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自覚なしの三角関係

 例の夢を見た後、ベットから離れ、パジャマから普段着に着替えると、顔を洗いにトイレの洗面台へと向かった。 自室のドアを開け廊下に出ると、シロ姉さんの部屋を通った瞬間 ガチャ とその扉が開き、パジャマ姿でボサボサ頭のシロ姉さんが出てきて、寝ぼけた表情で僕を見つけると


「あ~、ヨシ君おはよ~・・・ 今日は早起きだねぇ~」


「え・・・ あ! はい! おはようございます!」


 僕はこの時、心臓がなんだかおかしかった・・・ ただ挨拶しただけななのに、心臓の鼓動が・・・


ドクッドクッドクッ!


 と強く波打っていた・・・。 よく緊張する時や、ジェットコースターに乗る時なんかで、こんな状態になる時はよくあるのだが、それとはまた何か違う・・・ これは・・・。 


(ま・・・ ま、まさか!? もしや・・・! 僕は!?)


 シロ姉さんは硬直した僕に微笑みかけながら


「ウフフフ、早起きしてえらいね~・・・ 私、昨日買った本がおもしろくって~、深夜まで読み明かしちゃったから、眠くて眠くて~・・・ でも、シャキッと起きてラジオ体操の準備しなくちゃね~!」


 僕は心臓のどきどきを悟られないように、平然をよそいながら


「そそ、そうなんですか! ちち、ちなみに何の本を読んだんですか?」


「ほら~、昔話題になったetc」


 僕とシロ姉さんは、読まれた本について軽い雑談した・・・。 それが終わると僕は洗面台に、シロ姉さんは台所へと向かった・・・。 心臓のドキドキを抑えようと、何気ない会話をして気を紛らわせようと思ったが、心臓のドキドキは治まることなく、むしろ激しくなっていった! この時僕は悟った


(これは・・・ そうか、そうか! 僕はシロ姉さんが・・・ 好きになっちゃったんだ!!)


・・・

・・・・・・


 それからというもの、僕はシロ姉さんを見るたびに心がドキドキしていた。 例の夢・・・ あの夢を見た後から、このドキドキが始まって、シロ姉さんの声や立ち振る舞いを見るたびにドキドキするようになってしまった。 シロ姉さんは母性溢れる美人な人で、好きになるのは当然かもしれない、他の人が僕の様子を一言で表すとしたら 一目惚れ 解釈するだろう・・・。 だが、僕は思いはなんだか違う気がする・・・ シロ姉さんを見るとなんだか、かつてヒットしたアニメ映画『君の名は』の終盤のような、昔からの思い人をやっと見つけたような・・・ そんな感じなのだ・・・。 


(と、まあ・・・ ごちゃごちゃ思ったけど、僕はシロ姉さんの事が大好きなんだ・・・///)


 それからというもの・・・ 僕は事あるごとに、シロ姉さんとの距離を縮めようとした。 例えば、ご飯を食べる時はシロ姉さんの隣に座り色々と会話したり、畑仕事をする時はシロ姉さんと進んでペアを組もうとしたり、何でもない時もシロ姉さんと一緒に会話をしたり、僕の部屋に招き入れてゲームをして遊んだりもした・・・。 それに対するシロ姉さんも、僕への好意は満更でもないらしく、一緒に買い物に連れてってくれたり、夜はシロ姉さんの部屋に招かれたりもして、シロ姉さんと僕との距離が縮められているのは、恐らく僕から見ても他人から見ても確実だった! ただしかし・・・ ここで思わぬトラブルも起きてしまった・・・ それは麻里の事である。 前から僕の事を冷めた目で見られていたが、この時から冷めた目から、冷たい態度というか冷たい言葉を言われるようになっしまった・・・。


(麻里・・・ 昔から冷めた目で僕を見てたけど・・・ なんだか最近は、やたら攻撃的に接してくるような・・・)


 いや、くるようなじゃなく・・・ 実際しているのだ。 例えば畑作業にて、僕とシロ姉さんが楽しく会話しながら作業していると


『ねえ、2人共手が止まってるよ。 お喋りするなら終わってからにしなよ』


 と注意されてしまった・・・。 そもそも、シロ姉さんと麻里の2人組の時も結構賑やかに喋り合って、手を止めてる姿を何度か見かけるが・・・。 次に夜7時半頃、僕がシロ姉さんの部屋にお呼ばれし、1時間ちょっと楽しく会話をして終わった次の日の朝、廊下にて麻里に会ったとき


『昨日の夜さ、ヨッシーの声うるさかっよ。 あたしの部屋隣だし、夜も遅いんだから少しは自重しなさいよ』


 とりあえず僕はその場にて謝ったが、どちらかと言うとシロ姉さんの方が大きな声を出して笑ったり驚いたりしていたのだが・・・ それに、シロ姉さんの部屋に麻里がいる時の方が結構騒がしいと思うのだが・・・。 次に僕とシロ姉さんと2人で居間の清掃をしていると、シロ姉さんが脚立で高い天井をはたきで掃除しようとした・・・ そして僕にこう言い


『ねえ、ヨシ君〜。 天井の埃を取りたいから、脚立抑えててくれる〜? グラグラ動いて落ちちゃったら、大怪我しちゃうから〜』


 僕はそれを聞いて ササッ としゃがんで脚立を抑えると、シロ姉さんから


『ありがと〜、じゃあしかっかり抑えててね〜』


 と言いながら ガチャガチャ と脚立を上がっていく時に、シロ姉さんがミニスカート・・・ 程ではないが、なかなか裾の短いスカートを履いていて、僕はシロ姉さんの膝裏を見ながらドキドキしてしまった・・・。 ついつい、男のでき心と言うか・・・ 2人しかいないと思い、ほんの少しだけ視線を上にし、1秒ほど チラッ とだけスカートの中を覗いてしまった・・・。 だが、白か黒か見せパンかと言うよりも、布らしき物までは見えず、スカート内部の重厚な太ももを チラッ と見た瞬間に視線を戻した僕だった・・・ が、その時である! 隣の台所を掃除していたはずの麻里が


『シロ姉さーん、ヨッシーがスカートの中覗いてるよー。 このスケベ』


 と、言われてしまった。 なんと麻里が居間にいたのだ・・・! 僕は顔を赤くしながら、慌てて誤解だと嘘をついたが、麻里は


『ううん、シロお姉ちゃんのスカート覗いてたよ・・・ ほんの一瞬ね。 シロ姉ちゃんが脚立乗るって聞いた時、まさかとは思ったけど・・・』


 上を向いたと言っても、ほんの一秒ほどだったので、僕は誤魔化し切りようと麻里と軽く口論になったが、シロ姉さんは苦笑しながら僕達をなだめ


『ま、まあまあ〜! 私は気にしてないし〜、麻里ちゃんもそんなに厳しく追求しなくていいわ〜。 ヨシ君もこれからは女の子が際どい姿勢でいたら、視線は外してね〜。 エヘヘへ・・・///』


 と照れながら言った・・・。 麻里のおかげでとんでもない恥をかいてしまった。 


(とまあ、先程の話はともかく・・・ あの夢以来、麻里が僕に対する行動を逐一監視して、ウダウダグチグチと小言を言ってくるようになったんだよなぁ・・・)


 麻里がそうなったのは、僕がシロ姉さんと距離を縮めてからそんな感じになったので、僕はもしやと思いこんな事を


(もしかして・・・ 麻里もシロ姉さんの事が好きなのか?! だとしたら、今までの麻里の行動は辻褄が合う・・・。 なんと言うか、シロ姉さんは女の子にも好かれるような風貌と人格を持っているからな・・・ シロ姉さんを僕に盗られたくない、なんて思いがあるのかもしれない!)


 ある時、僕はシロ姉さんと2人で買い物をして会計が終わった後、スーパーの小さなフードコートにて、ささやかな休憩をしていた。 そこで、麻里の問題行動を兼ねて、先程考察した事を相談してみた・・・ が、シロ姉さんはその考察を笑いながら否定し


「アハハ、それは違うわ〜。 確かに麻里ちゃんは私の事は好きだと思うけど、ヨシ君の思ってる好きではないと思う」


「えぇー・・・ まあ、シロ姉さんがそう言うならそうですよね。 でも、そうなると、何で麻里は僕にきつく当たるのかなぁ・・・? 僕何か、知らず知らず嫌なことでもしたり言っちゃったり、したかなぁ・・・」


 これは口が裂けても言えないが、前にトイレで排便を覗いた事以外、心当たりはまったくなかった・・・ きつく当たり始めたのは、そのだいぶ後だから、それが理由とは考えにくい。 すると、シロ姉さんは難しい顔をしながら


「うぅーん、そうね〜・・・ 心当たりは無きにしもあらず、何だけど〜」


 シロ姉さんの口調と顔つきで、僕はこの問題は結構難しい問題なんだろうか?と思い少し身構えてしまった。 シロ姉さんは僕を見ながら重い口を開け


「ほら・・・ 最近のヨシ君、積極的に私にお話してくれるよね〜。 そ、それは私もすごく嬉しいんだけどね! それでね〜、私と同じように麻里ちゃんとも仲良くなって欲しいの〜。 やっぱりさぁ、私から見ても麻里ちゃんが取り残されてるようにも見えるし〜・・・。 それとね〜、私もそうなんだけど〜・・・ 実は麻里ちゃんもね〜・・・///」


 シロ姉さんは、ちょっと気まずく気恥ずかしそうにはにかんだ。 その愛らしい様子に僕はちょっと ドキッ としたが、その言いよどむ姿に僕の頭の上に?マーク浮かんでいた。 シロ姉さんは僕を見つめ、続けて


「ヨシ君の事、好きみたいなのよ〜。 あ、ああ! で、で、でもね、誤解しないでね〜///! 好きにも色んな意味合いがあってね! 麻里ちゃんの好きと、私の好きを同じ解釈しちゃダメよ~///!」


 大きな女性の人が、子供相手の僕に告白し、あたふたと慌てながら後付で誤魔化す姿は、なんだか滑稽と可愛いがミックスしたような、そんな慌てぶりの姿に思わず僕は


「プッ・・・ プハハハ」


 と、笑ってしまった・・・ 僕はこの人をますます愛おしくなってしまった・・・。 とまあ色々ズレてしまったが、僕は今まで知ることのできなかった事実を聞いてしまった・・・ 僕は思うが先に、シロ姉さんに


「あのー、ええーと・・・ 麻里が僕のことが好き・・・? え? ええ?! な、何かの間違いでは?!」


 シロ姉さんは平静を取り戻し、僕の問に続けてこう言い


「ううん〜・・・ 私ね、麻里ちゃんと長い付き合いだからわかるわ〜。 十中八九あの子、ヨシ君の事が大好きよ・・・。 だからね、麻里ちゃんにも、私と同じように構ってほしいの〜」


 それを聞いた時、僕はちょっとわけがわからないと言うか、混乱してしたまま続けて


「え・・・? ま、麻里が・・・ 僕のことが好き?! いやいや! それこそ違うんじゃあ・・・! だ、第一・・・!」


 と、驚き戸惑いながら言い、少し考え込んでしまった・・・。 そもそも、好きってどのように好きなんだろうか? シロ姉さんが先程言ってたような、友達関係の好きか? それとも恋人関係になりたい好きか・・・? 僕がそんな質問をするよりも先に


「もちろん~、恋愛関係の好き・・・ よ。 もしかして、今までわからなかった? わからないか〜、相手は何しろ麻里ちゃんだからね〜」


 と、シロ姉さんは苦笑しながら言った。 僕は目を見開き、声には出さなかったが驚いた! なぜなら


「だって・・・! 麻里って、僕に何も関心ないし・・・。 そんなアプローチも、感じたこともないし・・・。 それに僕が好きだったら、嫌がらせなんて・・・」


 シロ姉さんは少し微笑みながら


「フフ・・・ あの子って顔に出さないだけで、悲しんだり、喜んだり、ヤキモチ焼いたり、本当は感情豊かな子なのよ?」 


「はぁ、そうなの・・・ ですか?」


「でも麻里ちゃんって、結構こーゆ事に関しては奥手な子でね・・・。 ヨシ君の事が好きなんだけど、どうしていいのかわからないのよ・・・。 私とヨシ君が仲良くしてるのを見て、羨ましいと思ってるのよ。 悪く言うと、嫉妬してるだと思うな」


「僕達が2人でいる事が・・・ 麻里は嫉妬する・・・?」


 正直、麻里が僕の事を好きだなんて、今まで感じたことがなく、想像すら出来なかった・・・。 僕が今まで思っていた麻里とは、例えば僕が勇気を振り絞って麻里に告白したとしよう、その時麻里は『ふぅん、そうなんだ。 ごめん、私、あなた事興味ないんだ』と涼しい顔で言われて振られるのが落ち、そんな感じの娘だと思っていたのだ・・・。 シロ姉さんは少し困った表情で


「でもさ、それでヨシ君にキツイ言葉を言うのは間違ってるよね~。 かと言って~、それでキツく注意するって言うのもなんか違うかなって思ってさ〜・・・。 実は私も前からヨシ君に対する言動が、ちょっと嫌だなって思ってたんだ~・・・ でもねぇ・・・」


 と言い終えた後、難しそうな顔をしながら水を飲んだ・・・。 確かにこの問題は麻里に注意すれば、少しは治まると思うのだが、根本的な解決にはならない・・・。 そもそも僕は今まで、麻里に好かれてる事すらわからなかった・・・ それがわかれば解決方法は単純だ。 僕は不本意だが、シロ姉さんにこう言い


「じゃあ、今日から僕達はちょっと距離を取った方がいいですね・・・。 少なくとも麻里が近くにいる時は・・・ ちょっと、会話するのも自重した方がいいですね」


 すると、シロ姉さんはちょっと悲しく笑った表情で


「うん、そうしたほうがいいかな~。 あ! でも完全に距離を取るって言うのは、私としてもちょっと悲しいから、麻里ちゃんにも私と同じように、いっぱいお話しをしてあげるだけでいいと思うわ~」


 僕はちょっと難しい顔をしながら


「麻里かー・・・ なんだか普段から ツンッ てしてて・・・ 話をしたら、ちょっと迷惑かなーっと思っちゃうんだですよね・・・。 シロ姉さんは、そーゆー感じってなかったんですか?」


 別に僕は麻里が嫌いと言うわけじゃない・・・ 出来れば仲良く遊んだり、喋りあえる友達にはなりたいと思っている。 すると、シロ姉さんは僕の言ったことを微笑みながら否定し


「ううん。 確かに麻里ちゃんは外見から見ると、ちょっと怖くて近寄りがたい雰囲気があるけど~、ほんとはお喋り好きで、優しい子なのよ~。 学校でも友達が多いいし、麻里ちゃんもヨシ君といつかゆっくり話したいって、言ってたわ~」


 これは偏見かもしれないが、学校での友達が多いいという情報は意外だった。 僕は


「え、そうなんですか・・・?」


「うん・・・! でも・・・ いや、あの子だからこんな事はないと思うけど、さっき言ったことを実行しても、まだきついこと言ったり、冷たい態度で接してきたら、その時も私に相談してね。 まあ、ないと思うけど・・・」


 すると次の瞬間、シロ姉さんは鮮魚コーナーで刺身を買ったことを思い出し、急いで水を飲み干し、僕達は自転車置き場へと向かい、急いで帰宅した・・・。



・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・



 そして自室にて真夜中・・・ 僕はベッドにて、昼にスーパーのフードコートでシロ姉さんと話し合った内容を思い出した。 


(それにしても、麻里が僕の事を好き・・・ か・・・。 帰ってから麻里の様子をチラチラ見てたけど、本当に僕の事が好きなのかなぁ・・・? でも、麻里と付き合いの長いシロ姉さんがそう言うなら、そうなんだろうなぁ・・・)


 正直、先ほどまで麻里の行動を見たとき、今でもシロ姉さんの勘違いなんじゃないかな?と思ってしまう・・・。 ただ一つだけわかることがある、それは・・・


(麻里が僕の事を好き・・・ だとしたら、僕は・・・ 僕は・・・ えっと、麻里に何て言えばいいんだ?!)


ドクンッドクンッドクンッ!


 僕の心臓の鼓動が、やけに速くなった・・・ 本音を言うと、僕への麻里からの好意は正直嬉しい。 初めて会った時から一目惚れ程ではないが、好印象を抱くことができ、その後も性格や人格もしっかりしてる事が確認でき、シロ姉さん程でないにしても、きつく当たり始める以前は深い好印象を抱いていた。 僕は2人の女性が好意を抱かれてることに、顔が自然といやらしくにやついてしまい


(うわーー/// 僕って結構罪な男じゃないかぁ/// 3角関係って奴か/// いやいやー! 困ったなー///)


 なんて思いながらベットで体をクネクネさせた・・・ が、次の瞬間! 




 僕の脳内で学校での嫌な出来事が、フラッシュバッグしてしまった・・・。 そしたら急に・・・




(あ・・・ これって・・・)


 急に先ほどの興奮が冷めてしまった・・・ そのフラッシュバックの内容と言うのは・・・ まあ、簡単な異性問題だ。 僕はその嫌な出来事を思い出し、ふと冷静と言うか、女性の内に存在する冷酷な怖さと言うか・・・ うまく説明できなく、したくもないし、思い出したくもなかった・・・。 


(これ、同じじゃん・・・ 確かあの時も、こんな3角関係が絡み合って・・・ でも僕は何も・・・)


 僕は小さく頭を横に振り、思い出すのを止めた。


(いや、もういい・・・。 あれは、こことは関係ないし・・・ もう終わった事だ・・・。 でも・・・ でも、もし・・・ 麻里とシロ姉さんの間で、同じような事を起こしてしまったら・・・)


 一瞬あの日の出来事を、シロ姉さんと麻里で再現してしまい、僕はその光景を頭から振り払った。


(な!? 何想像してんだ僕は・・・!? こんな事、シロ姉さんがするわけないだろ・・・!! ・・・はぁ、次はこんな面倒ごとを起こさないようにしないと)


 僕は溜息をつきながら・・・ クネクネさせ横に向いてた体を、仰向けに直し


(とりあえず・・・ 麻里がいる時は、シロ姉さんとはちょっと距離を置くしかないか・・・。 でもそうなると、ほとんど一緒になれなる時間はないな・・・)


 この面倒くさくなった状況に、僕の心は次第にムカムカしていき、1人静かにイラつき悪態をつきながら


(そもそも僕が誰かを好きになっても、誰と話そうが自由じゃないか・・・! 何で嫉妬する人間のために、こんな制約をしなきゃいけないんだ・・・! それもこれも麻里のせいだ・・・! いや、麻里だけじゃない・・・ この世の醜い心を持った女すべて・・・ 何が独占欲だ・・・! そのためなら、相手を傷つけて、嘘ついて、追放して・・・! 


 はぁ・・・ なんかもういいや・・・)


 僕はあの時の事を忘れようと思っても、今だに鮮明に思い出してしまう・・・ 別に僕が直接被害を受けたわけじゃないのだが、あの光景は僕の心に深い傷を負わせてしまったのか・・・? この夜、小さな憤怒と不安が付きまとい、気持ちのいい眠りに付く事ができなかった・・・。



・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・



 そして次の日の朝、いつも通り4人で早起きし、4人でラジオ体操をして、4人で朝食を食べ始めた・・・。 僕は眠い目をこすりながら


(はぁー・・・ 夜は嫌な事思い出しちゃったせいで、あんま眠れなかったなー・・・)


 昨日のやり取りで僕はシロ姉さんと距離を取りながら食べていたが、今日はなんだか4人とも静かで、テレビの音がよく聞こえた・・・。 テレビは今日この日本全国の天気図を映し出し、それにアナウンサーが


男アナウンサー『etcですよね・・・。 それでは今日の天気を紹介しましょう! 今日は日本全国で曇りなく、30℃を超える猛暑日となる予想です! 所によっては35℃を超える地域もありますので、日中の外出は暑さ対策を万全に行って、水分補給はこまめに取ってください』


女アナウンサー『ひゃーーー・・・! じゃあ、今さっき海やプールの人気スポットを紹介しましたが、今日は絶好の海とプール日和ですね!』


アナウンサー1『そうなんですよー・・・ ですが、プールや海に行ったとしても、こまめに水分補給を取って、熱中症対策を万全にetc』


 加奈子おばさんが天気予報を見ると、少々困った表情で笑いながら


「あらぁー・・・ 今日も暑いわねー・・・ 毎日毎日、暑すぎて嫌になっちゃうわよー・・・」


 シロ姉さんも、加奈子おばんさんと同様の表情をしながら


「ほんとですよね~・・・ 昔の夏はもっと涼しかったような気がするな~・・・」


 加奈子おばさんとシロ姉さんは今日の天気の事や、今日のやる事などを世間話を交えて話し合い、僕と麻里はそんな世間話に聞き耳を立てていた。 すると今日、加奈子おばさんとシロ姉さんは用事で出かけ、夕刻くらいまで施設を留守にようだ・・・。 僕は頭の中でこう思い


(すると今日は1日中、麻里と2人きりか・・・。 最近の麻里と僕・・・ いや、最近の麻里はなんだか近寄りがたいんだよなぁ・・・。 あんまり関わらないように、そんで今日は暑いし、部屋でクーラー付けて1日中ゆっくりするか・・・)


 そんな事を思いながら朝食を食べ終えた僕だった。


・・・

・・・・・・


 全員の朝食が終わり、加奈子おばさんとシロ姉さんはお出かけし、僕と麻里は施設の留守番を頼まれた。 その1時間後、自室にて・・・ 僕はクーラを入れ、机で宿題なり、スマホで適当に動画などを見てたりしてたのだが・・・


(あっつーーー!! 暑いよ!!)


 クーラーを付けてる筈なのに、部屋が全体が異様に蒸し暑い・・・。 僕は額の汗を拭きながら、クーラのリモコンを取り、画面に表示された冷房温度を見ると・・・


(冷房設定は24℃・・・ なんだけど? 最初は28℃にしてたのだが、全然涼しくならなくて10分おきに温度下げたんだけど、それでもまだ涼しくならない・・・。 どうなってんだ?! このクーラは!?)


 僕は黄色いクーラーを睨むと、椅子を押してクーラの真下に行き、椅子に上がってクーラーの噴出口に手をかざすと・・・


(げげ! なんだこりゃ!? 冷房設定になのに、暖かい風しか出てないじゃないか! そりゃ暑いわけだよ・・・)


 恐らく外気から取った空気を冷やす装置が壊れてるんだろう・・・ その証拠に、駆動音が カタカタコトコト 鳴ってたり、空気の漏れるような プシューー と言う音が聞こえる。 おまけにこの黄色いクーラー、よく見ると元は真っ白なクーラーらしく、長年の放置で黄色く黄ばんでいた・・・ しかも横の製造年月日を見ると


(丸八電工、93年製!? そりゃ壊れてるわけだ・・・)


 謎会社が製造した20数年前のクーラー・・・ 故障しない方がおかしい・・・。 僕は溜息をついた後、クーラーを消した・・・ 付けていても意味なく、電気の無駄だからだ。 すると、強い太陽の日差しと外の熱気が、ジワジワとこの部屋を蝕んでいき、僕は我慢できない不快で


(あぁーーもう・・・! こんな部屋にいたら熱中症になっちゃうよ! しょうがない・・・ ここは山の中だし、どっか涼しい所でも散歩するかな・・・)


 そう思ったとき、ある場所を思い出した・・・ そこは


(そういえば、小さい頃・・・ シロ姉さんと、近場の涼しい川に行ったっけ・・・。 あの川はまだあるのかな・・・ いや、川だからあるよな。 確かあそこは・・・)


 そう思って僕はタブレットを起動し、グーグルマップで施設近場を流れている川を探してみた。


(結構歩いた記憶はあるけど、そんな遠くの方にある川じゃないはずだ・・・。 お! ひょっとして、これか・・・?)


 それらしき川を早速見つけた! 施設から北西に約800Mの距離を歩いた所に、細い水色の線・・・ 川の名前は下流をずっと下ってみると、この川は『田無川』と呼ばれているらしい。 僕はこの川を見つけると、窓の外を見て


(よし、天気も良いし・・・ ちょっと、ここまで散歩してみるか・・・。 あ! どうせなら、ここで水着に着替えちゃおうかな! こんな暑い日に、冷たい川にドボンしたらさぞかし気持ちいだろうな! ただ、水の事故が心配だけど・・・ でも、小さい頃の記憶だと、そんなに深くて流れの早い川じゃないから、泳ぐと言うより、水浴びしに行くって感じになるかもしれない)


 そう思った僕は早速準備に取り掛かった・・・ 服とパンツを脱ぎ、学校指定の着づらい水着に着替え、台所で水筒にお茶を入れ、スマホやら着替えやらタオルやら色々とプールバックにしまうと、準備ができた! 早速僕は部屋を出て、麻里の部屋の戸に差し掛かった次の瞬間!


ガチャ!


 麻里の部屋の戸が開いた・・・ もちろん、その部屋からは麻里がダルそうに出てきた。 麻里の部屋も僕の部屋と同じくらい暑く、クーラを付けてるにも関わらず、涼しい風をまったく感じなかった・・・。 そんな麻里と僕は目が合い、麻里は水着姿でプールバッグを持った僕を不審にジロジロ見ると、こう言い


「あれ、ヨッシー・・・ 水着なんか着てどこに行くの? プール? その格好でプールに行くの?」


 僕は今この瞬間、会いたくない人物に出会ってしまい、若干しまったと思ってしまった。 僕は部屋の暑さの影響で近場の川へ涼みに行く事を、麻里に正直に告げると、少し失笑されながら


「ウフフフ・・・ あぁー、あそこで涼みに行くのね。 でもその格好・・・ なんかバリバリ泳ぎに行きますって感じだけど」


「まあ、川だから泳ぐわけじゃないけど・・・ 水着くらい着といて損はないかなと思って・・・。 じゃあ、僕行ってくるから」


 僕はそう言って会話を早く終わらせ、先を急いだ・・・。 先ほど説明した通り、最近の僕と麻里は・・・ いや、最近の麻里は僕にきつく当たるため、少し距離を置きたかった・・・。 だが、麻里は僕にこんな事を言い出し


「あ! 待ってヨッシー! 私も一緒に連れてって! 準備するからちょっと待っててね」


「ええ!? ・・・まあ、いいけど」


 僕は驚いた・・・ 失笑されて終わりかと思いきや、なんと同行すると言い出した! 僕は昨日フードコートでシロ姉さんが発した『私とヨシ君が仲良くしてるのを見て、羨ましいと思ってるのよ。 悪く言うと、嫉妬してるだと思うな』という言葉を思い出した。


(今まで半信半疑だったけど・・・ 麻里ってやっぱ僕の事・・・ 好きなのか・・・? いやでも、それならetc)


 そんな事を長い時間考えていたが、麻里は布バッグにやたら荷物を入れて持ち、支度をし終えたと僕に伝えた。


・・・

・・・・・・


 僕達は施設の玄関の鍵を閉め、陽が照らすのどかな農道を歩き始めた。 すると今日の麻里は期限が良いのか、ニッコリしながら


「ほんとはね、あの川、子供だけで行くのは禁止なんだけど、ヨッシー行きたがってたから黙っててあげる! ウフフ」


「え? そうだったの? まあ、そうか・・・ そうだよね。 2人だけのの秘密にしよっか」


 麻里はニッコリしながら「うん!」と言うと、続けて


「ところで、ヨッシーはどうしてあの川の事知ってるの? この辺りに住んでる人でも、知る人ぞ知るって感じの川なのに・・・」


「小さい頃、父さんとこの施設に来たことがあったんだ。 その時、シロ姉さんと一緒にあの川で水遊びと言うか、夕涼みした事があるんだよね」


 そんな事を言うと、麻里は急にスンッと冷めた感じと言うか、つまらない顔になりながら、小さな声で


「へぇー・・・ その頃からシロ姉さんにべったりしてたんだ。 ふん」


 いわゆる難聴系主人公だったら今のセリフは聞こえなかっただろうが、僕はその言葉をはっきり聞くことが出来た・・・。 僕はこの時初めて、麻里の心情を理解し


(やっぱり麻里は僕の事が好きなのか・・・!? そっか、でもなぁ・・・ 麻里の思いに答えるかどうかは・・・ 今は保留しにして、今後2人でいる時は、シロ姉さんの話題は避けた方がよさそうだな・・・)


 そう思いながら、僕達は微妙な空気が流れるなか、暑い農道を歩いて行った。


・・・


 そして川へと着いた。 川幅は約3M前後、周囲は森林に囲まれて日が差さず、川の水質は青色透明で東京のドブ川とはまったく違う・・・ 川の周辺は、先ほどの暑さが嘘のようにヒンヤリしている。 僕達は夏場の天国とも言えるような、この場所にテンションを上げ


僕「うわぁ、涼しいなー!」


麻里「ほんとねー、夏場は毎日行きたいけど、なんせ結構遠いから・・・」


 僕達は周りを見渡すと、川岸にちょうど小さな入り江のような水が溜まった場所があり、そこへと降りて行った。 麻里はそこに着くと、ガサゴソとバッグからビニールの折りたたまれた物を出し


「じゃあ、ここにシート敷くね」


 シートを敷き荷物をそこに置くと、靴を脱ぎシートの上に上がった。 僕もシートに荷物を置くと、早速川の水辺に近づき、手を入れてみた・・・ まるで、公共施設の冷水機から出てきたような水に僕は、はしゃぎながら


「ひえぇー冷たい! 水着なんか着て来ちゃったけど、こんな冷たい川入れるかなー!? 僕も麻里みたいに服で・・・ え????」









 僕は麻里の方を振り向いた時、驚愕した・・・ なんとタオルも巻かずスッポンポンになって着替え始めた!! 僕は数秒麻里の裸をガン見した後、すぐさま視線を川に戻し、ドキドキしながら着替え終えるのを待った。 


・・・


 数時間後、麻里と僕は川遊び・・・ と言うよりも実際は、水浴びと言った方がいいかもしれない。 川の深さは足首上辺りで、深い所でも膝下くらいしか無かった・・・ なので、泳いだり遊んだりできる川ではないが、僕達は冷水を掛け合ったり、潜って全身に冷たい水を浴びたりしていた。 その途端、体が完全に冷え切ってしまい、2人してプルプルと震えながらシートに座っていた。 


・・・


 それから昼食時間になると、僕は川岸で涼みながら麻里が用意して持ってきてくれた、おにぎりやスイーツや飲み物を飲んでゆっくり過ごしていた。 食べ終わると僕達はあれから川に入ることはなく、涼しい川岸で快適に過ごしていた。 僕は寝そべりながらスマホをいじり、麻里は本を読んでいた・・・ そしてスマホを一通りいじった後プールバッグにしまった。 僕はつい先ほどからこんな事を思っていたのだ・・・ 何か2人で楽しい会話しようと思ったのだが


(でもなぁ・・・ 何を話せばいいんだろう? 麻里の趣味とか好きな物もわからないし・・・ 話しかけても会話が続かないから、気まずいんだよなぁ・・・)


 正直この場が、僕・シロ姉さん・麻里の3人だったらシロ姉さんを通して色んな話ができるのだが・・・ 麻里と僕との2人きりではあまり喋らない。 前に喋ったこともあったのだが、両者とも興味の不一致か口下手かはわからないが、一言二言で終わってしまった・・・。 隣の相手がシロ姉さんだったら、ちょっと微妙な話題でも相槌を売ったり、笑ったり、悲しんだり、喜怒哀楽があって、とても楽しく過ごせるのだが、麻里はなんと言うか・・・ 孤高の人と言うか、悪く言うとネット用語でいうコミュ障な子なのだ・・・ 対して僕もシロ姉さん程お喋り上手ではないが。 僕は寝そべりながら、麻里の整った顔立ちをじっと見つめ、不意にこんな事を


(麻里は僕の事が好きか・・・ 好意を持ってくれるのは嬉しいけど・・・ やっぱりさぁ・・・ シロ姉さんと麻里、2人どちらかを選ぶとしたら・・・ 僕的にはシロ姉さんなんだよなぁ・・・。 実を言うと麻里もシロ姉さんを覆すようなポテンシャルは持ってるんだけど、やっぱ女の子って、笑顔で一緒にいて楽しい雰囲気を作れる能力がないとなー・・・。 それに、シロ姉さんの巨乳や巨尻という圧倒的な武器は、やはり・・・///)


 いや、最後の身体的な部分は蛇足だった・・・。 そんないやらしい妄想をした時、今まで見てきたシロ姉さん生の巨乳や巨尻が脳内に次々と構築されては溢れ出し、僕は


(あ、やば・・・!)


 仰向けで寝ていた僕は、股間が ニョキッ と盛り上がり、大きなテントが出来上がってしまった! そして麻里に気付かれないよう、慌てて横向きに寝る態勢を変えたのだった・・・。


・・・


 あれから会話がないまま、数時間が経過した・・・ するとその時、僕の腸内に溜め込まれた老廃物が、外へ出せと暴れ出した。 まあ便意なのだが、ただこ便意・・・ 普通の便ではなく下痢の方の便意かもしれない・・・。 僕はスクっと立ち上がると、座っていた麻里に「僕、トイレに行くから荷物見張り頼むね」なんてお願いした。 すると麻里もちょっと苦しそうな表情で、お腹を抑えながら


「あ、私もトイレに行きたいな・・・ 一緒に行こうよ」


「え? 麻里もトイレ? そうなると荷物どうしようか・・・?」


「ここって人は滅多に来ないから、たぶん放置しても大丈夫とは思うけど・・・」


「そうなんだ。 でも一応、スマホだけは持っていこうかな」


 僕はプールバッグからスマホを出して手に持つと、麻里と一緒にトイレへと向かった。  いや・・・ もしかすると、トイレを見つける冒険と言った方が合ってるかもしれない・・・。


・・・

・・・・・・


 僕達は川の下流を下って、川の隣にある散策道に入るまでは予定通りなのだが、この散策道・・・ いくら歩いてもトイレに着くことができない。 歩き続けて数十分後、僕は首を傾げながら


(あれぇ・・・? 確か小さい頃・・・ この川道を下るように進んだら、トイレがあったはずなんだけど・・・)


 いくらいくら歩いてもトイレに着かない・・・ 腹痛を我慢して歩く僕はだんだんとタイムリミットが近づいていてるのを感じた・・・ 恐らく麻里も・・・。 不安を胸に汗と脂汗をかきながらずーっと散策道を歩いてるとついに! 大きな二車線道路に出てしまった・・・ 歩いてる最中にもトイレらしき構造物はなかった。 その時、僕は焦りながら


(ありゃ・・・ おかしい!? 僕の記憶ではこんな道路絶対に渡ってないぞ?! トイレは・・・ トイレはどこなんだ?!)


 すると、僕の後を黙って付いてきた麻里は、苦しく不機嫌な表情で


「ねえ、ヨッシー・・・ トイレにはいつ連れてってくれるの? 私・・・ ちょっともう・・・ 今すぐにしたいんだけど・・・」


 お腹を抑えながら言った。 僕は焦りと謝罪をしながら


「ご、ごめん! 確かこの道を歩いてたら、トイレがあったはずなんだけど・・・」


 そう言うと、麻里は不機嫌な表情で怒り


「あったはずって・・・ トイレがある所知ってるんじゃないの!? わからないでずっと歩いてたの!? 何でそれを早く言わないの!? これじゃあ施設に戻ってした方が早いじゃない!!」


 僕は麻里に怒られ、オドオドしながら


「しょうがないじゃん・・・ 昔の記憶なんだから。 それとさ、もし我慢できないなら・・・ そこの原っぱで・・・」


 この発言は火に油だったようだ・・・ 麻里はさらに怒り、腕を組みながら


「馬鹿じゃないの!? 何で私がそんなことしなきゃいけないのよ!? あんたって、その辺の動物並みの思考なの!?」


 と、怒鳴るように言い放った。 僕も麻里の態度にだんだんと腹が立って


「怒鳴ったってトイレは出て来ないよ! だいたい、ここに住んでる麻里の方が詳しいんじゃないの!?」


 麻里はたじろいだ表情で、苦しそうにお腹を抑え


「川は子供だけで来ちゃいけないのよ・・・。 最近は全然行ってないし、場所はシロ姉さんしかわからないし・・・。 もうぅ、どうするのよぉ・・・」


 と、少し涙目で言った・・・。 僕は何も言う事が出来なくなり、数十秒2人その場で立ち尽くしていると、僕はある事を思いついた・・・ というか、何で最初っからこれを使わなかったんあだろうか!? 僕は手に持っていたスマホの電源を入れ、Google地図アプリを起動し、この付近周辺の地図を確認して見ると


(この二車線道路の辺りにトイレはないか・・・。 今まで歩いて来た散策道が違うとしたら・・・ え? じゃあ小さい頃に行った、あのトイレは何処にあるんだ? 取り壊されたのかな?)


 僕はもう一度さきほどいた川付近の周辺地図を指で確認していると、その数十秒後・・・ 森を表す緑色の背景に、ポツンと灰色の構造物があった・・・ そこを拡大してみると 田無川散策道公衆トイレ と書いてあった!


(あ! ここだ! そうそう! 小さい頃、僕とシロ姉さんと一緒に行ったトイレはここだよ!)


 ただ、そこのトイレは今まで歩いて来た道とは全然違い、泳いでた川の散策道ではなく、別の川の散策道だった! この周辺の湧き水のような小さい川が幾つもあり、それが一つに連なった地点が田無川と呼ばれているみたいだ。 川を下って散策道に入る前、小さな吊り橋があったんだが、それを渡らなければ行けなかったのだ・・・。 だが、僕たちはスルーしてしまった・・・


(そうだそうだ! トイレに行く時この吊り橋渡ったっけ・・・ もう! 何で気づかなかったんだ!)


 トイレに行くにはその吊り橋を渡らなきゃいけなかった事を、僕は麻里に申し訳なさそうに説明すると・・・


「え? 何よ! ずいぶん戻るじゃない! じゃあ、さっきまでずぅーーっと歩いてたのは全くの無駄だったの!?」


 僕は再び謝罪を繰り返すと、麻里は溜息をつき


「しょうがないわね・・・ じゃあ、そこに戻りましょうよ。 ・・・それと、さっきは怒ってゴメン。 私も行く前に調べるべきだったわね」


 そうして僕達は、川道に入る前に見たあの吊り橋へと戻って行ったのだ・・・。


・・・

・・・・・・


 僕達は来た道を戻って、ようやく吊り橋を渡り終え、ここを少し歩けばトイレがあのだが・・・ そのトイレに向かう途中、小さな坂を上ってると、何やら麻里の様子がおかしかった。 麻里は早歩きと言うか、ほぼ競歩並みの早さで移動しており、時折苦しい吐息が聞こえた。 小さな上り坂を上り終えると、今度は傾斜が大きな下り坂に差し掛かった・・・ スピードを落とさない麻里に対して僕は


「麻里? 少しスピード落としたほうがいいんじゃない? 転んじゃうよ?」


 なんて言った、その直後だった!! 雨かなんかで地面が濡れてたためか、麻里は足を前方に


「あぁ!!」


 と言いながら ツルンッ と滑らせ、盛大な尻もちをついた! その瞬間かすかに麻里のお尻から「ブリュリュリュ!」なんて言う屁が聞こえた・・・。 とりあえず僕は聞こえなかった振りをし、慌てて麻里に近寄って


「だ、大丈夫!?」


 と言った。 すると、麻里は尻もちを付いたまま目を見開き、そのまま放心してしまっていた・・・。 その異様な様子に僕は更に心配し色々聞いてみたが、麻里は力なくこう答え


「いや・・・ いいわよ大丈夫よ・・・」


「そうなの? それならよかったけど・・・」


「それとさ・・・ 今度はヨッシーが先、歩いてくれない? 私は後から着いてくから・・・」


「え? あ、うん・・・」


 さっきまで麻里が先導していたのだが、急に僕を前に歩いてとお願いしてきた・・・。 別にそれで不都合があるわけでもなく、否定する理由もないので、僕が先頭を歩いてトイレに向かった。


・・・


 そして、森を歩き回ってようやく公衆トイレに着いた僕達だった! 公衆トイレは昔のまんま変わっておらず、小さな鉄筋小屋の建物に、小便器2つと和式トイレ1つが設置されている、オーソドックスな男女共用トイレだ。 腹痛だった僕は、オアシスを見つけたかの如く吸い寄せられるように、その公衆トイレに向かって行った・・・。 だが、その時であった! 僕の後ろを歩いていた麻里が


「え!? ちょっと麻里!? 僕が先を歩いてたんだから、僕が先じゃあ・・・」


 僕の横を素早く スッ と移動し、トイレの個室へと駆け込んで行った! 駆け込む姿を見た時に、不意に視線がお尻に向いてしまい、そこにはなんと


(え!? 麻里・・・!? あの時、漏らしてた・・・ のか!?)


 お尻の水着、食い込み辺りには茶色いシミのような模様が浮かんでいて、尻下の太ももは水着の隙間から出たと思われる、茶色いドロッとした下痢便が太ももと太ももで擦れてマッ茶色に染まっていた・・・。 


(そうか・・・。 だから、麻里は僕を前に歩かせたのか・・・)


 僕が先にトイレを見つけ、僕が先に個室に入ろうと思ったのだが、麻里が急に割り込み イラッ としたが、あのお尻を見た時、可哀想と心配に置き換わってしまった。 そして麻里は個室に入ると


バタン! カチ・・・


 と鉄の扉を閉め、排便を開始したみたいだ・・・。 閉められた個室からは麻里の苦しい力み声が聞こえ、そして!!









 麻里は苦しそうに


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!」


 と苦しい息遣いをした。 このトイレは覗く事はできず、ちょっと僕を落胆させたが、目の前で排泄をしているという雰囲気はビンビンに伝わってきて、僕はドキドキと興奮にしながら、麻里が用を足し終えるのを待ったのだった・・・。





 


 

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