのだとおもった。おれの前ではとりつくろわず、本音を話してくれているのだとおもった。ありのままでいてくれているのだと、心を打ち明けてくれたのだとおもっていた。  とんでもない勘違いだった。 「ゆーせい、なあ、前みたいに、朝までおれと過ごしてくれるよな」  なんにもわかってなかったじゃないか。  透矢の考えていることも、もとめているものもなにも、今日の今日まで気づきもせず、のうのうと過ごし、寄り添っているつもりでいた自分がなによりも馬鹿らしかった。


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