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【F/F】BEFORE THE UPDATE─青の夜篇#1─

1. おくすり (F/F) 薄っぺらな壁一枚の向こうから、窓の向こうの大通りから、ノイズが耳に流れ込んでくる。 シヨンはピアスだらけの耳にイヤホンを ねじ込んで好きでもない音楽を流し込む。 喧騒をかき消すには、また別の喧騒を重ねるしかない。 少なくともこのボロアパートでは、それがノイズをかき消す唯一の方法だ。 いつからか分からないくらいずっとつけっぱなしにしているキッチンの灯りと、カーテンから漏れる眠らない街の灯りだけがこの部屋の光源である。 お金がなければ田舎に暮らせば良い。学生の頃はそう思っていた。けれど、実際にはそうはいかなかった。 田舎で暮らすのにも金は必要だったからだ。 結局、掃き溜めのようなこの町に住む羽目になった。 馴染めない。 この汚れ切った町を歩く人々が嫌いなのではない。シヨンは自分もそのうちの一人であり、自分が、すぐそこの道端で寝こけている男や、公衆トイレでキマってる女や、路地裏で絡み合っている男女と同じ世界に生きているのは分かっている。 むしろここは、これまで生きてきたどんな環境よりもシヨンに適した世界のはずであった。 けれど──馴染めない。 この町はシヨンのように表の社会で生きていけなくなった者どもが集まる文字通りの掃き溜めだ。 シヨンと似たような、あるいはそれよりも酷い環境を生きてきた連中の溜まる場所。 ──社会に負けた者たち。 シヨンは自分を含めたこの町の人間たちのことをそう思っている。 まともなやり方で生きていけないから、ここで"快楽"を武器にして生きている。 この町の人間のほとんどが、一瞬の快楽のために生きている。 酒。性。薬。暴力。一瞬にして脳を貫くような強烈な快楽。それを浴びるために日々を生きている。 誰もその先を見据えていない。 次のことを考えているならば、次の快楽のことだけを考えている。 誰も今日の出来事──今日浴びた快楽のことを振り返ったりはしない。考えたりはしない。 次の快楽を浴びることだけを、それだけを延々と考え続けている。 快楽を貪るだけの生き方。 それは愚かだとシヨンは思う。 快楽を浴びるのは良い。だが問題はその後──それをどう調理するか。 酔いの快感。セックスの快感。人を傷つける快感。傷つけられる快感。それらを浴びて、自身の中で何を創り出すか。 さらに上質な快楽を得るために行動するか。快楽から脱走しようともがいてみるか。他者に快楽を与える存在を志すか。快楽を用いた創造の可能性は無限大にある。 まだ快楽を浴び続けているばかりでは、快楽に飲まれて破滅する。 シヨンはそう思う。 なのに、この町の人間は皆、快楽を浴びて浴びて浴び続けているだけだ。 一瞬の快楽のためだけ生きている人間どもの声が、一つの喧騒となる時、それはシヨンに強烈な不快感を与える。 不愉快だった。 だからシヨンは、やるべきことをやっているのだ。 一瞬の快楽のみで溢れたこの町から、逃げるために。 ◯ イ・シヨンは、半開きになったドアを肩で押し開け、バスルームに片足だけ突っ込み、鏡の前に立つ。 しばらく切っていない黒い髪は、胸元まで伸びている。 黒目の大きな二重瞼の目。不健康な程に生白い肌。小さい頃はよく性別を間違えられた。 男なら美青年。女なら美女。シヨンは中性的なルックスだ。 指でテキトーに髪を解き、バスルームを出る。 かったるい仕事を終えないといけない。 文庫本を二冊バッグに突っ込む。 鍵もかけていない玄関ドアを小突くように開ける。ドアは毎度驚くほど簡単に開く。 その日は珍しく、シヨンは部屋に鍵をかけた。特に意味はなかった。 パーカーのフードを被り、ゴツゴツと足音を立てながら階段を下る。 町は部屋から見るほど、眩しくはない。 しばらく大通りを歩いてから、路地裏に入り込み、入り組んだ通路を進む。 昔はクラブだったという廃墟の真裏に差し掛かったところで、正面から女が向かってきた。 シヨンはバッグの中に手を突っ込み、文庫本を取り出すと女に渡した。 女はページをめくり、納得したように頷くとシヨンの手に札束を握らせ、去っていく。 シヨンはそれをもう一冊の文庫本に挟んだ。 薬の取引をする際、警察の目を警戒する必要などない。警察など機能していないからだ。 見つかってはならないのは。シヨンが警戒しているのは──"新世會"の連中だ。 新世會は、この町を仕切っている巨大反社会的組織だ。ボスは"海兎(かいと)"という。 シヨンに薬の売買を任せているのも、新世會だった。 薬の売買でシヨンが組織から受け取っている金額は、一瞬の快楽を浴びるには十分だが、快楽から脱し、この町から逃げ出すには少ないものだった。 だからシヨンは"こんなこと"をしているのだ。 新世會は高品質で高級な薬の売り付けをシヨンに任せている。だがシヨンは、組織から渡された薬に混ぜ物をして安く大量に売っていた。 無論、組織にこの事がバレてしまえばただでは済まない。 それでも、一瞬の快楽に溺れる町から逃れるには、快楽を提供している者に挑むしかない。 仕事を終えたシヨンは寄り道もせずにアパートに帰ってきた。いつも開け放たれているエントランスを抜け、階段を上がる。 死にかけの照明が照らす二階廊下に、シヨンだけの足音がやたらと大きく響く。 シヨンの部屋。204号室の取手を握る。 薄くて軽い玄関ドアが軋むこともなく開く。 違和感がシヨンを襲う。 眩い灯りがシヨンの眼球を照らす。 「だめじゃーん。シヨンちゃん」 鍵を掛けていた部屋の玄関。ついているはずのない証明に照らされて、女がシヨンを見下ろしていた。 冷や汗が出るよりも早く、シヨンの視界が真っ黒に染まる。 顔に、ザラザラとした麻袋のような感触が走る。 恐怖が凄まじい速度で全身に広がり、身体を硬直させる。 抵抗しないと。 シヨンがぴくりと手を動かした時、両腕を無理やり後ろ手に回され、両足首を何かで縛り上げられた。 わずか十秒足らずで、シヨンはまるで魚のように運び出された。 ◯ 人間の漬け物を見せられたことがあった。 正確には、くすぐり漬けにされ、くすぐられてもいないのに笑い続ける人間だったものの成れの果て──人間のくすぐり漬けを見せられたことがあった。 それは、組織に刃向かえばこうなるぞ。という脅しだった。 新世會というのは女だけで構成された巨大組織だ。 新世會は、裏切り者や反逆者、敵対者への制裁に"くすぐり地獄"を採用している。 名前の響きは実にふざけたものだが、実際はかなりの生き地獄だ。 なんせ、無抵抗のまま身体中をコチョコチョくすぐられ続けるのだ。泣いても、喚いても、失禁しても失神しても止まることはない。 その肉体と精神と遺伝子に、新世會の恐ろしさが刻み込まれるまで罰は続く。 罰を受けた者が仮に生きていたとして、 罰を受ける前の状態には二度と戻れないという。 身体の感度が上がり過ぎて衣服を纏うことさえできなくなったり、あるいは少しでも笑うだけでしばらく笑い続けてしまうようになったりするのだと。 そんな罰。 そんな恐ろしい罰。 それが、シヨンを待ち受けている。 シヨンは冷たくて硬い床の上に転がされていた。 衣服を全て剥ぎ取られたシヨンの白い肌に、薄汚れた床が密着している。 手を後ろ手に縛り上げられ、両足首にも縄が巻き付けられているため、自由に動くことは出来ない。 「シヨンちゃーん」 およそ、こんなじめッとした空間には似合わないような飄々とした声が響く。 シヨンを待ち構えていた女──ストロベリィと呼ばれているその女がシヨンの放り込まれている独房に入ってくる。 ショートヘア。垂れた目。180を超える長身。常に黒いジャケットを羽織り、谷間を露出したインナーシャツを着ているその女ストロベリィは組織でも上層部の人間って、いつも貼り付けたような笑顔を浮かべている。 どんな時も。誰かを処す時も拷問にかける時も。 「おはよう。ねえ。大胆なことしてたじゃん」 ストロベリィは屈み、シヨンの黒い髪を掴んでシヨンの顔を無理やり上げさせた。 なんのことか分からない。とか、そんな シラを切っても無駄だ。 ここに連れてこられた時点で、仮に冤罪でも無事には帰れない。 「本当ならさぁ一発くすぐり処刑だけど… でも今はスペシャルキャンペーン中!良かったねぇ」 ストロベリィはそう言って、一緒に入ってきた刺青まみれの女たちに向かって手のひらを向けた。女たちのうちの一人がストロベリィの大きな手のひらに光る何かを乗せた。 広げたアルミホイルのようなものにちょこんと盛られているのは青白い粉だった。 "ブルーナイト"。それは確かそんな名前の薬。この前、シヨンがその薬のことをストロベリィから聞いた時は、まだ売り物になっていないと言っていた。 ストロベリィは一度、シヨンの髪から手を離すとライターでブルーナイトを炙った。青白い粉からほんのり青い煙が上がる。 ストロベリィの大きな手が、再びシヨンの髪を鷲掴みにしてシヨンの顔を上げさせる。 「はい吸って〜」 ストロベリィの手のひらでモワモワと上がるブルーナイトの煙が、シノンの口元に近づいてくる。 シヨンは咄嗟に、呼吸を止めた。 これを吸ったらどうなるかは知っている。 きっと二度と戻れなくなる。 「はい抵抗しないよ」 突然、ワキに違和感が走った。 手。恐らく知らぬ間に背後に回り込んでいた刺青の女の生の手の感触が、ワキに食い込んできた。 背後からズクリと突っ込まれた手が、ぐちゅぐちゅとワキをかき混ぜる。 「くぁっ!!!あはっ!!あははははははるははははははっ!!?かはっ!!こほっ!!?ぇほっ!!?」 不意打ちでくすぐられ、無理やり笑わされたシヨンはつい、目の前の煙を吸い込んでしまう。 止めようとしても、もう止まらない。 ぐちゅぐちゅと、指先と指の腹で脇の下を擦るように刺激されれば堪らず笑ってしまい、同時に煙を多量に吸引してしまう。 「ぁあっ!!あはっ!!あはっ!!?こほっ!!?ぃははははははははははははははははははははははは!!!」 すうっと腋の下から違和感が消えた時、ストロベリィの手も引っ込んでいた。シヨンはその時になってようやく、自分がブルーナイトを完全に吸引させられたのだと理解した。 心臓の鼓動が早まる。 こんな状況なのに、シヨンはなぜか明日のことを考えていた。明日は、この町で唯一心を許しているパートナーと会う日だ。そのパートナーと会ったら何をしよう。ベッドの上でどんなことをしよう。そんなことを考える。 楽しくなってくる。 ぱちぱちと数度、まばたきをする。 その度に、視界に青いインク染みのようなものが広がっていく。 不思議と恐怖を感じない。 ただ気持ちが良い。 色んなこと。この先のこと。自分にはもう明るい未来など待っていないはずなのに、それでも未来のことを考えると──ニヤけてしまう。 ストロベリィが立ち上がり、数名の女を連れてシヨンの向かいの独房の鉄格子を開ける。 独房に放り込まれている女──肩に蝶のタトゥーの入った手足の長い女が、ヒイヒイ言いながら怯えている。 彼女は、両腕を壁面の金具に繋がれ、両脇を開いた状態で拘束されている。 逃げ道はない。 「はろー。調子どうだった?」 怯える女に問いかけるストロベリィの声が、やけに遠く聞こえる。 「ご、ごめんなさいごめんなさいっ!!もうしませんからっ!!ねぇ!許してくださいっ!」 女は泣きながらストロベリィを見上げている。 ストロベリィがデカい手で女の頬を掴んだ。 「吸った後の調子はどうか聞いてんの」 ドスの効いた声が、シヨンにもはっきり届いた。 「ひっ。し、し、し、視界が青くなってぇ…気持ち良くってぇ…えっと…」 「ふぅん。どれくらい続いた?」 「え、え、えっと…ええっと…十分くらいぃ?」 「あ、そう。十分効果あった感じ?」 「は、はぃ。はぃっ…!」 「そっかそっか。そしたら最終チェックしようか」 ストロベリィが刺青の女たちを呼んだ。四人ほどの女たちが蝶タトゥの女を取り囲む。 「はぁはぁはぁっ!!あ、あのっ…な、何をっ…」 「それね。ちゃんとキマってたら…感度が上がるようになってんの。だからそのチェックね」 刺青の女たちが手を前に突き出し、細く長い指をウネウネくねらせる。恐ろしい見た目に反して、指は繊細で器用に動いている。 「ひっ!!?ま、待って…待ってくださぃっ!!」 無数の指に取り囲まれた蝶タトゥの女が上擦った声を出す。 「じゃあ頑張ってね」 ストロベリィが女に背を向け、右手を挙げたのと同時に、刺青女たちは一斉に女に手を伸ばした。 「ぎゃぁっ!!?いやっ!!やめっ…!!」 動けぬ状態で身を捩らせる女。そのくびれた脇腹や骨盤の辺りに刺青女たちの指が食い込み、捩じ込まれ─── ──グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ!! グニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュっと揉みえぐりくすぐり始めた。 「ぎぃぁぁぁぁぁああああははははははははははははははははははは!!!あは!?はははは!!?あははははははははははははは!!?やっ!!?ごれっ!!?ごれなにっっ!!?ぃぁああああああはははははははははははは!!!ごめんなさいごめんなさぃぃぃぃ!!!」 四人の女による一斉揉み殺し。 蝶タトゥの女の身体が、激しく右へ左へ痙攣するようにくねり、震え上がる。 耳を塞ぎたくなるような絶叫が轟く。 容赦などない。女の筋肉と神経を揉み込んでいるのは、容赦という概念がそもそも存在しない人種である。 女たちは、まるで小麦粉でも捏ねるような指遣いで蝶タトゥの女の身を揉みくすぐり続ける。 骨盤は親指でグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ!!っと抉るように、脇腹なんかも親指でグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュっと揉むように。 「きぁっ!!?あっっっ!!?やっっ!!?ぃぁぁぁぁあああああははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?くるじぃっ!!?いやっっ!!くすぐっだぃっでずぅぅっっ!!ぃぁぁぁあああああああああああああ!!!」 女の目は異常なほどに開いている。ぎょろぎょろと瞳が泳いでいる。 右脇腹をゴニョゴニョ揉まれれば、女の身体はびくんと震えて反対側にくねる。そうすると今度は反対側の骨盤をゴリゴリほぐされる。 女に逃げ場などなかった。 「ぐぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!?死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅっっっ!!やめでっっ!!やめでっっっ!!ぃぁぁぁぁぁぁぁあああははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!ぎぃあっっっはははははははははははははははは!!?」 およそ、コチョコチョ地獄とかくすぐり地獄なんていう可愛らしい名前が似合わないほど凄惨なくすぐり揉み殺し地獄が女一人の身体に注がれている。 女がどんなに叫んでも泣いても笑っても──刺青の女たちは無表情のままに指を使って女の神経を弄び続ける。 グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ!! グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ!!! 「あーっ!!!あ"ぁっっっ!!ぎぃぁぁぁぁぁああああはははははははははははははははははははははははははははははははは!!揉まないでぇっっ!!くすぐらないでぇぇ!!なんでもずるっ!!なんでもしまずがらぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!あははははははははは!!!」 強制笑わせ地獄により、女の裸体は汗でぬるっぬるにコーティングされている。その身体が、この地下牢の白い灯りに照らされて妖艶に照り輝くのを見ていると──シヨンはなんだか興奮した。 まさに地獄が展開されている向かいの房から、蝶タトゥの女の尿と汗の混じった液体がシヨンの独房に流れてきた。 シヨンの目には、その液の表面にキラキラとした星模様が浮かんで見えた。 「シヨンちゃーん。調子どう?」 ストロベリィが戻ってきた。 とても、一人の女を心身ともに破壊させた後とは思えないほど陽気な声だった。 ストロベリィの大きな手がシヨンの小さな顎を掴んでくいと持ち上げた。 「はぇっ…」 シヨンが言葉を発しようとすると、唾液がだらりとこぼれ落ち、ストロベリィの指を汚した。 「そーとう効いてるねぇ」 ストロベリィは嬉しそうにニタリと笑い、 そのまま指についた唾液をシヨンの頬に塗りつけた。 「じゃあシヨンちゃんもやっとこか──コチョコチョ地獄」 そのワードがシヨンの鼓膜を揺らした時、シヨンは背筋に寒気を感じた。さっきまで頭を支配していた快楽が薄まっている。 ストロベリィが両手に、油のようなものを丹念に塗りこんでいた。 「シヨンちゃん。これ弱かったねぇ」 背後から、ストロベリィのヌルヌルのデカい両手がシヨンの両ワキにズクリと差し込まれる。 「くぁぁぁぁぁああああっっ!!?」 両手は後ろに縛られ、両足首さえも縛られているシヨンの身体がぐぅんと仰け反った。 これまで何百人もくすぐり殺し、くすぐり壊してきた女の生指がシヨンのワキに差し込まれている。 「どれくらいくすぐったいか教えてね?」 ストロベリィはそう囁くと、閉じられた腋の下に差し込んだ指を細かく曲げ伸ばししてズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクっ!!っと腋をこそばし始めた。 「くぁっっ!!?はは!?はははは!!?あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?だめっっ!!!これっっ!!いやぁぁぁぁぁぁぁああああははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」 シヨンの細い身体が仰け反ったまま硬直する。 腋に擦り込まれるくすぐったさにより、全身の筋肉がびきびきに硬直しているのだ。 激しく暴れたシヨンはびたんっと床にうつ伏せになった。 だが、ストロベリィの手は差し込まれたまま抜けることはない。 「ほぉら逃げないよ〜?」 ストロベリィはうつ伏せのシヨンの腰あたりに馬乗りになり、ズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズク!!っと追加で腋をこそばした。 「ぶぎぎぎぎぎっっ!!?ぎひっ!!?ぎひひっ!!?ぎひはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?やめっっっ!!やめっってぇっっ!!っっはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」 ストロベリィの指先や指の腹が腋の下をズクズク擦るたび、小さく引っ掻くたび、送り込まれてくるくすぐったさにシヨンは絶叫した。 さらに──長身のストロベリィに馬乗りになられてしまったシヨンは、ろくに暴れることも出来なくなり、ほとんど無抵抗のまま腋をこちょぐられる羽目となった。 ズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズク!!! 「きゃはっ!!きゃははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!だめっっ!!無理っっ!!やっっ!!やだっっ!!やだぁぁぁぁぁぁあああああはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」 つるつるした指先に加え、爪の先や爪の表面が腋の下の表皮を擦るのが堪らなくこそばゆい。 薬のせいでハナから表情筋が弛緩していたシヨンは、目から鼻から口から液体をどろどろ垂らして悶え狂う。 「こっちもチェックしておこうね〜」 ストロベリィは乱暴に、まるでゴミでも扱うようにシヨンを力づくで起こして身体をひっくり返し、仰向けにしたシヨンの頭を自身の膝に置いた。 「ほぇっ──?」 シヨンの真っ青な視界に映ったのは、ストロベリィのヌルヌルの大きな手と長い指それが──シヨンの薄ピンクの乳首に襲い掛かる瞬間だった。 カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ!! コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!! 「ぶぎっっっ!!!?んぉっ!!?ぉほほほほほほほほほほほほ!!?ほははははははははははははははははははははははははははは!!!おひょほほほほほほほほほほほほほほほっっ!!?ひょほほほほほほほほほほっっ!!?」 乳首に注がれる鋭利なくすぐったさにシヨンは口を尖らせ腰を何度も痙攣させた。 だが、強制膝枕からは逃げられない。 ブルーナイトの影響かそれともストロベリィのテクニックのせいか、性感帯であるはずの乳首に感じるのは、強烈なくすぐったさのみだ。 「乳首がくすぐったいって新鮮でしょ〜?楽しいねぇ〜?」 ストロベリィはまるで子をあやすような口調でシヨンを嘲りながら、乳首を下から上へ爪で弾くようにカリカリと細かく引っ掻くようにコチョコチョくすぐる。 カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ!!! コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!! 「っつはっははははははははははははははははははははははははははははははは!!?いひひ!?いひひひひひひひひははははは!!?うわぁぁぁっっ"っ!!?あは!?あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 ストロベリィのテクニックはとてつもなく嫌らしいものだった。乳首だけを執拗にくすぐるのではなく、時折、全指の爪でゾワゾワ撫で撫でとオッパイの全面を撫で回す責めを入れ、乳首への刺激に慣れさせないようにしている。 オッパイへのゾクゾクしたこそばゆさにシヨンが悶えていると、また乳首を爪で細かく鋭くカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョとこそばされるのだ。 「くかっっ!!!あはははははははははははははははははははは!!!はへへへへへへ!!?ごっっ!!ごめんっっなざぃっっ!!!やめでっっっ!!!いひひひひははははははははははははははははははははははははははは!!!ほんどっっにぃっっ!!っっひひひははははは!!」 「謝らなくて良いよシヨンちゃん。私とシヨンちゃんの仲じゃん?その代わり…最期くらい楽しませてね」 ストロベリィがシヨンの耳にふぅーっと息を吹きかける。 ゾゾッとした刺激がシヨンの耳元を震わせ、シヨンの身体がふにゃりと緩む。 身体が緩んだその隙を突くように、ストロベリィはそのヌルヌルした指でシヨンのお腹をこれでもかと言うほど激しくサディスティックにゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!っとくすぐり回した。 「はへっ!!?はぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ"っっ!!?やめっっっ!!やめでやめでやめでぇぇっっっ!!ぁぇへへへへへへへはははははははははははははははははははは!!!ぁっっ!!!ああっっ!!?っっっははははははははははははははは!!?」 薄っぺらい腹部に突き立てられたストロベリィのツルツルした長い爪が、神経を貪るように這い回る。 シヨンの身体が、陸にあげられた魚のように跳ねる。 ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!! 「はへっ!!ひへっ!!?ふへっ!!?へっ!!?へぇぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!?くるじっっ!!?しっっ!!?ぃっ!!?ぃぃぁぁぁぁぁぁああああははははははははははははは!!!ほははははははははははははははは!!?」 お腹へのこしょぐったさは、くすぐったさのみならず多量の呼気を吐き出させる。 だからとても、とても、苦しい。 まるで水中でくすぐられているかのような苦しさだった。 「気が狂うまで笑って…それからもっと楽しいことして笑い死のうね〜」 ストロベリィの口調に熱がこもり始めていた。この女は、人を笑い殺すことで興奮する異常者なのだ。 早くその快楽を味わうために、ストロベリィは指をさらに激しく滑らかに腹部で踊らせる。 ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャ!! ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!! 「くふふっ!!?ふはっ!!?はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?かはっ!!ひっ!!?ひっ!!!ふはっ!!!っっははははははははははははははははははははは!!たすげっっ!!げっっ!!?っっへへへへへ!!?」 シヨンの青い視界がチカチカと点滅を繰り返し始めた頃──。 突然、腹部に注がれていたこちょぐったい刺激が止んだ。 シヨンは息を整えながら、腹部に残る爪の感触を味わいながら──ストロベリィの視線が自分に向いていないことに気づく。 ストロベリィと、その手下である刺青女たちは一点──通路の方を見つめていた。 いや───通路に立つ、一人の人物を見つめて…いや、凍りついたように見つめるしかなくなっていた。 青色がかったように見えるサラサラの黒い髪。青い視界でもはっきり分かるほどに白い肌。二重瞼の綺麗な目。派手な紫色のシャツの上から真っ黒いジャケットを羽織った性別の分からない人間が、独房の中のシヨンを見つめていた。 男ならとびきりの美青年。女ならとびきりの美女。そう例えるしかない生物だ。 「その子はうちの子?」 性別不詳の人物がシヨンを指差して首を傾げる。 「薬の販売任せてたシヨンちゃんって言う子です。まぁこれからくすぐり殺すんスけど」 ストロベリィはそう言って、指をワキワキと曲げ伸ばしした。 その動きを見たシヨンはぴくりと震えた。 「ううん…ちょっとその子よく見せて」 女性とも男性とも取れる綺麗な声が響く。 得体の知れない気配の持ち主が、カツンカツンと冷たい音を立てて独房に入ってくる。 にゅうと伸びてきた生白い手が、シヨンの顎に触れる。 シヨンは息を飲んだ。 すぐ目の前にいる生物は恐怖さえ忘れるほど美しい。けれど、とてつもなく─── ──血生臭い。 血と暴力の臭いのする美しき生物は一通りシヨンの顔や身体つきを眺めたあとこう言った。 「君なら、少し弄ればボクになれるね」 シヨンにはなんのことだか分からなかった。 「それじゃあ…"送り"ですか」 ストロベリィがつまらなそうに言った。 「うん。そうしておいて。あぁ最後に── 逃げられないように足だけ壊しといてくれる?」 美しき生物は立ち上がるとそう告げた。 「へぇっ?」 瞬間、シヨンの身体が、無数の女たちによって押さえ込まれた。 さらに四人の女が、シヨンの脚を押さえつけ、二人が生温かいヌルヌルした液体をシヨンの足裏に塗ったくる。 「ひいいいっ!!?」 シヨンの足指がみっともなく、きゅうと丸くなる。 くすぐられる。 パニックに陥っていたシヨンがようやくそう理解した直後、がっっっちりと固定された両足の裏に固く鋭い感触が走る。 ブラシだ。 シヨンの脳裏に、細長いブラシの毛束が自分の敏感な足裏の表皮に突き立てられている様がよぎった直後、ガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュ!!っと音を立ててブラシが足裏を磨き始めた。 「ぶぁっっ!!?ぎぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?あっっっ!!あ"っっ!!足"ぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!?やだやだやだやだぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!」 足裏の薄い表皮を削るように、ブラシがガシュガシュガシュガシュと残酷に神経を擦りくすぐる。 シヨンの身体が、電撃を浴びたようにのたうつ。 それを、無数の女たちが押さえつける。ストロベリィは、大きな手でシヨンの小さな顔を挟み込んでいる。 ガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュ!!! 「やめっっっ!!!足ぃっっ!!!あっっ!!?これっっ!!!死ぬぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁあああああああははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!ほんっっっ!!ほんどっっっにっっ!!ぃっ!!?いっ!!?ぃぁぁぁぁぁああははははははは!!!!」 白かった足裏が、みるみるうちに赤く変色していく。 液体を塗られたことで潤滑度のました足裏に、赤く変色した足裏に、容赦なくブラシは突き立てられ、神経を擦り上げていく。 いくつかの女の手が足に伸び、足の甲の神経をゾワゾワと撫で回し始める。 足の甲を襲うゾクゾクしたくすぐったさと、足裏を襲う猛烈なこちょぐったさのダブルコンボがシヨンの脳と肉体とを蝕む。 「ぎゃへへへへへへへへへ!!?うへ!?うへへへへへへへへへへ!!?もうやめ"っっっ!!!ぇぇへへへへへはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?うわはははははははははははははははははは!!!」 爪とブラシ。その両方がシヨンの足を執拗に執拗に弄び続ける。 固く鋭いブラシの先端が土踏まずを灼くようにくすぐり、爪が足の甲をゾクゾク震えさせ、シヨンを狂わせていく。 「おやすみ」 ストロベリィの声がした。 朦朧としている視界の中、ストロベリィの唇が迫ってくるのが見えた。 ぶちゅっと唇が、唇に密着する。 舌が口内にねじこまれ、シヨンの呼吸口を塞ぐ。 くすぐりは、続いている。 「ぶぼっっ!!?ぉぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼっっ!!?んぉぉぉぉおおおおおほほほほほほほほほほほほほほほっっ!!?ぉっっっ!!?ぉっっ!!?おおおおおおおおおおっっ!!?」 窒息状態でのくすぐりにより、シヨンの大きな黒い瞳が消える。 唇の感触。足の甲に触れている爪の感触。足裏を掻きむしるブラシの感触それらが──消える。 それが、イ・シヨンの一度目の人生の終わりにして、新たな人生の始まりであった。 〈続〉

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お待たせしまくっていたので、喜んでいただけて良かったです!! 一瞬の快楽に溺れる街から逃げようとするシヨンの話で、一瞬の快楽を味わわれたとは…なんとも皮肉ですね〜笑 本編ではすでに故人のシヨンですから、ここでしっかりちゃんと描写し切らないといけません…ので、まだもう少し続きます! シヨンの新しい人生、そして人類一斉アップデートの時も刻々と近づいているわけですからね…。 彼女がいかにしてあの船に投獄されることになったのか…そこまで描ければ良いかなと! 弱点レシピのことはすっかり忘れてしまっていましたが、その通りになっていたのなら…良かったです!! おそらくベッドの上では責め専のシヨンですが、実際身体は超敏感という…残念な特性を持ってしまっていますね…。 コマンド社によって世界が荒廃する前にこんなヤバいくすぐりを受けていたシヨンはかなり貴重な境遇にあったかも知れないですね! ここで揉まれていたからこそ、監獄船でもわりと上手く立ち回れていたのかも知れません!

Kara

最高でした。 シヨンには不愉快に思われてしまいそうですが、これだけは…待ちに待ったこの瞬間だけは、一瞬の快楽を存分に味わわせていただきました!笑 しかもまだまだ続く…まだイ・シヨンの物語が楽しめるのは幸福感ありますね…! なにより自分好みのダークな世界観なので、いつまででも浸れます。 未来に作成されることになるシヨンの弱点レシピ(リスト)通りにくすぐられていたように見えます。 やっぱりどこもとても弱いんですねぇ。 手足を縛られて拉致されて救いなど無い中でくすぐられるという緊張感のあるシチュエーションが最高で本当に興奮しました! とても素晴らしくて歓喜な作品です!

(´・ω・`)

ぺんだごんさん!お待たせ致しました!書く書くと言い出して二年。これを書くためにFAN BOXを開設して二年。ようやく公開することが出来ました。 そうですね!このシリーズは本編とは違い本編等の登場人物の過去を掘り下げていくものになっているので、より人物像の描写を細かくしております。 なので雰囲気はかなり違いますね! けどUPDATEシリーズらしくしっかり緊張感は感じていただきたかったので、ハラハラするシーンも入れさせてもらいました! その緊張感を感じていただけてなによりです! この町でただ生きるだけならば、シヨンもこんな目に遭うことはなかったのですが…! 自由を手に入れるためにはこういったリストと向き合わねばならなかったのでしょうね。 お薬とくすぐりの掛け合わせはかなーり危険な匂いがしますが…かなーりえっちでくすぐったそうでとっても苦しそうですよね…怖い… ドラッグで意識が朦朧としていても、ヤバいくすぐりを使えば一気に正気に戻せるというのも恐ろしい点です。 快楽ではくすぐりの苦しみからは逃げられない!といったところかも知れません! ストロベリィみたいに明るい感じで怖いことしてくる人がかなりヤバい人のイメージなので、そのイメージに沿って描写してみたのですが…気に入っていただけたようで何よりです!! 個人的にもストロベリィは気に入っています! 彼女は次回もしっかり登場予定です!ご期待くださいー! さて次のお話でシヨンはどうなるのか…そしてアップデートの魔の手はいつ襲いかかってくるのか…お楽しみに!です!

Kara

BEFOR THE UPDATE待ってました! こちらの作品のUPDATEは、他のUPDATE作品とは雰囲気が違いますね。初めはシヨン少し生きづらい世界で日々を送っているのかと思いきやめちゃくちゃ裏社会で逆境の中を必死に生きてこの街を抜け出そうとして、1話にして緊張感出しっぱなしでした! いやーしかしシヨンヤバめの反社会的組織に捕まってしまいましたね! しかもブルーナイトと言う危なすぎる薬を嗅がせられた上でのくすぐりはまさに地獄絵図でした‥‥。 やはりこう言う組織では裏切り者には制裁は付き物ですよね。 薬×くすぐりは本当に恐ろしいダブルセットです! また、薬を嗅がされた状態のシヨンは初めはヨダレを垂らし虚な状態でしたがくすぐられると分かった瞬間寒気を感じたと言う描写すごく良いですね!くすぐりというワードだけでゾッとしてしまうシヨン。この描写を読んでくすぐりの恐ろしさを改めて感じ取れました。 ストロベリィのあの甘ったるい喋り方とは裏腹にやってることはドSを越して残虐性に満ち溢れている感じもとても癖になりました!くすぐりテクニックも相当なものでしたね‥‥。彼女は続編でも出てきますかね? 2話では、シヨンの新たな人生がどういったものになるのか気になります!

ぺんだごん


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