小学校のころ、同級生に祐二くんという男の子がいました。
入学して少しした頃、帰りの会の間に大きい方を漏らしてしまいました。(彼はお腹があまり強くなかったのでしょう。)
当時はまだ幼稚園から卒業したばかりです。
活発で優しい子で、ポケモンなど数多くの友達の間でも人気なゲームをやっていたこともあり、当時彼がからかわれることはありませんでした。
それからしばらくすると、やっぱり
「学校でのうんちはタブー」はいつのまにか制定されていましたが、
裕二くんには適用されませんでした。
また、僕は彼が失敗した際席が離れていたため、当時は特に何も気にしていませんでした。
仲は良かったですが、さほど親密ではない関係です。
◆
さて、それから数年後、僕たちは小5で再び同じクラスになりました。
僕達はDS・Wii全盛期の世代。
僕はひとりっ子でしたが、裕二くんには歳が離れたお兄ちゃんが二人いました。
64やゲームキューブ、PS2など珍しいゲーム機を持っていたため、おかげで僕は彼と一気に仲良くなり放課後しばしば彼の家で遊ぶ関係に。
彼の家は校区の端で、僕の家は学校と彼の家のちょうど中間あたりにありました。
もちろん帰る方向は大まかには一緒でしたが、僕の家はメインの通学路からやや離れていました。なので学校で遊ぶ約束だけして、それぞれ帰って荷物を置いた後彼の家に行っていたのです。
そんな冬のある日のこと。
放課後、僕が帰宅した5分後ぐらいに「ピンポン」とインターホンが鳴りました。
約束も無しに、彼が突然僕の家を訪ねてきたのです。
「祐二だけど…
トイレ貸してくれへん?うんちしたい…。」
と言われました。(彼は小6頃まで一人称が「祐二」でした)
僕が玄関ドアを開けた途端、
「ごめん!」
と言いながら裕二くんは靴を脱ぎ捨てその場でランドセルを放り投げ、トイレに向かってダッシュしました。
乱暴にドアを閉めると、すぐさま
「ブッ、ブブブッ…!」と酷い排泄音が廊下まで聞こえてきました。
僕は彼の様子が気になりましたが、
流石に悪いと思って母とリビングにいました。
10分ぐらい経ったころ、裕二くんはリビングの戸を開けて僕に
「ごめんな…。今日はもう帰る。」
とバツが悪そうな顔で謝り、裕二くんは帰っていきました。その時彼は一度も僕と目を合わせてくれませんでした。
◆
その1時間後。
トイレに行った母から悲鳴が聞こえました。ビックリしてトイレに向かい中を覗くと、なんと洋式トイレの水が溜まってない、手前の平たい丘の部分に乾いてこびりついた裕二くんのウンチが酷い悪臭を放っていたのです。
普通に座れば、男子であればおしっこが当たる場所のはず。
おそらく裕二くんは焦りながらズボンとパンツを急いで下ろして、少し手前に座ってしまったのではないかと思います。
母は必死にブラシでこすり、30分ほど格闘していました。
(おかげでその後、トイレに行くとやたらフローラルな香りになっていました。)
トイレを汚されて母も不機嫌でしたが、
「裕二くんのことは許してあげなさい、決してバカにしないこと。
また我慢できないようだったら家に来てもいいから。」
と言っていました。
◆
翌日、学校に着いて早々彼から
「昨日はごめんね」
と謝られました。やっぱりバツが悪そうで、耳も真っ赤で僕とはあまり目を合わせませんでした。
周りにいた子が
「なになに〜?祐二どうしたん?」
と聞いてきましたが、內容が內容なので僕がテキトーに誤魔化し、祐二くんにも
「気にしなくていいから」と言いました。
その日、彼の家で遊んでいる最中に事の子細を教えてくれました。
お腹が弱く、すぐ緩くなってしまい学校でも頻繁に痛くなってしまうこと。
小1のことがトラウマで、学校の個室トイレでうんちができないこと。
家が遠いせいで、帰る途中で間に合わなかった時もあること。
ズボンとパンツを下ろす前に限界を迎えてしまい、あのような悲惨なことになってしまった、どうしたらいいかわからずそのままにしちゃった…と。
昨日はたまたま僕の家が近くにあると思い出し駆け込んだそうです。
友達の家に寄ったことも、体質について打ち明けたのも僕が初めてだということを教えてくれました。
「お願いやから、誰にも言うなよ。」
と念押しされたため、僕も頷き誰にも言わないと約束しました。
「気にしなくていいよ。またやばかったらうちに寄って!
ただうんちで汚すのはやめろよなwww」
と軽くイジりつつ言うと
「だからごめんって言ってるやんか。」
と顔を真っ赤にして言いました。
事件後、祐二くんは何度も僕の家を緊急避難所にしました。その度彼が出た後のトイレの中は臭いが漂っていましたが、それ以降便器を汚す事はありませんでした。
その習慣は次の年、クラスが離れても変わりませんでした。
僕が中学受験をしたため彼とは疎遠になってしまいましたが…今振り返るとこの出来事は、僕がこういった界隈に興味を持つきっかけだったかもしれません。