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第一話 第1章 目覚めの草原(めざめのそうげん)それでも世界は回っている-OZ-

第1話「目覚めの草原」  ──ざわざわ。  風が草を撫でる音で、ドロシーは目を覚ました。  見上げた空は、どこまでも青かった。けれど、何かが違う。空気の色、風の匂い──全部が、ほんの少しだけ現実離れしている。  「……ここ、どこ?」  イタチの獣人であるドロシーの耳がぴくりと動く。  背中に感じる土の冷たさ、手のひらにまとわりつく草の感触──すべてが妙に生々しい。  ゆっくりと体を起こし、自分の姿を確認する。  毛並みはベージュと焦げ茶のツートン。しっぽは柔らかく、少しふくらんでいる。  夢ではない。これは、確かに「現実」だ。  「……魔法の嵐?」  そう、昨晩。村の空に渦巻いていたあの“光のうねり”を、彼は確かに見ていた。  気づいたときには、ここにいた。  「お父さん……」  つぶやいたその名前は、草の波にかき消される。  遠くには、崩れた石塔のようなものが見える。道はなく、建物もない。けれど草原の真ん中に、ひとつだけぽつんと置かれた「案内板」があった。  “ようこそ、オズへ。”  木の板に、くすんだ金の文字。  ドロシーはそれを、ただ呆然と見つめた。  ──知らない名前。知らない世界。  だけど、ここに来てしまった。  「……どうして、ぼくなんだろ」  答えは風の中。  小さなイタチの獣人は、その世界でたったひとり、最初の一歩を踏み出した。


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