(キャプションの文末に差分あります)
ーーー昼休み。
午前中も忙しなく地位から仕事をこなしいつもなら大して美味くもない社食をかっ込んでとっとと寝るんだが、今日は休みの同僚の代わりに先輩のサイ巨人【西園寺】の世話係をやらなきゃならねえ、全く面倒臭え!
『おうやっと来たか、ん、いつもの虎じゃなくて今日は熊なのか、まあいい早速だがマッサージを頼む』
専用の休憩室に入った途端、遥か頭上から轟音のように響く声。
声がした方を見上げてみたらまるで虫でも見入るような目でこちらを見下ろす顔が見えた。
その巨体は座っていても途方もなく大きく、俺がどれだけ背を伸ばしても臍どころか大木のような足首にも満たない。
「は、はい、ただいまっ」
反射的にそう返事をした。くそっ、なんで俺がこんなペコペコしねえといけねえんだ。
だが相手はビルよりもデカい巨人だ。その気になれば俺なんて簡単に踏み潰してしまえるだろう。
ここは当たり障りなく応対して場を凌ぐのが正解だ。
「どこをマッサージしましょうか?」
やつの耳に届くように大声でそう尋ねる俺をやつの巨大な手が掴み軽々と持ち上げる。
悲鳴を上げる間もなく俺の体はやつの巨大な両足で挟まれてしまった。
「うっ、うげえぇっ、おえっ」
一体どれだけ洗っていないのかわからないくらい黄ばみ、汚れた靴下に包み込まれ想像を絶する臭さが鼻に流れ込み、さっき食ったばかりの胃の中の物が込み上げる。
臭え、息ができない、死んじまう!
あまりの臭さにパニックになる俺にお構いなしに、挟んだ俺をじわじわと潰すようにやつの足が動き出す。
恐らく大して力を込めてはいないんだろうが、それでも俺にとっては全身を万力で締め上げられてるかのような衝撃と痛みが走る。
「ぐああっ、がああああああぁぁぁっ!!」
『ふむ、まあ悪かないが…』
俺の悲鳴はその耳まで届いていないのか、挟む俺の感触を楽しむように力を込めたり抜いたり、上下左右にゆらゆらと足が動く。それによって俺の体には激痛が走り、とんでもない臭気が肺まで流れ込む。どうにか抜け出そうともがいては見るが、情けないことに俺は涙と涎を垂れ流し叫ぶことしかできなかった。
『鍛え方が足りないみたいだな、いつもの世話係や親方に比べると刺激が物足りん』
巨大な足で圧迫されもがく俺を残念そうな顔で見下ろしながらやつはため息をつく。
俺は耳を疑った。世話係の同僚はともかく親方だと⁉︎牛獣人の親方は大柄な熊獣人の俺よりも更に頭二つ分近くデカく、脂肪もついちゃいるがその下にはかなりの筋肉を纏っている。
街を歩けばすれ違うゴロツキ共が怯えて道を開ける、正に雄の象徴みたいな人だ。
「そんな、親方が…?」
思わず漏らした俺の言葉が聞こえていたらしくやつは不思議そうな表情を浮かべた。
『ん?ああ、親方は小っこい獣人の中じゃいい体してるからな、ゴリゴリとツボを刺激されて気持ちいいぞ』
愉快そうに笑うその言葉を聞いて、俺は抵抗する気力を失った。無理だ、あの親方すらそんな扱いをできるやつに抵抗なんてできるはずがない。
『おら、どうした?もっとしっかり動かねえとマッサージなんねえぞっ』
「ぐぎゃあああああああああああぁぁぁっ」
これまでにないくらい強く全身を押し潰され俺は絶叫する。そんな俺をやつは冷たい微笑みを浮かべ見下ろしていた。
『これじゃ大した刺激になりゃしねえ、仕事が終わった後も俺のとこに来い、昼休みじゃ足りなかった分ゆっくりマッサージさせてやる』
脅しを含むようなその言葉が聞こえたのを最後に、全身を襲う痛みと臭気によって俺は意識を失った。目を閉じる瞬間、目が合ったやつは嬉しそうに微笑み俺を見つめていた。
↓差分
tristan2004
2023-05-11 04:12:43 +0000 UTC