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ハロウィンストリートの悪夢#1(F/F)

1. ゴースト (F/F) 死の黒いカボチャが置かれたとき、そいつは笑わせにやってくる。 ◯ 熱いシャワーがつるつると"メレディス"の引き締まった肉体を滑り落ちていく。 くびれた腰。引き締まった腹筋は鋼のように硬い。 大きな胸は昔から邪魔だった。 胸と胸の間には、戦地で刻まれた傷が残っている。 メレディスはシャワーを止め、バスルームを出た。 ブロンドの長い髪を乾かし、もう一度、後ろで括る。 後は寝るだけだが、こうしないと落ち着かない。 いつ、誰が襲って来るか分からないのだから。 メレディスはスポーツ用のタンクトップ一枚を着て、ソファに腰掛けた。 長い脚を組み、煙草を一本抜き取る。 この時間にしては、外はいつもより騒がしい。 それは当然で、どうも今夜はハロウィンらしい。 ハロウィンといえば子供らが死者の仮装をして家を訪ねて回るのがお約束であるが、メレディスの家には誰も来ない。 ここに来ても、何も貰えないことはもう町中に知れ渡っているのだ。 メレディスは子供が嫌いだ。ぎゃあぎゃあうるさいし、とにかく目障りで耳障りだから。 無邪気な顔をして、邪悪なことをする。 だから嫌いだ。 メレディスは煙草に火をつけ、上手い煙を肺にいっぱい流し込む。 雑誌に埋もれていたリモコンを救出し、テレビをつける。 インターフォンが鳴った。 メレディスは煙草を咥えたまま、玄関ドアの方へ視線を向けた。 メレディスの元を訪れる来客などいない。しかもこんな時間に。 まさかハロウィンで子供が来たのか。 今更誰が来るというのか。 いや、新しく引っ越してきた者がいたらメレディスのことは知らないだろうからそれならばここに来る可能性はある。 だが──ドアを開ける気はない。 メレディスはふうと煙を吐いてテレビに視線を戻す。 また、インターフォンが鳴った。 混沌は、やかましいノック付きだ。 ちっ。 メレディスは舌打ちをした。 メレディスは気が長くない。相手が誰であろうと、それは変わらない。 またインターフォンが鳴る。 しつこいやつだ。いい加減にしろ。 メレディスは煙草を灰皿に押し潰し、立ち上がった。 ふざけたガキに制裁を加えてやる。 メレディスはドアを勢い良く開けた。 戦場で染み付いた獣のような目つきでドアの向こうにいる子供を睨みつけた──つもりだった。 「はぁ?」 玄関先にいた人物を見たメレディスは思わず眉を歪めた。 ふざけた格好をしたヤツがそこにいた。 真っ黒いローブで身を包み、顔を"泣き叫ぶ髑髏を模したマスク"で覆っている。 そのマスクは何故か妙に、懐かしい気がした。 素顔は見えないが、見たところ──女だ。身長は、高い。長身のメレディスよりも。 女はマスク越しに、じっとメレディスを見つめている。 まさかこんなにしつこいやつが大人の女だとは思っていなかった。 くだらない。 メレディスがドアを閉めようとすると、ドアは閉まる寸前のところでがんっと何かに引っ掛かった。 女が、つま先を出してドアに挟んだのだ。 メレディスは舌打ちをした。 これでも、近所の人間とは愛想良くやっているつもりなのだが。 「悪いけど…遊びに付き合ってる暇はない」 メレディスが再びドアを閉めようとするが、女はつま先を退けようとしない。 ──トリックオアトリート。 「はぁ?」 メレディスは今、確かに女の声を聞いた。 幽かに。 その声はマスクの向こうから聞こえた。 マスクの向こうから、見えない瞳がじっとメレディスを捉えている。 いくら睨んでも、女の瞳が見えないのが不気味だった。 ──トリックオアトリート。 泣き叫ぶ髑髏はまた幽かな声でそう言った。 「パンチが欲しかったらくれてあげるけど?」 メレディスは脅しとして、拳をぎゅっと握り締める。 これまで何人も屠ってきた拳だ。 ──トリックオアトリート。 女はまた言って、今度は一歩、近づいてきた。 「いい加減にっ──!」 メレディスは咄嗟に、拳を突き出した。 「はっ!?」 ぱんっと乾いた音がした。 メレディスの自慢の一撃は、女の手にボールのように受け止められてしまった。 「なっ…!?」 大きな手が拳を受け止め、異様に細くて長い指が拳を包み込んでいる。 拳を引き抜こうとしても、引き抜けない。見た目に反して、女は凄まじい力である。 「お前っ──」 メレディスは左の拳を突き出した。だが、やはりそれも女の手によって捕まえられる。 これでメレディスは両手が塞がってしまった。 しかしそれは相手も同じ──。 「いいか?プロは…脚でも──」 メレディスが脚で女を蹴り上げようとした時、女の纏う漆黒のローブの下から、あるはずのない二本の腕がにょきりっと伸びてきた。 「なっ──」 メレディスは我が目を信じられず、自分の拳が確かに女の手によって捕まえられていることを再度確認した。 新たに生えてきた手に生え揃う長い指がうにょうにょうにょうにょと蠢いている。 ──トリックオアトリート。お姉さん…こちょこちょされるのは苦手? 「はっ!?何言って…」 こちょこちょっ!! 「うわっ!!?」 突然、細くて長い指がメレディスの腹部をこしょぐり、メレディスは力が抜けて尻餅をついた。 「お前っ…!!」 メレディスは咄嗟に起き上がり、腹を抑えた。 あの一瞬、腹部に走った女の爪の感触と刺激が──気持ち悪い余韻を残している。 泣き叫ぶ髑髏の女が、玄関に踏み入り、そしてドアを閉めた。 「もうイタズラじゃ済まないぞ…」 メレディスは近くに置いてあるナイフを手に取る。 「強盗?だとしたら…入る家を間違えたね」 メレディスはふぅと息を吐き、全身の筋肉をリラックスさせる。 そして。 一気に女に切り掛かった。 銀色の刃は空を切った。 漆黒のローブが、気体のようにゆらゆらと揺れ、メレディスの背後に回る。 速い──。 メレディスがもう一度、ナイフを握りしめて女の喉を掻っ切ろうとした時。 ──こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ…。 か細い声で女が囁いた。 その声が、メレディスの耳に入り込み、脳をくすぐり、全身の神経を撫で回す。 「なっ!?なんっっ…!?くくくっ!!?くふふははははははは!?なんだっ!?」 何故か身体中がこそばゆくて、ナイフを握る手が震える。 ──こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ…。 髑髏の女はこちょこちょと歌いながら、メレディスに手を伸ばす。 「や、やめろっ…!!くくっ!?くくくくくくくくくくくく!?なんだっ!?どういう仕掛けっっでっっ!!?」 ナイフを振ろうにも、力が入らない。 手首を、女の長い指に掴まれる。 ──トリックオアトリート。お姉さん…こちょこちょは苦手? 闇のような色のローブから、ずいっとまた第二の腕が生えてくる。 ワキワキと、細くて長い奇妙な指が空中をくすぐるように蠢いている。 「ふ、ふざけてるのか…!」 メレディスは指から目を逸らす。 指の動きを見ていると、鳥肌が立つ。 "あれ"は嫌いだ。 ──お姉さん。 「黙れっ!」 メレディスが掴まれている手首を引き、逆に女を引き寄せる。 ぐらついた女の顔に拳を繰り出した。 だが。 メレディスの拳はまたしても空を殴った。 ──トリックオアトリート。お姉さん── 女のか細い声が背後で響く。 ──こちょこちょは苦手? こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょっ!!! 「わっ!!?ぎぃぁっっははははははははははは!?あははははははははははははははははははははははっ!!?」 背中に、丸く尖ったツルツルの爪がこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと這い回る感触が走り、メレディスはすっ転んでナイフが飛んだ。 「くそっ…!?」 咄嗟にナイフに手を伸ばすメレディス。 しかし、髑髏の女の手がにゅるりと伸び、メレディスは両手首を掴まれ、そのままぐいんっとバンザイさせられてしまった。 びーんっと脇の下が伸びる。 「うわっ!?」 腕を下ろそうにも、女の力は強く、敵わない。 開きっぱなしの腋の下に、髑髏の女の余っている二本の腕が伸びてくる。 こちょり。こちょり。こちょり。 宙をこちょばしながら、細くて長いこそばゆそうな指が迫ってくる。 「殺すつもりなら…やればいい…兵士は死を恐れない…」 ──おねーさん…。こちょこちょ地獄は好き? 髑髏のマスクの向こうから、腐臭のような匂いが漂う。 「ば、馬鹿を言うな…そんなのものっ…」 こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょっ!!! 細くて長い指が、開きっぱなしの腋の下を掻きむしる。 「ぎゃーっっっははははははははははははははははははははは!!?って…あれっ!?」 いま、確かにメレディスは腋の下に猛烈なこそばゆさを感じた。 はずだったのに──。 実際には、女の爪は触れるか触れないかのところでこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと蠢いているだけだった。 「よくもっ──」 こんなものは兵士への侮辱だ。 メレディスが脚を使って女を蹴り付けようとすると。 腋の下に、ガッと爪が突き立てられた。 つるつるとした艶々の水晶のような爪である。 「はぅっ!!?」 体中の力がふにゃりと抜ける。 ──トリックオアトリート。お姉さん…こちょこちょは──好き? 「や、やめっっ…」 こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょっ!!! 「うわっっっははははははははははははははは!?馬鹿っ!?やめろっっ!!やめっっ!!?やめぇぇぇぇっっ!!!っっへへへへへへへ!!?」 ツルツルのこちょばゆい爪が、メレディスの剥き出しの腋の下の筋肉を滑らかにくすぐり回す。 記憶の奥底に眠っていた忌避すべき刺激がメレディスの顔を強制的に笑顔に変形させる。 ──お姉さん。お姉さん。こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ。 「だっっっはははははははははははははははははははははははははは!?やめっ!!?さわるっっなっっ!!?さわるなぁぁぁぁぁぁはははははははははははは!?」 腋の肉を掻きむしる爪の感触が気持ち悪くて仕方がなくて、腕を下ろそうとしても、力が入らない。 メレディスはただ、開かれたままの腋の下を無防備にくすぐられて笑い悶えるしかない。 ──こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉー。 女は子供のような声でこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと歌いながら、リズミカルに爪の先で腋の筋肉をこちょばしていく。 「くふふふはははははははははははははははははははははは!?こっっこんなっっ侮辱っっ!!!ゆ、ゆるされるとっっっ!!っっはははははははははははははは!!?」 常日頃から鍛え抜いているメレディスは、腋の下の筋肉もしっかりと引き締まっている。 それが、今は裏目に出ていた。 筋肉質なせいで、敏感になってしまっているのだから。 ──お姉さん。お姉さん。笑って。笑って。 女の細長い指が、虫が這うように腋の下の深いミゾにもぞもぞと潜り込んだ。 「はっっ!!?ちょっ!!?」 他人に触れられてはならない箇所の一つである腋の下のミゾを十の爪の先が、コショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショーっと爪の先で掘るようにくすぐった。 「ふひゃっ!!?ひゃぁあはははははははははははははははははははは!!?やめろっ!?やめっっ!!?そこはぁぁぁぁぁああははははははははははは!?」 腋の下の奥底にあるミゾにはくすぐったい神経がみっちりと詰まっている。 そこを、くすぐったい爪の先でコショコショとこしょぐられては堪らない。 メレディスは身体をびくんびくんと震わせ、そのまま倒れ込んだ。 すかさず、女が腰のあたりにのしかかる。 「ぐわっ!?」 見た目からは想像もつかない重さが、メレディスの腰にかかる。 「くそっ!?そこをどけっ──」 メレディスが力いっぱい上体を起こそうとすると、女は二本の腕でメレディスの手首を掴んで押さえつけた。 ──トリックオアトリート。いたずらするよ。 女は無邪気に言って、ローブから生やした細い腕の先についた大きな手を腋の下に滑り込ませた。 「ぎゃっっ!!?も、もうやめっっ──」 細長い指がワシッと折り曲げられ、爪の先が腋の下の肉に突き立てられる。 「かっっ!!?」 マスクの向こうからくひっという金属音のような笑い声が漏れたかと思うと、次の瞬間、女の細長い指が、これでもかというほどにこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!っと腋の下をくすぐり嬲り回した。 「にゃははははははははははははははは!?ちょっ!?まてっ!!わかっだがらっっ!!わかっっ!!っっはははははははははははははははははははははははははは!!?」 それはまるで精密なこちょこちょマシンの如く滑らかで的確にツボを突いたくすぐりだった。 十本の指はそれぞれバラバラと予測不能の動きをし、爪の先でしっかりと腋の下の敏感な神経を集中的に掻きむしる。 こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!! 「ひゃーっっひゃははははははははははははははははははは!!?わがっだ!!降参でっっ!!降参でいいっっ!!いいからぁぁぁぁぁっ!!!っっはははははははははははははは!?」 女の目的は分からないが、くすぐりしか行ってこない以上はやはりイタズラなのだろうとメレディスは思った。 だったらこれ以上、無駄にくすぐられる必要はない。 だが、メレディスが何を言っても髑髏の女はその悪魔のような指を止めない。 それどころか、さっきのあの腋の下のミゾに密集している神経に再び爪を集めてモジョモジョモジョモジョ!!こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!!っとくすぐった。 「くひゃっっ!!?なっ!?っっははははははははははははははははははははははは!!?いひひひひひひひひひっ!!?おい"っ!!ちょっ!?聞いてんのかっっ!!?っっはははははははは!!?」 メレディスは顔を真っ赤にしながら、目を剥いて髑髏マスクを睨んだ。 マスクの向こうにあるはずの瞳とはやはり目が合わない。 ──トリックオアトリート。こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ… 女は屍人のように不気味な声でこちょこちょと歌い続け、長い指を踊らせ続ける。 爪の先が何度も何度も腋の下のミゾの弱点をこちょこちょと掘り続ける。 「ぶあははははははははははははははははははは!!?けほっ!!?かはっ!!?はっっ!!?はっっはははははははははははははははははははははははははははは!!?」 腋の下に注がれるこそばゆさに慣れる気配は無い。 それどころか、くすぐったさは増していく。 呼吸が追いつかず、苦しい。 指はこちょこちょこちょこちょと蠢いて止まらない。 このまま続けば、イタズラどころの話ではない。 呼吸ができなくなって、ひきつけを起こして、気が狂う。 この女は、くすぐりで笑い死にさせようとしているのではないか。 そんな考えがよぎった時、メレディスはゾッとした。 戦場でも味わったことのない恐怖心がメレディスを襲う。 同時に、指が止まった。 やはり流石に、まずいと思ったのか。 しかし、許すつもりはない。 「けほっ!!はぁはぁっ!!い、いい加減にしろ…このっ…はぁはぁっ!!」 怒りをぶつけたいのに、呂律が回らない。 「お前はっ…警察に突き出す。二度と…はぁはぁっ…こんな真似…できないように…」 メレディスは起きあがろうとするが、女は腰の上に座ったままである。 「はぁはぁ…遊びは終わりだ…早くそこを…」 そこを退け。そう言おうとしたメレディスの目に信じがたいものが映った。 泣き叫ぶ髑髏の黒いローブから、にゅるにゅるにゅると、腕が生えてきたのだ。 一本や二本ではない。 四本、六本、八本の腕がにゅるにゅると生えてきた。 無数の手に生え揃う長い指がこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょとうねりながら、メレディスに狙いを定めている。 メレディスの背筋に再び冷たいものが駆け抜ける。 こちょこちょと宙で蠢く無数の処刑指は、メレディスの強靭な精神を破壊するのに十分なものだった。 やっぱりこれは、イタズラじゃない。 「お前はなんだ…!?なんなんだっ!!な、なにがっ何が望みなんだっ!?」 取り乱すメレディスの問いに、女はゆっくりと首を捻り、細くて長い指でメレディスを指を差す。 千を超えるこちょこちょ指がゆっくりとメレディスに伸びていく。 「はっはっ…!!はぁっ!!た、助けっ…」 メレディスの青い瞳から涙が滲んだその瞬間。 ──こぉちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー!!! マスクの向こうから、幾重にも重なるこちょこちょボイスが響き渡り、千を超える指先と爪の先がメレディスの首、胸、腋、肋骨、脇腹、お腹をくすぐり殺し始めた。 「うわぁぁぁぁぁああああああああああああっ!!?あっ!?あっ!!?ああああああああああああああああああああああ!!?やめっっ!!?やめ"っっ!!?やめろっっ!!?やめぇぇぇへへへへへへへへははははははははははーっ!!?」 メレディスは引き締まった肉体を波打たせ、喉を震わせ叫ぶ。 長い爪で耳周りや首周りをこしょぐられ、おっぱいを撫で回され、乳首をカリカリと下から上に弾くようにくすぐられ、腹筋部をワシャワシャと貪られ──あまりに強力なくすぐりを一度に浴びせられたことで、メレディスはくすぐり中毒を引き起こしていた。 ある指は肋骨の隙間に指をはめ込んで神経をコリコリと刺激し、またある指は骨盤のくぼみに親指を捩じ込んで指圧し、またある指は足の裏を爪でゾリゾリこちょこちょと削ぐようにくすぐった。 「ぎゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああっ!!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃぃぃっっっ!!!もうしないっっ!!もうしないがらぁぁぁぁぁぁっっ!!」 メレディスが大嫌いな刺激…その全てが一度に注がれる。 股間が濡れるのを感じたが、その違和感もすぐに鼠蹊部を揉み込まれるくすぐったさに掻き消された。 グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ!! 「くはっっ!!?くはっっははははははははははははははははははははは!!?やめっ!?あぇっ!!?くるじっっ!!?もうやめっっっ!!?っっははははは!?あはは!?あはは!?はははははははははははーっ!!?」 全身に"くすぐったい"を注入され、メレディスの脳は完全にくすぐりに支配されてしまう。 それでも、女の細くて長い死の指は、メレディスの全身のありとあらゆるウィークポイントを執拗に執拗にこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと虐めてくる。 「ははっ!!?はっっ!!?けほっ!!?っっへははははははははははははははははは!!?もうやめっっ!!?ころじっっでっっ!!ころじでぇぇぇぇぇっっ!!」 全身を襲う夥しい数の指とくすぐりに筋肉を痙攣させ、目を丸く剥き、ぱくぱくと苦しげに口を動かしながらメレディスは叫んだ。 そして── ◯ ──そして、くすぐり殺された彼女の生首は、彼女の家の玄関先に飾られていた黒いカボチャの横に並べられたのだった。 "エリー・マッキントッシュ"は、壁に貼り付けられた新聞記事の悍ましい文面を心の中で読み上げた。 犯人は、メレディスを殺害したあと、騒ぎを聞きつけてやってきた近隣住民を六人殺害している。 それが、この町で二十年前に起きた惨劇だ。 事件は通称"黒いハロウィン事件"と呼ばれており、犯人はいまだに不明。 ハロウィンで町中が浮かれていた中で派手に人を殺している割には目撃情報は少なく、大した手がかりも残していないため、犯人はゴーストだと主張する声もある。 この町が、"ハロウィンストリート"なんて呼ばれるようになったのはぜんぶ、この事件のせいなのだ。 "未解決の惨殺事件が起きた町"なんて超最悪な響きだ。 でも、意外とこの町はタフで、この事件で町おこししている。 事件が起きた家やその周辺の見学ツアーを開催し、見学料をとったり、また、町にあるいくつかの店では犯人がつけていたとされるゴーストマスクをデザインしたTシャツを売ったり、果ては生首のマグネットを販売したりしている。 見上げた商売根性だと思う。 この町で生まれ育った女子高生のエリーにはどれも不要なものだ。 だからいつも店で買うのはコーラと、チューインガムに決まっている。 店員も、エリーのことを知っているからいちいちハロウィン事件グッズを勧めてきたりはしない。 ガムを口に放り込み、自転車にまたがっていつものダイナーへ向かう。 この町──リリアンウッドの町は小さな田舎町である。 陰惨な殺人事件がなければ、特に名産品もないし、この街の名前が世間に知れることはなかっただろうと思う。 町に並ぶお店はほとんど個人経営の昔ながらの店舗ばかりだ。 若者たちは皆、高校を出たらすぐにこの街を出る。町にはまともな就職先もないから、当然だと思う。 だから、リリアンウッドはもうじき消えてなくなるんだと大人たちは言っている。 エリーも、なんとなくそんな気がする。 落ち葉で彩られ始めているまっすぐに伸びた住宅街を駆け抜ける。 そろそろ、ハロウィンがやってくる。

Comments

ありがとうございます!ギリギリですみません! 女を襲った謎のローブ女…人間っぽい様子がほとんどないのでなんだかいつものオバケっぽい気がしますよね〜…! 兵士みたいな強いキャラクターほど、くすぐりシーンは映えますよね! 散々、苦しみや痛みに耐えてきたのに最期はくすぐりという予期せぬ刺激でその人生を絶たれるというのは悍ましい結末ですね…。 そうですね!後半で出てきたエリーこそが今作の主人公なので彼女がこれからどうハロウィンの事件に関わっていくのか…ご期待ください!!

Kara

ハロウィン小説待ってました! ハロウィンの時期にやってくるローブを着た謎の女は多分もう人間ではなさそうですね。。。 そして彼女の目的はなんなのか。 元々戦地に立っていた経験がある彼女は初めは強気でしっかり強者感溢れていましたが、予想もしていなかった恐ろしいくすぐりによって悶絶して降参を請う姿がとても刺さりました! もし本当に人ならざるものが相手だったのならば仕方ありませんよね。。。 動けない状態で無数の手を持つ敵に全身くすぐられるのはまさに地獄ですね。。。かなり強敵な予感がします! パート2からは主人公はエリーという女子高生に変わるのですかね? また新しいキャラが続々出てきそうでとても楽しみです!

ぺんだごん


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