contents
-はじめに
-各媒体上のスクリーントーン表現について
-❶ ノイズ系トーン
-❷ 番線系トーン
-❸ エフェクト系トーン
-おわりに
お世話になっております!
今週はようやくになりますが、「漫画の描き方」本編・最終回の記事になります。
いわゆるトーンワークをデジタル/アナログ各媒体において違和感が出ないようどう実現するか、およびどんな素材を使っているかについて書いていきます。
それでは、最後までお付き合いいただけますと幸いです!
↑店長の肉体の陰影などを彩っているのがスクリーントーン(アミ点)
ただ、単行本時には使っていない。(グレー塗りに変更)
最初からぶっちゃけてしまうと、
山本は一般的なスクリーントーン(細かい点々の模様=アミ点)を
現状あまり使っていません。
これはスクリーントーンをそのまま使うとweb上と書籍(紙)の各媒体上でそれぞれ見え方が違ってしまう可能性があり、具体的にはどちらかで「モアレ」という変な模様が出てしまうからです。
↑2巻の試し刷り時に魔女の服に出てしまったモアレ。(ボケた市松状の模様)
また、webと紙でモアレの回避方法はそれぞれ違います。
・web…スクリーントーンの部分に少しぼかし(ガウス)をかけ、グレースケールにする
・紙…スクリーントーンはぼかしのない完全な2値モノクロとして出力する
注:トーンの上にグレーのグラデや別のトーンを重ねてもモアレ化の可能性がある
つまり、web用原稿ならスクリーントーンを少しぼかして、紙用原稿ならぼかさない という正反対の関係になっています。
このため、web媒体を主戦場としつつ紙媒体の本も出す自分は、一般的なスクリーントーンを使うならば2種類の原稿を用意しなければなりません。
自分はこの2種類の切り替えをよく忘れたりミスったりして、単行本作業の時に大変な目にあってしまったので、しばらく自分は「アミ点スクリーントーン」(一般的なスクリーントーン)の使用を封印し、グレーの濃淡は素直にグレースケールで表現することにしました。
前書いたかもしれませんが、最近の印刷はグレースケールでも綺麗に印刷してくれますからね。
↑基本的にグレーを使用。ただし、画面上部コマのような点の大きいアミ点(2値)であれば、web/紙どちらの環境でもモアれることはないので、例外的に常用しているアミ点トーンということになります。
基本的にアミ点トーンは使わないことにした一方で、アミ点トーン特有の質感や密度感はあまり替えが効かないものであるとも感じています。ただのグレー塗りだとその情報量に負けてしまう場合が結構あるわけです。
ここでアミ点以外のスクリーントーンに目を向けると、丸い点々以外のパターンならばけっこうモアレは起きづらいということがわかってきました。
ということで、自分がトーンとして使う素材は主に3種類に分かれます。
クリスタに標準で入っている機能で、砂目トーンとも言われます。
店長たちの制服シャツはノイズトーンで塗っており、濃度や粒サイズを調節すれば
背景埋めにも使えます。
↑右上コマ、左下コマの砂目の模様がノイズトーン。
よく言えば渋めの題材やファンタジーによく似合う、悪く言えば古臭さや泥臭さの出るトーンであり、自分の原稿に使うトーンでは6割以上がノイズトーンであると思われいます。
デフォルトのノイズトーンはグラデーションにも対応しており、モアレを気にすることなくグラデを多用することができます。
↑ノイズトーン+グレースケールのグラデの多用例
擬音(ギィィィ)の塗りにまで使っている。
欠点としては、最初にパソコン画面上に出したノイズトーンは正確な見た目ではなく、ラスタライズ後の微妙に違う見た目が原稿に反映されるという仕様があります。
このためラスタライズ処理するまでは、原稿でどういう見た目になるか正確にはわからないということになります。
ラスタライズするまでは細かい値(濃度・粒度等)をいつでも変更できる機能になっているのに、ラスタライズ後はそれらを変更できなくなりプレビューで確認することもできないというジレンマ… (今のところ数値を覚えて感覚で慣れるしかありません)
これの解決として、素材として配布されている砂目トーンを使う手もあります。
(作:nekopiさん)
何十パターンもトーンを用意いただいたものから選ぶという、これはこれで力技なのですが、こちらは見た目が変わる心配をせずに使うことができます。
(ただしこれらは単一濃度であり、グラデーショントーンは含まれていません)
いわゆる線状のトーンです。
(作:horitokaさん)
初の有料素材かも。ザラザラのテクスチャ感があって使いやすいトーンです。
タテで使ったりナナメで使ったり、とりあえず密度感を出したいときに使います。
(作:黒魔導師さん)
グレーで塗ったレイヤーをカケアミトーンに変換してくれるというアクションです。 商業雑誌の背景画などでよくカケアミが多用されていますが、類似したアクションを使用しているのかもしれません。
試験使用中なのですが、わりと適当に使ってもいい感じになるし、パースにそって使えばよりプロっぽい原稿になれそう…という期待があります。
一面ベタ張りのエフェクト効果で背景などを埋める系のトーンです。
初段で述べた事情により、アミ点トーンで表現されている素材の場合はグレーに変換し直したり、力技でぼかしたりします。
(作:かがり☆さん)
もやもや雰囲気を出したいときに。
同作者様の「濃いマーブルセット」も使いやすいです。
(作:HJさん)
初女漫画っぽいキラキラの雰囲気に。
同作者さんのキラキラトーン006や007も使いやすいです。
ちょっと詳しいファイル番号は忘れたのですが、
デフォルトで入っている雲素材も種類がいっぱいあるので
使えるときに使っています。
エフェクトブラシの時にも書きましたが、こういうエフェクト系のトーンも
必要な時に適宜探していくことになりそうですね。
現状使っている主なトーン系は以上になります!
以上トーン作業をもちまして、山本の漫画作画作業は
一旦完了となります!(その後全体チェック・細かい直しを挟む)
完成した原稿はweb用や納品用にそれぞれjpgやPSDで出力して
掲載・納品します。
PSDでは絵自体とフキダシ・擬音等をレイヤ分けして出力します。
これは翻訳版などを見越した対応ですね。
各種出力も微妙に時間のかかる作業なのですが、ここでは省略します。
ということで、長きにわたって&長期休載を挟んでお届けしてまいりました
「漫画の描き方」は、今回で本編が最終回となります!
長らくお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
飛び飛びの連載となってしまった事につきましては、大変申し訳ありません!
ただ、漫画の描き進めかたとしては今現在に至るまでほとんど変わっていないので、内容的には安定したものになったかと思います。
次回、全体の振り返りや今後の記事の展望、要望質問受け付け等を行いたいので、
もう1回だけ番外編を続けさせていただけたらと思います。
それではここまで読んでいただきありがとうございます!
次回も何卒よろしくお願いいたします。