SamuKata
小梅
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女軍人くすぐり拷問白書 1

 新潟県、魚沼市――

 米農家の次男坊として生を受けた、丸岡慎之介という男がいる。

 実家は戦前から代々続く豪農。

 近年では地元納税品にも選ばれた糖度高い新種のさつまいも栽培などにも着手しており、この不況続きの日本においても彼の人生は、年収8桁かつ時流に上手く乗った優良企業の役員と――順風安定と言ったレールがほぼ確約されていた。

 しかし地元愛が強い、穏やかな性質の親族たちのいったい誰に似たのか……

 彼は生まれながらに与えらた権利と義務、穿った言い方をすれば「大人たちの決めつけ」というものに深い嫌悪感を覚えていた。

 

 何の疑問も抱かず、他の選択肢を見出そうともせず、お前の幸福は、お前の人生の最善はこれだと、15年間言われ続けた結果――

 溜まりに溜まった鬱憤は、好き勝手に進路決められた地元の進学校、その入学式に爆発する形となり――

 校長の長話の途中で席から立ち上がると、周囲の困惑のざわつきを振り払うよう、そのまま単身でシンガポールに渡航。

 様々な日雇いで身銭を稼ぎながら、就労ビザが不要な国を各地を転々とするバックパッカー紛いの行いに、十代後半の人生を費やす。

 

 そして成人をある程度過ぎ、すっかり地元の米と味噌の味を忘れてしまった頃――

 密度の濃い数年の年輪刻まれた精悍とした顔つき。すっかり変わり果てた髭面。

 履き古したボロボロのスニーカーで成田空港に立つ彼の心の中にあるのは……なっていたかもしれない自分の別の可能性――

 古い大人の固定概念に染まる子供たちを一人でも減らしたい……。

 そんなリベラル、左翼……様々な暑苦しいものが煌々と燃え盛る教育的野心であった。


女軍人くすぐり拷問白書 1

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